帝都2 血と瞳
ルート・ログホック
国家聖魔術師にして、スワンソンの魔術学校の同輩である。ルートは、その年の聖魔術科を首席で卒業している。魔術学校での技術指導もしているから、レイナでも顔を知っている。
相方の、リンジー・ハリエルも同級生であり白魔術科を首席で卒業しいる。所謂、エリートコンビだ。
「どこの馬鹿が騒いでるかと思ったが、お前だったか。スワンソン、ニタリでの話は聞いたぞ。凄い活躍じゃないか。」
「皮肉か?仕方なかったんだ。情報不足ってやつだ。」
「ふーん」と、ルートはレイナに憐れむような視線を送る。
「加減ができないんだったら、聖魔術も覚えればいいじゃないか。特にお前のような奴はな。」
銀色の視線がスワンソンのロザリオに移る。
「俺には、無理だよ。あんな芸当ができるのは、お前みたいな天才だけだろ。それに、学校で聖魔術が上手く操れなかったから、黒魔術に逃げたのさ。」
ルートが、馬鹿にするように笑う。
「お前は、黒魔術だって操れてると言えるのか?町一つ消したんだろ?それに、・・・お前が才能が無いだって?冗談言うなよ。お前は、この帝国の英雄の血を引いてるんだぞ。」
スワンソンの顔が曇る。
「英雄だって?確かに、この国にとっちゃ英雄なのかもな。・・・でも、一方では大罪人の血も引いてるんだ。」
スワンソンの視線は完全に床に落ちる。
レイナは、驚いたようにその顔を見つめる。
「大罪人、か?・・・そうだとしても、偉大な魔術師の血を引いてる事に変わりはないだろ。」
スワンソンは、閉口する。
「時にスワンソン。お前は、聖魔術が苦手だといったけども。何故、お前の瞳は銀色なんだ?。」
スワンソンは、驚いたようにルートの顔を見る。銀色の瞳で。
「普通、黒魔術師は黒い瞳に、聖魔術師は俺みたいに銀色の瞳になるはずだ。髪の毛もそうなる。これは、魔術がそれぞれ体に馴染んでいくからと言われているが、たまに例外も居るらしい。お前みたいな奴がな。」
スワンソンは、狼狽した。そんな事、自分にだってわかりはしないのだから。
「なあ、教えてくれよスワンソン。それこそが、英雄の血じゃないのか?。」
「取り込み中悪いけど、仕事の話良いかな?。」
黙っていたマーシャが、しびれを切らして書類と共に話に割って入ってきた。
4人は、書類を渡され目を通した。
「何ですかこれ。」
レイナが、驚きの声を上げる。
「うふふ、楽しみ。」
リンジーは、嬉々とした声を出した。
「見ての通りよ。次の任務は貴方達、二組のペアで行ってもらうわ。」
「なんでなんだ?マーシャ。」
ルートが、スワンソンを横目に見ながら質問を投げかける。怪訝な声で。
「魔術師が居なくなったの。連絡が取れなくなって結構経つわ。だから、合同で行ってもらいたいの。」
マーシャが、4人に視線を飛ばして話を続ける。
「どうやら、堕天使【フューラ】の反応が出たそうなのよ。定かではないけどね。レイナさんは知らないだろうけど、貴方達3人は、分かったわよね。合同での任務になった意味が。」
マーシャは、今度は手元の種類に視線を落としさらに続ける。
「あと、これも噂話でしかないけど、・・・魔女狩りが・・・あったそうよ。これは、同期からの只の忠告として一応耳にいれといて。」
それだけ言ってマーシャは、席を立ち窓口の裏の方へ歩いて行った。
レイナは、不思議そうにその後姿を見つめていた。
残る3人は、マーシャの言葉に目を細めて深い息をついた。