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買い物(1)




 老若男女問わず多くの人々で賑わっている、三階建ての大型ショッピングセンター。

 建物の中はしゃれた洋服店から某ファストフードチェーン店まで、両サイドに色んな店がずらりと奥へと続いて並んでいる。

 今日は、二階に上がってすぐのコミュニティスペースで戦隊ヒーローイベントが行われるようで、親子連れが目立っている。


 そして、出入り口付近に瑞樹達はいた。

 目を輝かせたアルスが、内部全体をきょろきょろと見渡した。

 突如、アルスは両手を広く掲げたと思うと、


「なんと素晴らしい施設なのだ!この場所に来れば食料品や生活必需品は勿論のこと、雑貨や趣味道具など大体のものは手に入り、さらに娯楽まで。これ程の人々が赴いているのも頷ける」


 感極まった声色でそう評した。


「そりゃまあ、市内でもここは一番大規模なショッピングセンターだからね。3フロアに渡って様々なものが揃ってるんだ。市内の離れたとこから足を運ぶ人だって少なくないはずだよ」


 幸い瑞樹たちの住む区内にあるので、家から徒歩10分。

 近くて便利で、とても助かっている。

 それよりも、さっきから粗方の通行人がアルスを見ては二度見する。

 というか、めっちゃ写真撮られてる。

 まあ、今の彼は人から見ればこんな印象だ。


「あれ、海外の人かな?スゴイイケメンじゃん!カッコいいなぁ」


 まず第一印象は、イケメンの外国人男子。

 端麗な容姿と、クッキリした外人の顔のつくり。

 西洋人に憧れを持った女達には黙っていられない。

 アルスは気づいてないみたいだが、獲物を狙うような目で見るが何匹かいたので、瑞樹が睨みをきかせるとそそくさと立ち去って行った。


「あら見て彼処の外国の子、コスプレしてるわ」


 第二印象は、コスプレイヤー。

 今のアルスの格好は、ザ・戦闘騎士。

 全身のあちこちを金属製の防具で覆い、腰にはぶら下がった鞘から柄が顔を出している。

 外国の人ってだけでも珍しくて人目につくのに、ハンサム且つコスプレしてれば必然的に周りから注目を浴びる。


「そっちの女子は誰だろうね…?コスプレ友達?それとも彼女?」


 そうなれば隣の瑞樹にも自然と視線が向けられる。


(こうなるんだったら、やはり連れてこない方がよかったかなぁ……)


 今更後の祭りだが、瑞樹はそう心の中で嘆くのだった。

 なぜ瑞樹達がこんな場所に来ているかというと、話は昨日の夜に戻る。




★☆★☆★



 皿洗いを済ませた瑞樹達は、一旦ソファに腰を沈ませて落ち着く。

 アルスはソファが気に召した様で、存分にだらけている。

 気ままにくつろぐアルスに、


「アルス、その寝間着サイズ合わないでしょ。裾のとこパッツパツだし、……おへそ隠れてないし。明日寝間着も含めてアルスの服買いに行こうか?」


 サイズが小さすぎて、アルスの引き締まった腹筋が覗いている。

 女のあたしから見て、半端なくエロい。

 つい瑞樹は露出部分をチラチラとみてしまうのだ。


「む?折角ミズキの父上殿の服を貸してもらった手前そんな、悪いではないか」


 そう憚られるが、自分は気にしなくていいから、と手を振る。


「アルスの持ってる服、実際アルスが着てきたあの甲冑服一着のみだし、あの服じゃ人前で歩けないよ。明日は休みだから、あたし買いに行ってくる」


「待て。外へ出るのなら、是非私も連れて行ってはくれないか。私はできるだけ早くこの世界に馴染みたいのだ」


 その彼の言葉に瑞樹は目を見張った。

 まだこの世界での不安が募るだろうに、それでも耐えて進歩したがる姿勢、真っ直ぐ見据える双眸。

 気持ちが強いのはひしひし伝わってくるが、


「さっき言ったけど、あの甲冑服はダメだよ?」 


「分かっている。なのでミズキの父上殿の服を借りてーーー」


「もっとだめ!えっちい!」



「え?」



 アルスが呆けた顔でこちらを凝視する。


「と、とにかくそれだけは絶対いけないの!」


 瑞樹は、自分の失言を誤魔化すように押し切った。


「では……また私は…独りここで留守番、なのか……」



「……………………」





















◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「やはり、“ニホン”は文明レベルが革命的に違う!この世界のモノも知りたいが、こんなに大規模な建て物を構築する建設技術も気になるな。なあ、ミズキ!」



「……そうだね」


 モール内をキョロキョロ見渡し、感嘆の声を上げるアルス。

 瑞樹は諦め交じりに相槌を打つことしか出来なかったのだった。


 結論。

 無自覚に罪悪感与えるのは、ずるいと思う。

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