序章1
若干、見切り発車気味に書いてみました。
ベタな魔法物です。宜しければ読んでみてください。
ヴォルヘスザーヘン帝国の西南の辺境の町、ニタリ。主に、農業で町民は生計を立てている。のどかな町だ。
国家闇魔術師、スワンソン・カルテリアは、白魔術師のレイナ・スカーレットと共に魔術省の命令により偵察任務で町を訪れた。
どうやら、魔物の目撃が相次いでいるらしい。
二人は、町の酒場に証言を集めに行く。
町唯一の酒場は、夕食時だというのに人は疎らだ。
「国家魔術師の物です。お話を伺いたいのですが。」
レイナが、酒場の主人にロザリオを見せ話始める。
「なんの用だい?国の犬めが。」
国家魔術師は、どこでも嫌われぎみだ。国に守られ多大な権力を保持しているから。
「この町で、魔物の目撃談が相次いでいるのですが。何か、ご存じではありませんか?。」
主人は、レイナのロザリオに一瞥をくれ、一息吐き話始めた。
「ふん!知らないね。魔物なんて珍しいものでもないだろう?。」
「しかし、町の人があまり出歩いてないのを見ると、何か理由があるのは明らかでしょう。」
酒場だけではなく、町中も人はあまり歩いてなかった。
「だから、知らないよ。商売の邪魔だ出てってくれ。」
「しかし。」
後ろで話を聞いていたスワンソンがレイナの前に出てきた。
「レイナ、下がってろ話にならない。おっさん、俺らも仕事で来ているんだ。協力してくれないと町が消えるぜ。」
スワンソンは、掌の上に炎を魔法で作り握り消した。町の未来を連想させるように。
「スワンソン君、そんな言い方良くないですわ。」
レイナが、窘める。
「ご主人、私達はこの国の人々を守るために居るのです。それは、ご理解ください。」
魔法に驚いた主人が目を擦りながら話を続けた。
「ほんとに知らない。勘弁してくれ。」
主人は、椅子に腰を下ろしてしまった。
二人は、諦め酒場を後にした。
「ほんとに、何もないのかしらね?どう思う?。」
「何も、無い訳あるか匂いはプンプンするぜ。それに。」
「それに?。」
「いや。・・・とりあえず宿を探そう。」
スワンソンは意味ありげに会話を切る。
宿も町には一つしかなくすぐに決まった。
例にもれず宿にも宿泊客はいなかった。
「一泊したいのですが、部屋を二つ用意していただけま」
「いや、一部屋でいいぜ。ご主人。」
レイナの会話を遮る。拳が脇腹に飛んできた。
「良いわけないでしょ。私は乙女よ。ラッキースケベを狙おうたってそうはいかないわ。」
「何が乙女だこんなパンチを飛ばせて。おい、ケガしたぞ治癒してくれ。」
「うるさい。」もう一発、今度は肩に飛んできた。
「それじゃあ、二部屋でそれじゃあ、明日ねスワンソン君。お休み。」
レイナは、そそくさと部屋に消えていった。
「ちっ、知らねえからな。」
スワンソンは、主人に聞こえない程度の声でボソッと呟き中空を見つめた。
レイナは、自室で食事を摂り任務記録を詳らかに書いたのち、シャワーを浴びた。黒い長髪を櫛で梳かしていたら、扉をノックする音がした。
「どなた?スワンソン君?どうしたの、こんな時間に。」
応答はない。鏡台の前の椅子から腰を上げて扉に向かって歩き出した。
「どなた?。」
「魔術省に、連絡を取らなきゃな。ちっ、めんどくせぇ。」
スワンソンは、一人自室でポツリと呟いた。