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理由

かなり短いです





「つまり、私の聞いた情報は真っ赤な嘘だったと、そういうことか?」


 ミズキに詳しい話を聞くと、様々なことが明確になっていった。

 国王様や部下達の不審な態度。

 周囲からのひやかすような目線。

 この世界に飛び立つ直前、こちらをやけにチラチラと見てきたミズキ。

 

 掘れば掘るほど、思い当たる節が出てくる。

 すなわちアルスは、嘘の情報を伝達されていたのだ。


「ん~?当ったり前じゃん。仮にも自分の命賭けて魔族らと戦ったのに、ご褒美は何もいりませんなんて言う奴とか、普通いるわけないじゃん。たぶん国王のおっさんが、私がアルスをご所望したなんて悟られないためにアルスだけにデマ流すよう仕向けたんじゃない?」


 ミズキはだらりと机に突っ伏しながら何気なく答える。

 その彼女の回答に、アルスは疑問を抱いた。


「それで、どうして見返りに私を求めたんだ?」


 プルドでは、勇者ミズキと大して関わりを持ってた覚えはない。会話したのはせいぜい訓練の時と魔族共との戦争の時ぐらいだ。

 すると、アルスの問いにミズキは目を見開いた。

 何か不躾なことでも訊いただろうか。

 ミズキは暫く俯きながら固まったと思うと、


「そっか、そうだよね。あっちにいた頃での雰囲気から少し勘づいてたけど、アルスって……………鈍感だったんだ。でも、好き」


 ミズキは真剣な顔つきで呟いているが、最後の部分は声が小さくて何を言っていたのか聞こえなかった。

 自分が何とかかんとか、って所までしか。

 結局、それ以上アルスの問いに答えて貰うことはなかった。

 話を巻き戻して再度問いてもよかったのだが、なぜか問いてはいけないような、謎の空気の壁が瑞樹との間を遮っていた。

 一段落会話が落ち着くと、瑞樹がふと何かを思い出したかのように向かいの壁を睨んだ。

 私も釣られて彼女の視線の先に振り向くと、紙が幾重にも束なったものが壁に掛かっていた。


「6…16……2017?」


 アルスが紙に書かれていた数字をそのまま読み上げると、


「え、嘘でしょ?あの日からまだ一日も経ってないの?」


 女勇者は声を上擦らせて言う。

 あの日とはミズキがプルドに呼ばれた日のことか、とアルスは推測した。

 彼女は目を剥かせ、今度は机の上に置いてあった小型のガラス板のようなもの掴むと、その横側を親指で押す。そしてガラス板の正面を覗き込んで、さらに彼女の顔が驚愕に染まる。

 そしてそれを数秒間眺めた後、表面を指先でなぞらせ、


「うわ、あの時から3時間しか経ってないじゃん……。と言うことは!」


 すると、急にミズキはプルドで忘れそうになっていた肩掛け鞄を片手に、廊下を通じて奥の扉へとそそくさと向かう。そして振り向きざまに、


「今から学校に行ってくるから、決して、外に出ないでここに居て。大体5時間くらい姿を消すけど、心配しなくていいから。じゃあ!」


「……へ?」


 瑞樹はそう私に告げると、嵐の如くこの部屋を後にした。


「…………私は何をすれば?」


 私は一人取り残されて、この場に突っ立つことしか出来ずにいた。




不信な点、説明不足な点がありましたらどんどんご指摘ください。

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