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ダークサイドファンタジー   作者: まくまかドア
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魔女狩りに関する手記

近頃、国家魔術師が、何者かに殺害される事件が相次いでいます。


魔術省の知人の話によれば、数年前から任務中に行方不明になっている魔術師が、幾数名おり、彼らがこの事件に関わっていると云う事でした。


何故そのような考えに至ったか知人に問うと、彼らが消えたであろう任務地を調査しても痕跡が何も残っていないからだという事でした。魔物に襲われていたらその跡が何かしら残ると云うし、魔人【リーデス】や堕天使【フューラ】の、仕業だとしたらそれこそ魔術省の探査機関のシステムに何かしらの反応が出るはずだと。


そして、何より今回の殺害現場には黒魔術や、聖魔術の痕跡があったということでした。

しかも、痕跡をわざと残しているのではないかと魔術省では考えているそうです。


断罪をする物が現れたのだと、魔術界に知らしめるために。


何故彼らは、この様な思想になってしまったのか?知人に聞くと心当たりはあるそうなのです。


近頃の皇帝陛下による国家魔術師を動員しての近隣諸国への虐殺行為。魔術の技術革新により、魔術大国になったことを良い事に陛下の胸の内の野望は、茫漠な物になってしまったのかも知れません。


それに、異を唱える魔術師が居なかったかというとそうではありません。事実、私の周りにもそのような人間は、少なからず居たのです。


私も、そのような考えを持っていると言っても差し支えはないでしょう。別の国とはいっても、流れる血は同じものなはずですから。


このままでは、大規模な魔術大戦が起きてしまうのかと危惧しているのです。


これらの残虐な行為に罰を下すため、大戦を未然に防ぐために彼らは、同じ思想をもった国家魔術師を集め魔女狩りをしているのではないかと云う事でした。


魔女狩りと云う呼び名は、国家魔術師の殺害事件の事を指す言葉として最近言われるようになりました。


魔女と云っても、女性魔術師だけではなく、男性魔術師も含むそうなのです。その方が、通称としては都合がいいのでしょう。


私は、魔術師ではなく魔術作成員ですから心配はないのかもしれませんが、私の夫は国家魔術師ですから不安はあるのです。


それに、まだ幼い息子に悲しい世界は見せたくはないのです。


有事になれば、私は覚悟を決めるつもりです。


この国が、より良い世界であるために禁忌を犯す事も辞さないつもりです。


そう、魔術書の改竄を。勿論、私だってしたくはありません。


できれば、愛する家族の瞳に移る世界が綺麗なものでありますように。・・・・・夜、愛する家族の閉じた瞳が疼ぐ事のないように。


そんな、未来を切に願って私は今日ここに記す。


セリーザ・カルテリア

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