留守を預かる・・・
神々の意思によって、2大国が無理やり協力させられ、
神々の思惑通りに捻じ曲げられた協定は、
時間と共に自我と欲が積み重なり溝が生まれる。
豊富な地下資源と、強力な陸上兵力を有する帝国だが、
民主主義を無視して、自身が終身大統領となり独裁政権を築いた為、
諸外国から信用を失い世界経済から孤立している帝国、
世界経済を支配していたが、その為に多くの負担を強いられ、
自国の財政が大きく傾き始めた合衆国、
其々の思惑が、神の意思であっても曲げられない思惑の為に
協定を破棄する事を決断していた・・・自国の保持する為に。
民間団体フリーダム、
その代表代理クロウの申し出に最初で最後の承諾を大国のトップがした。
大国同士で決定している、協定の無効、団体の解体を、
三者で集まって決定したいとクロウが申し出ていた。
北太平洋の北方の洋上に、
米国の原子力潜水艦と露帝国の原子力潜水艦が、
一隻の船を挟んで並走している。
そしてボートで船に乗り込む両大統領と重鎮達、
「ようこそ、御足労に感謝いたします。」
「ふん! この船は米国の新型艦か?」
「我が国の船ではない。」
「我が社の手持ちにございます。」
「手持ち・・・随分古い考えなのだな(笑)」
「・・・」
単装砲が目立ち、ミサイル発射システムも見当たらない
数十年前の様な砲塔だけの戦闘艦だった為、
露大統領、ヴォーヴァ・プルチノフは、周囲を警戒しながら、
フリーダムの新造船を見て蔑んでいた。
「態々この様な場所に呼び出して、なにが目的だ!」
「いえ(笑)、離脱した大統領にご報告がございましてね(笑)」
「報告・・・」
「目標地点及び、周囲500kmに海上船舶及び海中船艇はございません、
いつでも可能です。」
「それでも、お忙しいご様子ですから、直ぐに始めましょうか(笑) 発射!」
船上のはるか先の方角に光が落ちた!
そして衝撃波と高波が船に押し寄せて来る。
「な! なんだ? なにが起こったのだ!」
「それは我々より、重臣にお伺いください(笑)」
太平洋の北方付近には両国の潜水艦が静かに潜み隠れ、
互いの国へ報復出来る様に、日々備えている。
当然、国家として重要な場所である為に、
偵察、観測、様々な機器がこの場所の情報を検知していた。
「核兵器か?」
「米国と同じ答えを出すとは、仲がよろしいですね(笑)」
「大統領、民間があの様な兵器を所持していいのか?」
「我々のはどうしようもない現状ですので・・・」
「米国に・・・情けない!」
皇帝が何か指示を出し、重臣が慌てて何処かへ連絡していた!
「米国に出来ぬなら、我が帝国が鉄槌を与えて差し上げよう(笑)」
「流石、帝国ですね(笑) 現実を理解していない(笑)」
「撃て!」
・・・
「本部が消えてしまえば、何も出来ぬであろう(笑)」
「本部? フリーダムの事でしょうか?」
「そうだ! 今頃本物の核で島は消滅しているだろう(笑)」
「大統領、 ちゃんとご確認ください(笑) 消滅したのは・・・
あなたの国の潜水艦でしょう(笑)」
先ほど潜水艦に核攻撃を命じた大統領だったが、
クロウの口からは、核で消滅したのは自国の潜水艦だと告げられた。
「でも、流石帝国ですね、躊躇なく、迅速に攻撃をして来るなんて、
誠に素晴らしい♪ 実に良い練習になりましたよ(笑)」
「練習だと!」
「はい♪ 海だろうと陸地だろうとね、即時迎撃の訓練ですよ(笑)
もっとも、今回は強力なミサイルだった様で、
潜水艦は乗組員ごと消滅しましたけどね♪」
「な なんだと・・・」
重臣から命令を下した潜水艦との連絡が途絶えたと知らせが来る!
「どうして・・・わかった?」
「太平洋上は我々の管轄内ですから(笑)
次は陸上から攻撃しますか? 放射線が撒き散らかりますけどね♪♪」
「・・・」
皇帝が米国大統領を睨むが、我関せずの大統領、
「自業自得でしょう、あなた様が、今、ここで、命令を出したのですから」
「目的はなんだ!」
「目的? あぁ〜 お知らせする為ですよ!」
「あの兵器をか?」
「いえ、 両国が破棄しようが、
我々フリーダムがこの太平洋を支配するって事をですよ。」
「出来ると思うっているのか?」
「出来ますよ、3,500名の優秀な兵士がおりますからね♪」
「破棄後、当然撤収する!」
「我が国も同様だ!」
「帰りませんよ・・・全員ね(笑)」
「「な! どう言う事だ!」」
「人選はちゃんとしましょう(笑)」
サーシャ様サラ様の直属の眷属達は、孤児で入隊した事になっているて、
特に露帝国の眷属達は、粛清され孤児院で虐待を受けた悲惨な経歴ばかりの設定、
「国に忠誠を願う程の行いを、兵士に施してますか?(笑)」
「どう言う事だ!(怒) 情報総局長!」
「(笑)」
「どうしますかね? 我々の最初の敵は二大大国でしょうか?(笑)」
「我が合衆国は、フリーダムを擁護し、敵対するつもりはない。」
「・・・我が・・・帝国も同様だ・・・」
「そうですか・・・少し残念ですね、
それでは今後の事を話し合いましょうかね?」
「「今後の事?」」
フリーダムとしては、2大国体制を支持したいが、
現在の露帝国も合衆国も力が不十分で物足りないとクロウが説く
「我が国では不足だと!」
「我が国以上の強国など存在しない!」
「そうだ!」
「現時点では、そうでしょうが、10年、20年後ではいかがでしょうか?」
「変わらない! 最強の帝国を維持していよう!」
「経済が回らないのに?」
「・・・」
「我が合衆国は世界の中心であり続ける努力を惜しまない。」
「財政が逼迫してもでしょうか?」
「変わらない!」
「C国が台頭してきてもでしょうかね?」
「・・・」
「C国など、恐る必要もない木端ではないか!」
「それでも、好景気と繁栄を軸に進出してきましょう?」
「「進出して来たところでなにが出来る?」」
「日◯程度でしたら取れるんじゃないでしょうかね?」
「(笑) 米国がそれを許すのか?」
「同盟国を見捨てるそうですよ(笑)」
「ばかな! 我が帝国にはあれ程頑なに固辞していたのに、
C国には易々と下げ渡すのか?」
「・・・」
「(笑)」
「信じられん」
「彼の国の消費力は我が合衆国には必要なのだ!」
「(笑) (笑) なるほど、それでお前達か!(笑)」
「我々は日◯を庇護いたします♪」
「面白い♪ 合衆国が太平洋から撤退するのか(笑)」
「撤退はせん! 太平洋は合衆国が中心として管理する。」
「(笑) 出来る訳なかろう(笑)」
「・・・」
「既に日◯に宣戦布告している国もございますし、
我々は独立して、単独で行動した方が両国には批判が少ないと思いますが?」
フリーダムが、K国やC国と戦闘になった時、
世界の非難は、帝国や合衆国に向けられる為、独立して小国として行動するか?
現状のまま、取り残された民間団体として行動するか?
両国に決断して欲しいとクロウが説いた。
「「なぜ我々が決断しなくてはならないのだ?」」
「それはですね、フリーダム代表が、
2大国としてあなた方を指名しているからですよ!」
「「代表? 居るのか? 聞いておらんぞ!」」
「最初っから、決まっています♪ まだ時期ではないと秘匿していますがね(笑)」
「我らが主人が、助けよと命じるからには、日◯は庇護いたします。
我らが主人が認めておりますので、露帝国と米国を大国として認めましょう。
我らが主人の敵にならない限りはね・・・。」
「「・・・」」
クロウの強力な殺意が、二人に襲い掛かり飲み込まれ、何も抵抗出来なかった。
「如何いたしましょうか?
独立して、両国が承認して頂ければ問題はないでしょう?」
「それは・・・」
「考える時間が欲しい。」
「構いませんが、K国を先程の方法で攻撃したいと思っているんですよね、
そうすると、帝国領の一部と、米軍の駐留部隊が大被害を受けるんで
なるべく早く返答をいただきたいのですがね(笑)」
「500kmと言ったな」
「半島が消滅するぞ!」
「必要ないでしょう? あんな半島(笑)」
「「・・・」」
「お前の主人の意見か?」
「いえ、私個人の考えです、我が主人はK国に興味がございませんから(笑)」
「興味がない?」
「はい、 主人が要らぬ物、この世に存在する意味もございませんでしょう(笑)」
5,000万人の国家を、必要ないからと、消滅する気でいるクロウを前に、
この様な思考の国家など認めては大変な事になると直感した二人だった・・・。