ずっと友達だよ
シフの魔法によって、昨日とは打って変わってとても寒い冬が訪れた。昨日シフが出会った三人が冬だけにしかできない遊びをみんなに伝えたおかげか、世界中でそれを試してみる者たちが現れ始めた。中には雪合戦を勘違いして雪玉を祠に投げつけるという者もいたが、シフは嬉しかった。
「ベルシー、カーヴァ、ウィリー。ありがとう」
この世界のみんなが冬を嫌いにならなくなっていく。それがたまらなく嬉しかったのである。世界中のみんなが苦手な冬も楽しく乗り越えられる。それを教えたのは何者でもない、シフだ。今頃三人は何をして遊んでいるだろうか。
ベルシーは絵を描くのが好きだと言っていた。カーヴァは世界一大きな雪だるまを作れるかもしれないと言っていた。ウィリーは雪合戦が面白そうだと言っていた。
「ふふ、きっとあの三人なら今頃雪合戦だろうな」
押しの強くて喧しいウィリーのことだ。きっと彼女のやりたい遊びに二人が付き合わされているだろう。そう考えるとシフは自然と笑みがこぼれた。一日だけのお喋り。だが、貴重な一日を体験した。
三人はシフにとって心の友達になった。
「ボクが見守っているよ。世界を。だから――」
(ずっと友達でいようね!)
シフは手のひらにある数枚の桜の花びらを見て、ニコッと微笑んだ。
END.
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