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今回の合同の目的とは、

 土嚢の数を増やし、積み上げて行くが不安だらけの自衛官達、

8m+5mの暑さをそれも距離が離れているのに抉られ大破した。


 土嚢の積み方を変えて、一段一段土も盛り固め、

考えられる全ての知恵を出し尽くしやっと合格の壁が出来た!


 厚さ30m、高さ20mまで積み上げ土の重さで土台を固め、

人力で作れる最大級の壁がを制作し隊員達も安堵と疲れが押し寄せ

深夜になても動ける隊員はいなかったので仕方なく傭兵達がテントまで運ぶ。


 隊員達が動ける様になったのは明るくなり出した朝方、

蓄積した疲労を回復させる為に体内のエネルギーが枯渇して飯を求めていた。


 食堂には珍しく巨大なおにぎりが置いてあるのを発見すると!

「飯があるぞ!」

「「「「!!」」」」」


 倒れている隊員がゾンビの様に這い上がり食堂へと群がって行った!

「米だ!」

「久しぶりだな!」

「やっぱり、米だよな!」


 目頭を熱くさせながら、冷めたおにぎりを頬張る!

とても上手とは言えない無骨な形の巨大なおにぎりが最強の食べ物に思えた。


 


 朝のミーティングで教官から銃の射撃訓練を行うと聞かされ、

どの様な射撃訓練かと不安だったが、

自分達が造った壁に向かってライフルの射撃を行う。


 用意されていたライフルは、自衛隊で使われているライフルではなく、

M24と言う米陸軍などが使用しているボトルアクションの狙撃銃、

弾倉も標準の5発で照準器も一般的なものだった。


「まずは、ノーマルで銃に慣れて貰う、

そこから個々で好みの改造を行うといいぞ!」


「改造?」

「バレルとか?照準器とか? 替えるだろう?普通?」


「支給品だからな・・・」

「勝手に変更は出来ない。」


「まじか?」


 命を預ける銃、傭兵達は当然の如く徹底的に自分に合うカスタムをする、

命を守る為、自分の命だ! 金など惜しまないで改造する。


 自衛隊は別だった、国からの支給品を勝手に改造は出来ない、

申請して改造する箇所を報告して許可を得る。

 当然許可が下りなければ改造など出来ないので、ノーマルで我慢するしかない。


 身長だって手の長さ、体型だって違うのに、

支給される銃器をカスタム出来ないとは傭兵達には信じられなかった。


 仕方ないので、カスタムの為に用意してある部品やスコープを先に説明し、

自分に合ったカスタムを行う様に説明した。


「本日の課題は500mからの射撃だけど・・・大丈夫だよな?」

「「「500m!」」」


 自衛隊には本格的な狙撃銃は支給されていない、

従って狙撃手でもない限り、500mなどの長距離を狙うこともない

 

 普段の訓練での射撃距離は100m程度、

室内なら50mも無い距離での訓練しか行なっていない、

それが課題として500mと言われ全隊員が動揺していた。


「教官、 どうして狙撃銃の訓練なんでしょうか?」

「それだったら、拳銃やアサルトの訓練の方が望ましいと思うのですが?」


 実戦を考えれば接近戦や近距離の訓練を希望するが教官からNOと、

「今回装備品は持ち込んでいない、 

命に関わる近接武器は、普段使っている物を使うのが常識、

借り物は中長距離の銃器の方が感覚が変わらないのでベストなんだよ!」


 命を預ける武器、浮気はよくないと教官から言われ、

呆れるが、なんとなく納得出来る上官達だった。


 慣れないライフルを使い、500mと言う遠距離を狙うが当たらない、

基本的認識は拳銃などと変わらない、

それでも誤差が500m先では大きく違って的の外へ飛んでいった。


 集中力が足らないと指摘を受ける隊員や、

ホールドがしっかり出来ていないと指摘を受ける者もいる。


 教官が手本に隊員のライフルで的を撃つ!

 

 初段は中心から3つ離れた輪の真上!

2発目は初段の真下、3発目はその下と真っ直ぐ下がって行き

5発目でど真ん中を撃ち抜いた!


「うそだろ?」

「わざと上を狙っていたのか?」

「500mだぞ(汗)」


「この位は誰でも出来るぞ! 出来ない者は死ぬからな(笑)」


「「「「「マジか」」」」」


 実戦では接近戦の次に戦闘が多いのは拠点攻撃で、

敵陣に向かう自軍の援護を行う為に500m以上の距離から援護を行うと言う


「お前達、自衛隊は後衛任務が主流なんだろ? 

だったら戦場でもこれが必要だぞ!」


 米軍や多国籍軍が前線を受け持つ、自衛隊は補給などの後衛任務が当てられ、

戦場に参加しても教官の言う通り後衛援護が任務となるだろうと考えていた。


「狙撃、援護射撃・・・」

「確かに、自衛隊(うち)の役割になりそうだな・・・」

「だけど・・・現実は、狙撃銃なんかないぞ! ウチにはなぁ?」

「「「あぁ」」」


 上官達がジレンマに落ち、上の判断に幻滅し失望に落とされる。

「ここで慣れればいい、 次の装備会議で要求すればいいだろ?」

「次の・・・」

「もう直ぐだよな」


「その為にも、結果を示せ!」


「「「承知!」」」


 傭兵達に積極的に質問をし改善する努力をおこなうと

その姿勢に傭兵達も快く応えていた。


「撃つ前に、軽く深呼吸をするといいぞ!」


「肩に力が入ると銃身がブレるから、固定したら動かなさい方がいい」


「撃鉄は出来るだけ軽くした方がいい、 力むとブレの原因になるから

自然な感じで引き金が引けるのがベストだ!」


 1日の訓練で当たるほど優しい距離ではない、それでも教官は止めないし、

自衛官達も止めの命令がない限り訓練を続ける。


 野外で夕食を取り、各々でライフルをカスタムして行く、

疲れが出て来て集中力が鈍るが、

スコープを変える事で的の見易さと狙い易さが違う事を理解する。


 ライフルを分解して、新しいパーツに付け替える、

手入れの為の分解は行うが、性能を上げたり使いやすくする為の改造、

幼少期におもちゃ、車の改造をしてコースを早く走らせる!

あの時の気分を思い出し、殺人の為の武器なのにワクワクしている自分がいた。


 他国との合同訓練を何度も経験している自衛官達、

フリーダムの武器の扱いや指導に驚く、機密事項や言葉の隔たりはあるが、

ここまで丁寧に武器の性質や特徴を指導してくれた国は無かった。


 疑問に思い傭兵達に問うと、「無知は一瞬で死ぬからな、寝覚が悪いだろ(笑)」

自信満々で入隊して戦地に向かい、

無知故の慢心、弾詰まりや起動不良を起こし死んでいくルーキー、

最初は嘲笑っていたが、酔いが醒めると複雑な思いに押し潰されそうになる。


 フリーダムは傭兵集団だが民間企業の社員でもある、

同じ飯の窯を共にした仲間として迎え入れた以上は、最低限の知識を与える事にした。


 結果、戦死者数が減った、背中を任せられる仲間が増えた、

共有する仲間を第一に考えた結果、

悔いの残らない指導がベストと全員が重要になっていた。


 銃の特性などはある程度は聞き及んでいる、

然し、実戦で感じた、経験からの情報は貴重で自衛官達に無い決定的な物だった。


「やった! 当たった!」


「おし! 本日の訓練終了! さっさと明日に備える様に!」

「!!」


 自衛官の中で最後の隊員が500mの射撃を成功させた。

偶然かもしれない、それでも全員が1度、的に弾を命中させる事が出来た!


 この事実は隊員にとって嬉しかった♪

400m以上は狙撃手の担当、

ある意味憧れの職種だったが、その片鱗を体験出来た事が兎に角嬉しかった。


 終了時、小隊規模で管理する様に保管庫をあてがわれ、

預けた狙撃銃はどれと同じ形の物が存在しなかった・・・


「当然って言やぁ当然だけど・・・」

「こうも違うかね・・・」

「体型や癖が違うんだ当然って言やぁ当然なんだけどな・・・」


 世間では偏見で見られがちな傭兵、

戦争のプロとしての知識の高さと経験値の豊かさをしみじみ実感している自衛官達、

そしてなにより誰より、自分の命を大切にしている、

細々な装備品対して、彼らのこだわりは公務員には考えられない、

戦場で戦う同じ立場として複雑な思いがしていた。


 朝、訓練課題があからさまに変更されていた。


「なんだこれ?」

「狙撃大会か?」


 最終日まで、狙撃訓練が行われる・・・

然し今までと大きく違うのは課題がない・・・っと言うより曖昧、


 最終日の成績で上位者に褒美をプレゼント♪


 よく分からないが残り1週間を各々が狙撃の訓練を行う、

ライフルのカスタムに夢中になっている隊員、ひたすら射撃を繰り返す隊員、

小隊規模に分かれているが各自独創でベストを目指していた。


「弾も替えるのか?」

「今回は規定違反だけどな(笑)」


 通常弾では飛距離に限界がある!

傭兵達がそう言って1km以上の長距離の場合は、

火薬を変えた特殊弾を使用したり弾頭の金属を変えて加重したりすると言う。


「1kmって!」


「まぁ、公式記録って世界中で知れ渡っているけど、

あの程度じゃ、トップ100には入れないよな(笑)」


「100に!・・・」


 世界記録などが公表されているが、狙撃距離の最長は2,475m!!

とんでもない記録なのに彼らは100位以下と言う。


「本当の名手は公表とかしないしな(笑)」

「抑々自分の能力公表する馬鹿は早死にするよな(笑)」


「「「確かに・・・」」」


 国軍に所属している軍人のデータばかり、

当然と言えば当然だけど、傭兵や反政府組織のメンバーは見ない、

武器の性能が抑々違うと言う声もありそうだけど、

自分達の周りに居る傭兵達、そして今自分達が行なっている行為を考えると・・・


 笑えなかった・・・。


明日も0時に更新します。

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