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ひとり祠の中で
最近似たような夢を見るんだ。ボクの周りに多くの友達がいて一緒に雪の中を遊ぶ。雪だるまを作ったり、地面に木の枝を使って絵を描いたりしてね。でもそんなの無理なことわかってる。みんな怖がっている。ボクの存在を。
だって、ボクはこの世界の秩序を司る魔王だもの。唯一季節を操る魔法という特殊な力を使える魔王。みんなが喜んでくれるのは暖かな春とポカポカな夏。そして実りの秋。冬は……嫌いみたい。ボクは世界の秩序を司る魔王。たとえみんなが嫌がっても冬を訪れさせなければいけない。
ボクの祠は冬になると誰も来なくなる。
「さみしいよ」
本音が口から出る。無音の時が長らく続く。永遠かと思うほどに長い時をひとりぼっちで過ごすのは辛い。だから今日は、みんなが喜ぶような暖かい春の日差しをプレゼントしよう。そうすれば外に出てきてボクと遊んでくれるはず。だよね?
改めまして。ボクの名前は“シフ・ザ・ゾーン”。小さな少年に見えるけれどこの世界に秩序をもたらす魔王さ。シフって呼んでね! それじゃあいくよ。
「冬よ引っ込んで。春よ訪れろ!」




