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呆れた俗欲国家

 流人様の闇を務めてどのくらいの月日が流れたか?

まさか露見する日が来るとは思っても見なかったクロウ。


「・・・」

 「たしかになぁ、この世界では魔力を放つ者達が我々の他にはいないからなぁ」


「・・・」

 「気にいたすな、今まで同様・・・いや今まで以上に務めを果たすだけだ!」


 僕と話すクロウ、

己の魔力の大きさを考えずに放っていた事を悔やんでいたが、

流人様の決意に己がする事に変わりはないと判断していた。


「・・・」

 「キット殿から情報が来たか?」

「・・・」

 「流人様の眷族なるぞ! 少しは敬意を払え!」

「・・・。」


 僕の中には少々の偏見が存在するが、それは力を知らぬだけで、

直ぐにキットの力を理解して行くだろうとクロウも思っている。


 まさか流人様が盗賊紛いの盗みを容認するとは思っていなかったクロウ、

無数に湧いてくるゴミ虫の様な人間を除去し続けても、

限りがないとも思っていたので、

僕達の気分転換にも良いだろうとC国へ潜入していた。


「・・・」

 「ほぉ〜、早速キット殿から情報が参ったか!」

「・・・」

「・・・。」

 「なるほど、少々厄介だな、然し我らが務めである! 参るぞ!」

「「・・・」」


 国の印刷所から偽札を盗み、それを国庫に保管してある本物とすり替え、

すり変えた金を保管してある金塊と交換する手筈だったのだが問題が起きた!

 

 「まさか、保管してある金塊まで偽物とは・・・」

「・・・」

「!!」

「・・・」

 「なるほどなぁ、横領に賄賂で本物は消え、

 国際機関の手前、偽物を見せ金にしておるのかぁ」

「・・・」

「・・・」

 「確かに、盗んでも金塊が無いのでは・・・」

「クロウ様、◯◯銀行と◯◯銀行の金庫を確認ください。」

 

 キットから国営企業の金庫を探れと指示が来たが、躊躇うクロウ、

 「よいのか?・・・」

「表向き国営ですが、実際は党営ですので問題ございません。」

 「党営?」


 この国は民主国家ではない、一党独裁の国家であって共産主義なのだ。

その為、全ての国民は党員であり、国家の為に殉じる事が命じられている。


 「全てが党員とは・・・」

「国民全てとは断言出来ませんが、主要企業や著名人は全員党員です。」

 

 党員だから富を得る事が出来、党員でない者達は蔑ろにされ迫害を受け、

地方へ逃げ延びるしかなかった。


 「これは・・・流人様が嫌うはずだ!」

「十数億人が敵対対象になりますので、現状ではこの手法しか・・・」

 「みなまで申さずともよいキット殿、闇、汚れが我が務めである。」

「お願いいたします。」

 「引き受けた! 参るぞ!」

「「・・・」」


 今回は1,000人程の僕と一緒に潜入したクロウ、

召喚すれば更に呼び寄せる事も可能だったが、初の公認仕事なので慎重であった。


 偉大なる銀行! 

表向きは国営銀行だが、内情は党員の幹部達が密かに私腹を肥やす為に、

裏口座を開設して財を貯め込んでいた。


「・・・」

「・・・」

「・・・」

 「なるほど・・・ここの金庫には党員幹部達の私財が隠されているのか!」

「・・・」

「・・・」

 「面白い事を申すなぁ♪ 少々面倒ではあるが出来るな?」

「「・・・!」」


 一部の党員幹部達がこの銀行の金庫に預けている金塊の量が何故か?

国庫に保管されている筈の金塊の量と一致する!


 そこでクロウは面倒だが、僕達を使いもう一過程増やし、

国庫に有る偽の金塊を本物のお金と交換し、

交換した偽の金塊をここの金庫に預けている、

党員幹部達の本物の金塊と交換する事にした。


 深夜に国営の印刷所に侵入するクロウ達、

軍の警備がいたが、無警戒な上、酒などを飲んでいる兵士達!

 

 「緩みきってますね!」

「・・・」

 「見つけましたか!」


 僕が地下に保管されている偽の帯封がしてある札束を発見した!

キットが無数の監視カメラやセンサーを掌握し映像を操作して隠蔽する。


 「驚きましたね! これほど印刷しているとは・・・」

「・・・」

「・・・」

 「確かに、金塊分では多過ぎますね。」

「・・・」

 僕が何かを見つけた! 

 「これは・・・偽ドル札ですね?」

「クロウ様、センサーを無力化するまで触らないでください。」

 「承知した。」


「センサーの無効化を完了しました、運び出して大丈夫です。」

 「この偽ドル札ですが、あの金庫に本物のドル札が大量にあったな?」

「・・・」

「・・・」

「苦労でなければ、そちらも御取り替えください♪」

 「承知しました。♪」

「♪」

「♪♪」


 150億円分の自国の偽札と3億ドル分の偽札を奪う!   

そして転移で国庫に移動し、本物?の札と交換し偽の金塊が保管場所に移動して、

150億円分の自国紙幣と偽の金塊を交換し、偉大なる銀行へ転移した!


 「それでは、本物の金塊と交換するとしよ、それとドル紙幣も忘れるな♪」

「・・・♪」

「・・・♪♪」


 金塊約10tと3億ドルの本物のドル紙幣を奪い流人達の元へ転移して戻る。


「それでは・・・後始末をしましょうかね(笑)」

 キットが掌握していた監視カメラやセンサーを開放して警報を鳴らす!


 直ぐに警備の兵隊が保管室へ向かうが、誰もいない・・・


 他の場所でも警報が鳴り、警官や軍隊が出動して騒ぎになっていたが、

ここで面白い事態になった。


「犯人の形跡が全くございません。」

「・・・身内の犯行ではないのか?」

「そ! そんな!」

「警備に担当していた兵士を調べ上げろ!」

「「は!」」


「叩けば、必ず埃が出るはずだ!」


 しばらくして、数名の軍関係者と党幹部が横領で逮捕された!

罪状は、国庫から金塊を盗んだ容疑だったが、盗まれた量などは公表されず、

何故か、盗まれた金塊の殆どが回収され被害は微量だと公表された!



 「被害は微量だったそうですよ?」

「面目を保つ為だろう」

「失態で処罰を恐れての隠蔽だな」

「あの国らしい事だ」

 「10tの金塊と3億ドルですよ?」


 流人が驚くが、三賢者は冷静だった。


「公表出来ぬであろう?」

「そうじゃ(笑) 偽札を作っていましたと公表するか?(笑)」

「米国がブチ切れるだろうのぉ(笑)」


 「しばらくは大人しくしてますかね?」

「どうであろうなぁ」

「反対に更に活発化するのではないか?」

「損出分を回復させる為になぁ」

 「C国・・・ですか。」

「「「それがC国だ!」」」


 「その時は、クロウ宜しくね♪♪」

「御意!」


 クロウの公認任務は無事果たせた。



「・・・」

 「そうだな」

 本社に新しく与えられたクロウの重役室で、僕達と話すクロウ。


「・・・」

 「他の僕達は趣味なる行為に銭を使うらしいぞ!」

「・・・」

「・・・」

 「そうだるなぁ・・・我も趣味が無いのでなぁ・・・。」


 社員達と同様の扱いになったクロウ達にも会社から多額の給金が配られるが、

使い道がわからない僕達、主人(クロウ)にどうしたものか尋ねていた。


 「甘味や食に費やす者もおるが、

 この様な大金では肥えてしまい任務に支障が出る。」


「・・・」

 「キットに問えとな!」

「・・・」

 「確かになぁ 知識は我ら以上だからな。」


 クロウがキットにアドバイスを求めると、キットが幾つかの返事を返した、

そんな中でも注目したのが国債購入だった!

 

「如何でしょうか? C国の国債でも購入しては?」

 「な!」

「あの国は今後発展して、我々の敵となるでしょう♪」

 「そのような国を支えろと申すのか?」

「支える必要はございません、 ただ資産を増やす為には手っ取り早い方法です。」

 「しかしなぁ・・・」


「C国の重要顧客がクロウ達だったら?」

 「なるほどのぉ・・・」

 クロウが笑みを浮かべる・・・そして思う、流石は流人様の眷族、

流人様の思考によく似ておるとキットに対して好感を抱いた。


「ただし気をつけていただきたいです。」

 「C国を信用するなと申すのであろう?」


「それだけではございません、 

横領、賄賂、贈賄、自分達が日常的に行っている行為は、

他人の同様に行っていると思ってますのでご注意を!」


 「汚れた民族かぁ・・・流人様には近づけたくない存在だな!」

「私と三賢者が牽制して注意しておりますが、

黒天様や紅丸様には、既に接触して来ておりますので僕達も警戒を!」

 「なんと・・・黒天達もか! あの者達なら大事無いと思うが・・・」


 C国からは再三に渡りプロジェクトRの国内進出を打診され、

両者が拒絶し続けているが諦めていない様だった。


「C国の暗部には気をつけてください」

 「その様な者達に遅れはとらん!」

「違います、自爆の既成事実を行い引き摺り込む卑劣な策を用いて来ますので、

周囲の関係者に被害、危害が及ぶ恐れがございます。」

 「なんと・・・(怒)」

「今回のC国の隠蔽体質をご覧になられたでしょう?」

 「そうであった、罪は無くはないであろうが、

 汚名を擦り付け逮捕された幹部達や兵士が居たな?」

 

 幹部の家族なども逮捕され、同様の罪に問われて処分されている様を知り

クロウは警戒する必要性を実感した。


 「皆も注意、警戒を怠るでないぞ!」

「「・・・」」


 クロウの部隊は暗殺を得意とした僕達が集っている。

その為、その他の事には疎く隙があるのだが、

クロウを中心とした団結力と忠義心は、僕衆の中でも飛び抜けていた。


 「我ら流人様の闇として数千年の時を共にして来たのだ、

 今更多少の揺動や調略に惑わされる事はない!」


「「「「「♪♪」」」」」


 新たな任務が増えた事で、決意も新たに団結していた。


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