都内を仕切る組織グループ
流人が襲われ激怒する黒天と紅丸だったが、
平静を保つクロウの矛先が向けられていた!
「ゴミの排除は其方の役目であろう!」
「この失態、いかが致すつもりじゃ!」
「良いガス抜きになったとは思わぬか?」
「なにを!・・・」
「どう言う事だクロウ?」
最近の流人は、行動に荒さを感じ、対応も処置も、
普段の優しい流人とは違っていた。
「確かに・・・」
「しかし、それと襲われる事と何が繋がる?」
「一瞬であったぞ! 闇の霧が、一瞬で5人を灰としたぞ(笑)」
「5人もか?」
「・・・汚れが・・・溜まっておったのか?」
「どこぞかで、少しずつ蓄積していたのであろう」
「っで、晴れたのか?」
「どうなのだクロウ?」
「晴れてはおらぬ、途中で渡邉と申す人間の声に意識が戻ってしまったからな」
「そうかぁ・・・渡邉に見られたのか?」
「それは不味いぞ!」
「心配はない、流人様も気づかぬ様に三賢者が記憶を封じていた様だ!」
「そうかぁ、それは一安心だな」
「しかし・・・どこの馬鹿だ?」
「都内最大のギャング組織だそうだ!」
「それが何故? 流人様を襲うのだ?」
「金目的か?」
「分からん、今調べている最中だ!」
生き残った傍観者を拐い、僕達が尋問を行っていた、
そしてその様子はダイレクトにクロウの脳へと伝わっていた!
「分かったぞ!」
「おぉ! そうか、」
「それで?」
「前に、女絡みで揉めたそうだ。」
「女絡みだと?」
「そんな事があったのか?」
「奴らの記憶には確かに、流人様と揉めている記憶が残っているなぁ」
「なに・・・あぁ〜あの時の」
「エリカとか申す娘の友達が拐われた時かぁ」
「事情は分かった、次はどうするかだ?」
「どうするも、根絶やしにするしかないだろう?」
「我らの不快も晴れぬぞ!」
「そうではあるのだが、まだ生まれるぞ、ゴミは!」
「しかたなかろう、ゴミはゴミだ!」
「良い手があるのかクロウ?」
「ゴミを纏めては如何か?」
「「ゴミを?」」
「僕に仕切らせるのだ、この街のゴミ共を!」
「なるほど・・・」
「それはよいなぁ」
「っでどうする? 我が僕でよいのか?」
「それなら我も呼ぶとしよう♪」
「儂も呼ぶとしよ、とっておきの僕をな(笑)」
3人が其々僕を一人ずつ魔界より呼び出した!
「お呼びでございましょうか黒様」
「お久しぶりにございます紅様」
「これはこれは、お懐かしゅうございます、闇の王♪」
「「「其方ら3名に命じる・・・」」」
「「「主人の意のままに」」」
呼び寄せられた3名が中学生の姿に変わって行く!
「神武羅刹」 1993年8月8日生まれ
[身 長] 180cm
[髪 色] 黒髪
[眼 色] 黒眼
[肌 色] 黒褐色
黒髪をコンローヘアにし、黒曜石ワンポイントで付けている、
左の耳だけに黒の精霊水晶をピアスとしている。
黒天の親衛隊筆頭であり、黒天自慢の武闘派の一人であり、
神との争いに向けて揃えていた魔族。
「天上烈火」 1993年8月8日生まれ
[身 長] 182cm
[髪 色] 赤褐色髪
[眼 色] 褐色眼
[肌 色] 褐色
左側面を剃り上げコンローヘアにした髪型、
左の耳だけに真紅の精霊水晶のピアスを付けている。
紅丸の親衛隊筆頭でありながら、龍神の血を継いでいる
かつて魔界で暴れまくった龍神の一人。
「烏野奈落」 1993年8月8日生まれ
[身 長] 160cm
[髪 色] 紫色
[眼 色] 黒眼
[肌 色] 白肌
光に当たると美しい紫色に輝くロングヘアをオールバックにし
漆黒の紐で纏めている。
クロウの僕なのだが、クロウの一部で創られており、
羅刹や烈火よりはるかに上位種族であり、
過去に争い吸収した数多の神々の残留物の結晶体でもあった。
「其方らは春から中学と言う学問を学ぶ場所へ通うのだ」
「学ぶのは、学問だけではないぞ」
「そして・・・分かっておるな奈落」
「我と汝は一心同体、我がすべき事も、汝がするべき事もな(笑)」
「どうする? おなじ学舎に入れるか?」
「その方が早かろう(笑)」
「どこへ入れるかだな。」
「極悪中を探すか?」
「3人居れば、どこでも構わぬであろう?」
「全てを排除し新しい秩序を築け奈落!」
「承知した。」
「羅刹、全てを力で排除し力で秩序を築くのだ!」
「御意」
「烈火、全てを焼き尽くせ!」
「仰せのままに。」
3人が春から中学校へ通う、
そして伝説として君臨するのはそう遠くの話ではなかった。
然し黒天や紅丸の不快が晴れる事もなく、
流人が襲われた苛立ちが兀々と蓄積しているのを自覚していた。
「どうした黒天! 紅丸よ! 自ら晴らす事も出来ぬ程衰えたか?」
「「なにを申す!」」
苛立ちに助長する様に挑発するクロウ、
「其方らも少し、汚れを払った方が良いのではないのか?」
「「儂らもか?」」
「慣れぬ作業に、不快が溜まり、苛立ちと不快が汚れと化してはおらぬのか?」
「うぬ・・・」
「言われてみれば、爆ぜる感情を抑えてはおるなぁ」
「僕を頼らず、己の手で・・・共に晴らしてみぬか?(笑)」
「我らも、たまには息抜きが必要だな♪」
「そうであるな・・・時には力の発散も必要だ♪」
「「「(笑)」」」
紅丸が都内の雑居ビルに向かう!
ここはK国系窃盗団の隠れ蓑として使われていた。
「まずは我が遊ばせていただくぞ♪」
「好きにするがいい」
「どの様に遊ぶか見物させていただこうか(笑)」
7階建ての雑居ビルの中には100名程の窃盗団のメンバーや関係者が居た、
その入り口に紅丸が立つと直ぐに結界を張る!
魔族特有の魔力で多い尽くしただけの結界だが、紅丸の強大な魔力で次元が歪み、
内部から脱出出来る者はいなかった。
「なんだてめぇ!」
「おい! コイツ!テレビで見たことあるぞ!」
「大企業の社長さんがなんの様だ!」 「「「(笑)」」」
「(笑)」
「笑ってんじゃねぇ! ぎゃぁ!」
「わぁ! 火がぁ! 燃える!」
「なんだぁこの炎は消えねぇぞ?」
「熱い! た・・・」
「出られねぇ・・・」
紅丸が見つめる! すると紅蓮の炎が次々と人間を覆い尽くして燃えている!
一瞬で炭化し石炭の様な輝きを放つ死体が、
まるで芸術、アートの世界の様に次々と広がっていった。
ビルの中にいる全ての人間を襲う紅蓮の炎が、階段を伝い、
エレベーターから上へと、人々を追い立てる様にゆっくりと襲い掛かっていった。
「久しぶりに聞きますね♪
やはり下等生物でも悲鳴は心地よいですね(笑)♪♪」
窓を叩き割ろうと必死な窃盗団だが、結界で強化されている為に割れず、
悲鳴を上げながら慌て逃げ惑う。
そんな中、炎の匂いが変わり紅丸の不快が増す!
「この臭い! 臭いですね幻惑草ですか(怒)
窃盗団と伺っていましたが、こんな物まで扱っていたのですね(怒)」
麻薬の粉が炎で焼けると、幻惑の煙が広がり不快な臭いが増す!
汚れた不快な臭いに耐え切れず、
紅丸の魔力が爆ぜると雑居ビル全体が一瞬で炎に包まれ炭化した・・・。
「(笑) どうしたのだぁ紅丸♪ 最後は随分と呆気ない終わり方だったな(笑)」
「うるさい! 幻惑草の臭いが堪らんかったのだ・・・」
結界で内部に悪臭が溜まり、我慢の限界を超えてしまし、
屋上まで追い立てて、ゆっくりと焼き殺す事が出来なかった。
悔しがる紅丸を他所に次は黒天が獲物の場所に向かう・・・。
隣県にある港に設置された倉庫・・・
「次は儂の番だが、ここで間違いないのか?」
貨物用の倉庫が100近く並ぶ中に、C国系マフィアの密輸倉庫があった。
「10個全てがマフィアの所有倉庫だ!」
「全部か! これはこれは・・・♪♪」
警察の警戒を躱す為、別々の企業が所有している倉庫だが、
警察内部の内通者から情報が来る度に、
別の倉庫へ密輸品を移して捜査を躱していた。
「全部良いのだな♪」
「好きにするがよい(笑)」
クロウの言葉に、久しぶりに目の色が輝きを戻し黒天が地上に降り立つ!
「ふん!」
地上に立った瞬間に魔力を放ち結界を紅丸同様に張り、人間を閉じ込める!
「なんだ!貴様は!」
「どこから・・入って来た!」
「警察か?」
騒ぎ立てるマフィアの一味に瞬間に近付き顔に拳を当てる!
「ブッヒャァ!」
「グチャ!」
「ヌ〜ン!」
首から頭が捥げ飛び散る!
「か弱いのぉ、真にこの世界の頂に立つ生物なのか(笑)」
黒天が次々と人間を殴り、殴られた人間は肉が吹き飛び即死した。
「ば! 化け物!」
「パン! パン!」
「パン! パン!」
拳銃の乾いた音が鳴り響くが結界で閉ざされている為に外部へは漏れない
その上、黒点は嬉しいのか笑みを浮かべ笑い説く!
「そうであった(笑) 其方達下等生物は、
武器を所持しておるから頂に立っておれるのだったな(笑)」
「パン! パン!パン!」
拳銃の音が鳴るが、黒天に異常はなかった、
よく銀の玉だとか、聖水だとか空想の世界では魔属に有効の様に描かれているが、
実際はなんの効果もないのだが、マフィア達は鉛玉しか所持していなかった。
「残念よなぁ・・・吸血鬼に効くと言う弾も味わってみたいと思っておったが、
所持しておらんとは、不用心じゃな(笑)」
モンスターや悪魔などと娯楽の世界には多々出て来るが、
現実は誰も対策などしておらず、
抑々その様な者達が存在すると思っていなかった。
隠れる人間を、楽しみながら探し、態と見つけられないフリをして、
人間達に一瞬の安堵と絶望を与え笑う黒天!
「愉快♪ 誠に愉快じゃ♪」
「儂も炎を使わずに素手で潰しておけばよかった・・・」
「だが、あれでは・・・そろそろ飽きるぞ♪(笑)」
黒天の性格をよく理解しているクロウ、
クロウの言葉と共に黒天の様子が変わっていく・・・。
「う・・・(怒) ゴキブリの様に逃げ隠れしおって!(怒)」
結界から黒い炎が燃えだす!
「黒天も炎を使い始めたぞ(笑)」
「外から放ち中心に人間を集めるつもりだろう」
黒い炎が次々と倉庫を飲み込む!
「どうした(笑) 逃げねば炎に呑まれるぞ!♪♪」
逃げ惑う人間が中央に集まり始めると、ここでもあの臭いが!
「なんと、この倉庫の中にも麻薬が隠されておったか!」
「助けてくれ!」
「自首する!」
「早く助けてくれ!」
徐々に迫って来る黒い炎に怯えながら、黒天に命乞を行う人間に
冷たい表情で蔑み告げる・・・。
「何故助けねばならぬのだ? 下等生物の分際で、我に意見を申すなど・・・」
「な!」
「なにを言っているか・・・分からない。」
「ニホンゴ・・・ワカラナイ。」
「(笑) ならばそのまま死ぬがよい♪♪(笑)」
「プチ!」
人間が集まっていた中央に、巨大な重圧を叩きつけると一瞬で人間が潰れ、
汚れた肉汁が泡立っていた。
「(笑) 中々心地よい音であったぞ♪♪(笑)」
群がる蟻の大群を、大きな石で押し潰した様に、
人間が挽肉に変わり、挽肉が服を着ていた・・・。
「愉快であったぞ♪」
「我も見ているだけで気分がよい♪」
機嫌が良くなった黒天と紅丸、そしてクロウが二人に告げる
「流人様の為、流人様が救えと命じるならその者達は救いましょう、
されど、我らが率先して救う必要はないであろう?」
「その割には、希空達を救い叱りを受けたのは其方であろう?」
「結果的にお褒めの言葉をいただいたが、確かにそうであったな・・。」
「我も赴くまま、救いたいと思う時だけ、気分次第でよいのではないのか?」
「気分次第か?」
「気分を切り替えれば確かになぁ」
「不快に耐える必要はない、我らが耐えた結果が流人様に汚れを生んではなぁ」
「そうだなぁ、然し、この様な事は我らは控えよう、」
「そうだな、クロウ其方の仕事だ、流人様が決断した事だぞ!」
「分かっておる、あの決断が汚れを生んだのだからな・・・」
「確かに・・・」
「我らも、もっと気遣いを致さねば、流人様の僕として」
「そうであるな・・・」
この地を流人が好むのなら、流人が好む社会を作る、
その為に必要なら、裏と言わず、
この国の闇も支配する必要を、3人達が決意した。
度々は出来ぬが、たまには我らにも手伝わせろクロウ♪
それはいい♪
なにを申すのだ! 流人様より命じられたは我であるぞ! 力不足と申すか!
そうではない・・・たまにでいいのだ♪
そうだ、たまに・・・次は炎を使わずになぁ・・・(笑)
其方ら・・・本能に戻り過ぎておらぬか?
そんな事は・・・ない
そうだ・・・ない
炭化した雑居ビルは結界が晴れると共に埃となって消え空き地と化し、
倉庫も同様に空き地と変わっていた・・・。
「・・・」
「余計な事は言わんでよい!」
奈落を呼び寄せる為に、膨大な魔力を消費した為、
黒天達を唆し、務めを手伝わせた事が僕達にはお見通しだった・・・。