弱肉強食のエリア
中東と言われる地区に、独裁者が治めていた国があったが、
虚偽の情報によって世界から攻撃を受け滅んだ場所、
新たに国家が設立したが、傀儡の国に民意は集まらず、
内戦と、各地の犯罪組織の隠れ家として戦火が絶えない日々が続いていた。
本来国民の為に使われるはずの資源は、
横領や略奪で失われ、魑魅魍魎が溢れ出た世界は、
クロウにとって最良の場所だった。
クロウの配下は純粋な殺戮部隊、
主人に従いある程度は自重するが限度がある、
か弱い生き物しか存在しないこの世界で、
つまらぬ殺戮は不満を積もらせる行為だったのが唯一の救いだった。
「・・・」
「準備は出来ましたか?」
僕達が砲撃の準備が完了した事を知らせてきた。
戦闘艦用主砲 試作型ライフリング加工型
口径 127mm
砲身長 62口径(4,712mm)
重量 22,000kg
仰俯角範囲 +82/-5
旋回範囲 340
発射速度 50発/分
最大射程 50km以上(通常砲弾)
戦闘艦用に開発された単装型速射砲、
戦車などに汎用する為に開発した砲塔の海上設置型
ミサイル迎撃論から離脱した速射迎撃に対応する為、
長射程、高速連射を考慮した試作品
「・・・」
「・・・」
「あの山ですね♪ よく狙ってくださいね♪♪」
「♪♪」
山岳地帯を根城としているゲリラ集団のアジトを、
50km離れた場所から砲撃する。
「完成時には、キットが電脳管理を行うそうですが、
我らの視力なら目視で狙えるので必要ないでしょう(笑)」
ド〜ン ド〜ン ド〜ンと10回ほど轟音が鳴り響く!
そして・・・着弾音が響き帰って来、煙が立ち上がる。
「ほぉ〜♪ この距離で、トラックが狙えますか♪♪」
「・・・♪♪」
初弾で逃げられないように、敵の移動手段を破壊した。
「慌ててますね(笑) 次は土嚢の隙間ですよ! よく狙ってください(笑)」
「・・・!」
再び轟音が響く!
そして大きな砲弾がスナイパーの弾の様にピンホールショットを決めて行く
「お見事ですね♪」
「♪♪」
「海上ですと波の影響もあるでしょうが、
キットが制御するのですから問題ないでしょう(笑)」
「・・・?」
「十分ですよ♪ あとは処分しなさい(笑)」
「(笑)♪♪」
僕達が、次々とアジトに向けて撃ち続ける!
逃げ惑うゲリラ達を狙い楽しそうに♪♪ ド〜ン♪ ド〜ン♪♪
そして、砲弾を変え締めの1発をアジトに放つと、山が崩れ、瓦礫と化した。
「生存者はいないと思いますが、一応確認をしてくださいね?」
「・・・!」
「勿論全員皆殺しですよ(笑)」
「♪♪」
アジトには、女性や子供も少なくない人数が居た、
砲撃中に何度も確認していたので間違いない、
そして、体が小さい女子供は、瓦礫の中でも生存者がいる恐れがある
それを理解している為に、態々確認をさせていた。
クロウの僕達は魔力で殺戮を行わず銃火器を使う、
それは、自分達魔族には無力な武器だが、貧弱な人間が考え発明した武器だから
人間を殺戮するには一番の道具と考えているからだ。
獣の様に力もない、それでもこの様な道具を使えば強くなれると思っている
下等生物を嘲笑いながら銃火器を使っていた。 タ〜ン♪ タ〜ン♪
この様に試作品のテストや訓練を行う為に、
クロウの僕、フリーダムの襲撃警護隊は、世界中を飛び回り殺戮を繰り返し、
その経験を糧に、武器は向上して、アイアン・ブルやジパングに支給されていた。
「部下の家族が襲われた?」
「・・・」
フリーダム指揮下に編入されても、
米国内、特にプロジェクトRが進出している州の治安維持には、
地元警察と共闘して対峙て来たが、
最近、人間達の家族を狙う組織が現れ、アイアン・ブルの威信を曇らせていた。
「相手は分かっているのでしょう?」
「・・・」
「なるほど・・・それは厄介ですね♪♪」
地元の州議会の委員が、
アイアン・ブル個人情報を漏洩してギャングや麻薬シンジケートに渡していた。
確固たる証拠は流石に残さない、その為、アイアン・ブルは動けず、
仲間の、家族の報復が出来ないでいた。
「・・・」
「我々闇烏ですよ♪ 証拠など必要ないでしょう(笑)」
「♪♪」
「準備を整えさせなさい♪♪」
「・・・♪」
ある州の町にある憩の場で、アイアン・ブルの家族達が集まり
家族パーティーを行う情報を流す!
「大丈夫なんだろうな?」
「心配ない、男達は麻薬の密輸を摘発する為に今頃出張っている筈だ!」
「(笑) フェイクとも知らずにのこのこ出て行ったのか(笑)」
「あぁ〜、家族が殺されるって言うのになぁ(笑)」
自動小銃を持った男達20名が数台の車で憩の場へ乗り込む!
そして、ドアを蹴り破り一気に建物の中へ・・・!!
「構うな! 射て!」
「Yaa!」
建物内から有無を言わせず、襲撃者へ銃弾が飛ぶ!
大型トラックが道を封鎖し、中からフル装備のアイアンブルが次々と飛び出し、
襲撃者達が乗っていた車を銃撃大破!
そして逃げる襲撃者の足を狙い動きを止める!
「うぁあ! 痛ぇ〜!」
「撃つな!降服する!」
戦意を失った襲撃者達が銃を捨てて表腕を上に上げるが銃撃は終わらない
「装備した全ての弾薬が無くなるまで撃ち続けろ!」
「Yaa!」
「まって ぐぁ!」
襲撃者達が降服しても撃ち続け、死体となっても撃ち続け、肉の塊になって行く
「うそだろ! たすけぎゃぁ!」
「わぁ! でぶぅ!」
1分もかからずに撃退出来たが、銃撃は10分近く鳴り響いた!
何度も何度も弾倉を交換しては死体に撃ち続け、肉塊になるまで・・・撃った!
そして警察とマスコミが到着、
しかし直ぐに嘔吐を繰り返すほどの悲惨な現場となっていた。
「そうか! 直ぐに批判声明を大々的に上げろ!」
情報をリークしていた議員の元に今回の行動が耳に入る、
「(笑) これは完全な過剰行為だ! 叩く格好の材料だぞ♪♪」
「叩けますかね?」
「当たり前だろ! 見ていろあんなよそ者達、追い出してやる・・・!!」
電話で報告を受けてからたった数分、
絶好のチャンスと浮かれていた議員が我に返ると自宅が地獄と化していた!
たった数分前までは、家族と楽しい団欒の空間だったはずのリビングに、
妻と子供2人の頭が! 3つの頭を器用にジャグリングしている男、
そして白を基調としていた筈のリビングは鮮血に染められていた。
「ど・・・どうなっているんだ・・・。」
「もう一度だけ、お伺いしましょうかね?
本当に我々を追い出せますかね(笑)」
「我々・・・わぁああああ!」
「うるさいですよ!」
議員の首が一瞬で吹き飛び絨毯の上に転がると、ジャグリングしていた男が
議員の頭を蹴り上げ、4つでジャグリングを続けていた。
「♪♪」
「さて、全てを消去しましょうかね♪」
「♪♪」
一般家庭の家より少々広い建物が塵と化し消えて行く、
家具や調度品も・・・跡形もなく全てが消えて美しい芝が一面に広がり、
建物が存在した形跡すら消えていた。
襲撃して来たギャング組織のアジトや隠れ家を次々と壊滅し、
十日も経たずに州を代表していたギャング組織が消滅した。
「署長! この後の行動はどの様にお考えでしょうか?」
「行動? しばらくは平穏が続くであろう、
我々警察は、行方不明の議員家族の捜索に集中したいと思っている。」
「行方不明なのですか? 事件性は?」
「分かりません、 ただ今調査中ですので、コメントは控えたい。」
数十万ドルの不明金や、ギャング達とのメールから
事件に巻き込まれた可能性が大きい為、捜査は広範囲に広がったが、
捜査が続くに連れて議員の不正も明るみになり、
結果、壊滅したギャングが報復したか、
報復を恐れて逃げていると結論付けて捜査は打ち切られた。
「証拠、 少々はあったようですね(笑)」
「・・・」
「職権で隠せた物も、死んでは無理だったのでしょう♪」
「・・・」
「議員に仲間が居たとしても、構いませんよ(笑)
敵対するなら消すだけですからね♪♪」
「♪♪」
強敵が存在しない世界は楽しいのか?
そんな疑問を問う研究家がいるそうだが心配いらない。
考える脳があるのだから、楽しみを見つければいい、
子供が蟻の列を無慈悲に踏み潰し笑みを浮かべる様に・・・。