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ごみ溜めに光の使徒

 プロジェクトRの活動範囲が多様化して、

争いを好む人間も増えて来た中、クロウはある雑居ビルの中に潜んでいた。


 「下僕の知らせでは、

 此処に流人様に敵対する暴力団のアジトがあるそうですが?」


 何に集っているのかすら分からない蠅や虫が漂い、

それを狙う蜘蛛や鼠が潜んでいた。


 「それにしてもゴミに相応しい寝床ですが臭くて困りますね。」

「・・・」

 「ほぉ〜、 この世界の武器とやらの力がどの程度か?

 是非体験して見たいですね♪」


 下僕の報告を楽しげに受けながら、階段を降りて行く・・・。


「!!」「なんだテメェ〜!」

「此処が◯◯会の事務所だって知っているのか!  うがぁ!」


 若僧が粋がり詰め寄って来るが瞬時に心臓を貫かれた!


「テメェ! 何しやがった!」

 奥から次々とゴミ達が湧いて来る!


 「流石♪ ゴミ箱ですね(笑) ゴミが沢山湧き出て来ましたよ(笑)」

「生きて帰すな! やっちまえ! ぐっぎゃぁ!」

 下僕達闇烏がゴミ掃除を買って出て、紅石をクロウに捧げる!


 「ご苦労様です! 全てを狩り尽くしなさい♪」

下の階に辿り着き部屋に入ると更に若い!

若く子供と言う表現が相応しい年齢の者達が部屋に居た。


 「なんですかねこの子供達は?」

「・・・!」

 下僕が何かを発見した!

部屋の奥隅に、肉達磨と化した子供達が3人蹲っていた!


 「なんですか! この子は!」

 クロウのどうしようもない言葉に返事が返って来た!


「其奴は糞ダルマだよ(笑)  みんなで糞ダルマって呼んでるんだ(笑)」


 まだ幼い子供なのに、既にゴミとして育った救いようのない言葉だった。


 「こんな幼子では紅石は望めませんね、下僕達処分しなさい!」

「・・・」

 「なんですか?」

「・・・」

 下僕が、醜い肉ダルマの声を聞く様、主人(クロウ)に願っている。

 「我に指図するとは不快ですが、

 その(いのち)と引き換えに叶えて差し上げましょう」

「・・・」


 クロウが臭く汚らわしい肉ダルマ化した子供に近づくと、

 微かに心の声が聞こえた!

「流人が助けてくれるまで・・・」

 「!! 流人様!」

 

 他にも顔を数倍に腫らし、生き物か人形か判断出来ない子供も、

「神様が、言ってたんだ、流人が必ず助けてくれるって・・・」

「だから・・・痛くても・・・苦しくても・・・流人に会うまで・・・」

 「なんと言う事ですか!」


 クロウが3人を鑑定すると3人には光の力を授かっていた!

 「この世界に居る筈がない! もしや!!」


 思考に集中していたクロウ達が一瞬油断した!

勿論敵意に対しては警戒していたが子供の動作には無警戒に等しかった!

その結果、石が肉ダルマの子供に当たった!・・・そして笑い声

「当た〜り(笑)(笑)」

「まだ動いているよこいつら(笑)」


 この行動がクロウの逆鱗に触れた!

 「下等生物以下のゴミがぁ!」


 十人近くいた子供達が一瞬で挽肉と化し周囲に飛び散った!


 「ゴミの分際で、恐れ多くも光様から流人様への御使者を(怒)」

「下僕達よ! 全ての切り刻み魂を掴み永劫の苦しみを与えよ!」

一つの下僕以外一気に周囲へ散らばり狩り始めた!


 「お前は? 先ほど進言したモノか?」

「・・・」

 服従し魂となる核を捧げようとする下僕にクロウが止める!

 「其方の真意、天晴れであった! 今後も我に仕えよ」

「・・・」

 「うむ、証拠を残すな! そして全てを隠せ!」


 血痕のみを残し、肉片を全て回収して消える下僕達、


 残された三人の子供に治癒を施したいが、

光の力を授かる子供に闇の力は届かなかった。


 生きているのが不思議と言えるほどの状態

早く適切な治療を施さなければ、幾ら光の力を授かっていても・・・


 進言した下僕を見てクロウが覚悟する

 「子供達を、紅様にお渡しして下さい。」

「・・・」

 「我は流人様に拝謁して来ます。」


 「下僕達よ! まだ見ぬ使者がおるやもせぬ、探しなさい!」

「・・・」


 闇烏が消え四方に散って行く


 「今度は我が、命懸けで流人様に進言致す番ぞ!」


 クロウが転移で黒天の元へ向かう・・・。



「何故人の子を助けた!」 

 肉ダルマ達の鑑定をし憎悪と怒りに満ち制御が乱れている黒天が

クロウを責める!

「このような子を流人様が立ち会えば、

如何なるか分からぬ其方ではなかろう(怒)」


 「心の声を聞いてしまったのでな・・・」

「心の声! この子達がなんと言った?」

 「神が流人様と出会うまで耐え忍べとな・・・」

「馬鹿な! この様な姿になるまで耐えたと申すのか(怒)」

 「分からん・・・が、三人の総意だったのは間違いない・・・。」

「この世界の神は何を考えておられるのだ(怒)」

 「本当にこの世界の神の仕業か?」

「何を申す、他の神々が関与出来る筈が・・・! まさか?」

 「分からぬ、我等が判断するには重過ぎる。」


 気安く名を口にして良い存在では無い、

間違ってはいないがそれでもあえて口に出さぬ黒天達だった。


「まぁ〜よい! 其方を流人様に紹介する事ができる好機だ!」

「それだが・・・我を二人の僕と接してくれぬか?」

「何を申す! 我ら三体は恐れ多くも同じ主より流人様に遣わされた僕、

何故そこまで隠そうとする?」

 「我は流人様の闇を吸い尽くすモノ、決して光を浴びる事はない。」

「そのような事、誰も望んでおらぬぞクロウ!」

 「望まぬ事でも、それが我が務めなのだ!」


 紅丸が医療室より出て合流する。


「全ては光の力のせいだな?」

 あの子達が苦しみながらも絶えぬ命は光の恩恵によって癒されているから

そして、中々絶えぬ事で、周囲からは疎まれ化物として扱われ、

日々の暴力と虐待に繋がっていたのだと。


「流人様に合わすのか?」

 「そのつもりだ!」

「暴走したら世界が滅ぶぞ!」

 「我の一命に掛けて抑えてみせる!」

「いつになく乱れているなクロウよ?」


 助けられたのは下僕の進言があったから、

もし、そのまま命を絶えてしまっていたら光の神が流人様を失望しかねない。


 また、後で事情を耳に致した流人様の絶望を誰が救えただろうか、

侵してはならない気遣いを自分(クロウ)がした事を償うべくしての決断だった!


「紅丸よ! 此奴が流人様の前では我等の僕として扱えと申した!」

「何故(怒)?」

「闇としての務めに障るそうじゃ!(怒)」

「我等に流人様の前で偽れと申すのか?」

 「すまないとおもう・・・。」


「紅丸抑えろ! 流人様に気付かれるぞ!」

「然し! クロウの態度!・・・」


 原色の魔族と闇の大天使長では幾つもの隔たりがあった、

然し、主に仕え、流人様の僕として永きに渡り歩んで来た事で、

切れぬ情も薄くはないと思っていた。


 「抑々、お前達が流人様に懇願したのであろう?」

「そうだ! 其方を流人様に、いつかは・・・。」

「我等が願いでもあった事だ!」

 「嬉しく思うぞ! 然しこの世界の闇は、

 我等が思うてたより汚れ醜い物だぞ!」


「それほどか!」

 「私欲の為に、多数を平気で犠牲にする、流人様が最も嫌う人種だ!」

「土地神や山神様とはよい関係と思うておったが」

「その古き良き時代を食い潰しているのが今の世だ!」


 他国との関係や文化に技術、多々の努力の結晶、

先人が努力と命で築いた結晶を財産を食い潰すのが現代に現れた国民だ!


 「その様な者達を流人様が本当に好むか?」

「それは・・・」

「現に好みの女子衆は居るではないか?」

 「その女子達にもし、誰ぞが危害を加えたら如何する?」

「その様な事!」

「あってはならんぞ!」

 「己の快楽の為に拐い、犯し、表沙汰に成らぬ様に殺し埋める」

「なんと!」

「その様な非道!許される筈がなかろう(怒)」

 「未成年と言う免罪符があるのだこの国には!」

「その様な・・・」


 同じ住まいで同じ環境に暮らしていた、

ただ、身体に違いがあったから? 感情が多少違ったから?


 嘲笑いながら石を投げつけ笑い飛ばす!

仲間と思っていた子供達がどれほど傷ついた事か?


 「その様な社会を流人様が望むと思うか?」

「其方は、・・・払うつもりなのか?」

 「それが我の務めだからな」


 「事実を公表すれば、定期的にお気にするお方だろう流人様は?」

「確かに、気になされるな」

 「その度に、事実を隠さねばならぬ」

「確かにな、其方は辛いのぉ」

「それに比べれば・・・我等の偽りなど・・・」

 「すまぬ、 助かるぞ! 黒天、紅丸。」


 初めてクロウが、二人を称号ではなく名を呼んだ!


「えぇ〜い! 分かったわ!」

「我も・・・ クロウ、流人様の元へ拝謁致せ!」

 「御意」


 流人に助けた三人お子供を託す為、

 

 そして・・・



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