3 レオのやさしさと私の英断
勇者の仕事が魔物・魔王を倒すことだとしたら、聖女の仕事は魔物が沸く空間の歪みと勇者が倒した魔王を封印することにある。
まあつまり、聖女が進むための道を切り開くのが勇者の務めだということだ。
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「あれ?聖女様、いらっしゃったんですね。困ったなあ、コケッコーの卵もうないんですよ。………あ、俺の食べます?」
一口食べちゃったんですけど…と困ったように笑うのは自称聖騎士団の料理番長レオ・アレット・フォート。
「お気になさらず。とても悲しいのですが、神官様に騎士様の料理は食べないようにと言われてしまっておりますの。」
「えっ!?そうだったんですか!?俺、なぜか神官様に嫌われてるんですよね……。」
なんででしょう?と首をかしげている2人は相変わらずお似合いの美男美女だ。
そう、美男美女である。見た目的にはだが………。
「みつ。こんなところに居ていいの?もうそろそろ神官様迎えに来る時間じゃない?」
「んーーーーー。そうなんだけど、もうちょっとここに居たいなって。だめ?」
大きな瞳を潤ませて上目遣いでこちらを見つめてくる聖女。
思わず何でも了承してしまいそうになる。
自分の武器になることを分かって使ってくるのだから、なかなかの策士だ。
「だめ。前にもそうやってこっち逃げてきたよね。あの後、神官様のお怒りこっちに向いて大変だったんだから。」
〝みつ‴こと聖女がちぇっと可愛く口を尖らせるが、私は騙されない。
っていうか、あまりの儚さに忘れそうになるが、この美少女は男だ。
マリア・リステア。
元の世界で春に咲き誇っていた国花を思わせる桃色の髪と、草原を思わせる若葉色の瞳を持つ少女で聖女。
この世界ではそういう立場にある人物だが、元の名は〝佐藤 満"という。
純日本人で性別は男。
異世界召喚された時は、私と同じく黒髪黒目の可愛らしい少年だった彼だが、かつて魔王を封印したと云われている聖女伝説の聖女に合わせて魔法で色を変えたらしい。
本人はコスプレみたいで楽しいとにこにこしている。
元々可愛らしい顔立ちであったため、なかなかに似合っている。というか馴染みすぎてもう既に黒髪黒目の時代を忘れつつある。
聖女は封印が仕事であるため、防御力・攻撃力共に低い。魔物がうじゃうじゃいる森に連れていくわけにはいかないということで、ある程度魔物討伐が完了するまでこの宿屋で待ってもらっていた。
神官様というのは聖女の付き人で、熱心な聖女信者だ。
聖女様には甘く、その他には辛くが信条らしい。
そんな、聖女様LOVE+聖女様の願い叶えますマンの神官様がレオのご飯にNGを出しているのは理由がある。
ずばり、使用している食材だ。
レオのご飯は美味しいが、食材にはもれなく魔物が使用される。
神官曰く、神聖な聖女様には汚らわしい魔物を構成する細胞1欠片だって食べさせられないのだそうだ。
私はいいの?一応勇者よ??神聖じゃないの???と聞き返したくなったが、神官的には勇者だろうと何だろうとその他の人間に区分されるのだろう、きっと。
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「………青いね、目玉焼き。」
本日の朝ご飯は食欲を無くす色合いの目玉焼きと味噌汁だ。
目玉焼きは黄身の部分が真っ青で、よく見ると黒い斑点が両の手で数えきれない程入っている。
知りたくなかった情報なのだが、レオが言うにはこの黒い斑点1つ1つがコケッコーの足になるらしい。
味噌汁も目玉焼きとお揃いの青色。
先ほどレオがコケッコーで1番うまい部分食うか?とキラキラと瞳を輝かせながら聞いてきたが、嫌な予感がしたので断った。
ちなみに1番うまい部分とはコケッコーの目玉で、彼の味噌汁に目玉が丸ごとinされた時には、自分の英断に拍手しそうになった。
次回噂の神官様登場予定!
神官様のためにも評価をお願いいたします。笑
次回の更新は明日の21時となっております。
次回もよろしくお願いします。