共同戦線3 ロザリオに流れる毒
魔術省に行き、情報を得て、任務内容を再確認したのち、3人は紹介された宿に入った。
ルートは、まだ帰ってきておらず、連絡すらない。何かあったら魔術服の首元に内蔵された無線から何か連絡をしてくるだろうから気にはかけても心配はしていない。天才ですしね。
今回は、ツインの部屋が2部屋用意されたから、女性は女性どうし、男性は男性どうしで、部屋分けをした。
夕食は、1階のラウンジ横の併設のレストランで摂ることにした。食卓には、港町ならではの魚介をふんだんに使った料理が並んだ。帝都は、海がないから潮の香りのする料理に、3人は目を輝かせた。
料理を、貪るように食べていたら、スワンソンが不意に質問をしてきた。
「堕天使【フューラ】と魔人【リーデス】は、魔物と何が違うか分かるか?。」
大きなエビの入ったスープを飲んでいた2人の手が止まり、頭をひねった。
「確かに、何なんだろうね?学校では習わなかったし。」
「そうですね、前者は国家魔術師で、後者は一般の方々のなれの果て。」
「おしい、レイナ。正解ではあるんだが、決定的違いが他にもあるだろう。」
「うーん、何でしょう?一般の方々に私達は、嫌われがち。ですか?。」
「なんで疑問形なんだよ。それは、そうなんだけど。違う。」
「分かった、ロザリオね。」
「リンジー正解。そう、ロザリオなんだ。」
「ロザリオの所為で、堕天使【フューラ】や魔人【リーデス】になってしまうという事なんですか?。」
「そう、でも逆に言えばロザリオのおかげで魔物にはならない。」
「何故でしょう?ロザリオから発せられる魔力が魔物の因子を壊すとか?。」
「おお、正解レイナ。ロザリオが、魔物化の発生の様々な要素を防いでくれるんだ。」
「でも、なんでロザリオが防いでくれるのよ?。」
「お前達、卒業の時にロザリオを作ったと思うけど、何か組み込まれなかったか?。」
「血。・・・ですか?。」
「そう、自分の血がロザリオには組み込まれている。魔術学校生は授業を受けて魔術に触れれば触れるほど血が一般の人とは変遷していくんだ。特殊な素材でできている十字架にその血を組み込んで、これまた特殊な魔術式を掛けてロザリオは出来上がる。そんな、ロザリオは、魔物にとっては毒の様な物なんだそうだ。」
「そうなんだ、知らなかったわ。でも、なんでアンタは知ってるのよ。」
「いや、それは・・・。」
「英雄から聞いたんだろ?。」
気づけば、スワンソンの背後にルートがいつのまにか立っていた。
「違うか?スワンソン。」
「いや、・・・そうだけど。・・・親父から聞いたんだ。結構前だけどな。っていうか、お前いつの間に居たんだ?。」
ルートは、もうスワンソンの隣に座り店員にワインを一杯注文した。
「で、どこ行ってたかは聞かないけど、何か情報は手に入ったの?。」
「ああ、手に入った。けど、・・・まあ、今から話す。任務を全うするためにも大事な話だ。」
ルートは銀色の目をテーブルの上に走らせる。それから、3人を見渡した。
そして、ワインをあおり静かに話を始めた。