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ノックの音が・・・

作者: マルボロ

今日もなにもなく終わった。

高校を卒業し具体的な目的を持たず東京に行き、アパートを借り、なにをするでもなく引きこもり、親の金を食いつぶし生きてきた。

いい加減バイトでも、とも思ったが、唯一の出先の近所のコンビニでバイト雑誌を取るところまではすんなりできるのだが、電話をかけようとすると電話が重くなり、履歴書を書こうとするとペンが重くなる。明日こそ明日こそ・・・で何ヶ月経っただろう?

いいバイトは意外とたくさんあるもので、興味もないことはないのだが、いかんせん億劫になる。

明日の自分は活動的であることを祈りつつ、今日も万年床に横になる。


眠りに落ちそうなとき、コン、コン、コン、とノックの音が聞こえた。時刻は夜中1時を回っている。


孤独な一人暮らしの人にはわかると思うが、これが非常に心臓に悪い。心臓が飛び出そうになるのだ。

部屋を間違えているんじゃないか?それに用があったとして、チャイムを鳴らして欲しいものだ。いや、チャイムの音も苦手なのだが・・・。

時間にすると5秒もないくらいで一気にそんな思考が頭を巡った。

就寝を邪魔されたのもあってイライラした私はそのまま眠りにつくべく、狸寝入りをすることにした。大体こんな夜中にたずねてくるなどろくな客ではない。せいぜい部屋を間違えた酔っ払いかお化けくらいだ。


そんなことを考えながら目を閉じていると・・・


何か聞こえる?


ギー、ギー、ギー


・・・引っかいている?


扉が引っかかれている!!

まさか本当に幽霊か!?確かに借りるとき家賃が安かったような・・・、しかし不動産はそんなこと一言も!!


コン、コン、コン


またノックされた!

かなり怖いが確認しなければ・・・。音を立てないようそーっとそーっと玄関に近寄り覗き穴から客人の顔を確かめる。この際もう酔っ払いであってくれ!!




・・・誰もいない・・・

いよいよもうダメだ!怖すぎる!

こうなった私は布団にもぐりこむことにした。数ヶ月住んできてこんなことは初めてだった。今日だけであってくれ!そうでないなら今月は始まったばかりでもったいないがすぐに引越しだ!



コン、コン、コン



ギー、ギー、ギー



コン、コン、コン



こんな音を聞かされながら、私は半ば気を失うように眠りに落ちた。せめてこの招かれざる客が私の許可なく入室するような無礼な客ではないことを祈りながら・・・





ピーンポーン!ピーンポーン!


突然のチャイムに飛び起きる。時間は6時、 あの客人まだ帰ってなかったのか!?

そんな私の考えに反して客人はドア越しに意外な名を名乗った。

「警察のものですがーー!」

「いらっしゃいませんかー?」


・・・警察?・・・とにかく助かった・・・のか?

私は警戒しつつ覗き穴をみる。


紛れもない、警察官の2人組だ。 昨夜の客人はおとなしく帰ってくれたようだ。


安心してドアを開ける

「はい、どうなさいました?」

「早朝に失礼いたします。実は、このアパートで殺人事件がありまして・・・」

「はっ!?」


「それで・・・ですね。非常に言いにくいのですが、その被害者の方がこちらの扉の前に倒れてらっしゃって、何かご存知ないかとたずねに参ったのですが・・・」

被害者の女性の写真を見ながら聞かれる。見たこともない顔だ。


「いや、すみませんが何も・・・」

「そうですか、失礼ですが昨夜は何時ごろご帰宅されて、何時ごろ眠られました?」

「ずっと家にいましたよ。夕方コンビニに行ったかな?でも5分もないくらいですよ。寝たのは・・・」

昨日の悪夢を思い出す。1時間は寝れなかったかなぁ?

「2時か3時だと思います。」


二人の警官が顔を見合わせる


なんだ?まさか疑われている!?そんな!?


どうにかして身の潔白の証明をしようと考えていると、警官の1人が口を開いた。

「もっと早くではないですか?12時とか、」

「いえ、それはないです・・・。 確実に1時は過ぎてました・・・。」


「実はですね、被害者の方が亡くなったとされる時間が4時半なんですね・・・。彼女ここで襲われたのではなく、この近くの路上で襲われたんです。そこからここまで、その、這って移動したような血痕が残ってまして・・・」


「はぁ・・・」

路上で襲われてここに逃げ込んだってことか、寝てなければ助けられたのかな・・・

そんなことを考えていると、警官が口を開く


「ですから、ひょっとしてあなたが眠られるまえ、1時から2時に彼女この扉を叩いていた痕跡があるんですが、その音は聞こえませんでしたか?助けを求められはしませんでしたか?」


!?

「さっ・・、さっき4時半って・・・」

「それはおおよその死亡推定時刻です。路上で襲われたのはおそらく1時くらいだとされてまして・・・」


「ちなみに、被害者の方って、どういう状態で・・・?」

「いやひどいものでした。ナイフで手足や腹部など数箇所さされてまして、喉も潰されて・・・」

警察がなにか説明してくれている。だがここですべてを理解してからは一切話の内容は入ってはこなかった。






























解説です!


今回もちょっと説明しすぎちゃってる感ありありで、意味がわかると怖い話、というか、意味がわかっちゃった話になってしまったかも知れませんが・・・



あえてもう一度言いましょう!!解説です!!!


この主人公、引きこもり生活が祟って非常に臆病になってましたね。

ドアのノックの音と引っかく音、そして覗き穴からは相手が見えなかったことで被害者女性をお化けと思い込んでしまいました。

被害者女性は通り魔だかに襲われて、足を負傷し、這って移動しかできませんでした。

女性が反撃して犯人がひるんだのか、それともあえて追撃せず被害者の反応を楽しんだのか、わかりませんが、とにかく犯人は女性を追ってとどめをさすことはしませんでした。

そこで力を振り絞りたどり着いたのが主人公の部屋の前でした。

喉をつぶされ助けを求められない、立てないからチャイムも押せない、そうなった女性が助けを求めるために行ったのが、モールス信号です。


ご存知でしょうか?点と線で表される信号で、Aなら・-、Bならー・・・、というようにアルファベット、数字などを点と線のみで表すんです。音でいうと、単音(トン)長音(ツー)で表すので、トン・ツーとも呼ばれますね。

そして女性が送っていたモールス信号はノック3回、引っかく音3回、



・・・(S)  ---(O)  ・・・(S)    だったんです。



救難要請として国際的に非常に有名な信号なんですが、お化けの恐怖に怯えてた主人公には伝わりませんでした。


もし、読者の方でご存知なかった方がいらっしゃいましたら、是非覚えておいてください。

モールスのSOSは音だけでなく光のときもありますし、

これに限らず同じものの3つの連続はSOSを表していたりします。

たとえば、間隔をあけて、上から見たら3角形になるように焚き火(狼煙)をするとSOSの意味になります。 


これを知っていると自分が遭難したときや不測の事態で窮地に陥ったとき役に立つだけでなく、

今回の話のように、誰かが助けを求めている場合がありますからね。


この話を見てくれている方、 約束ですよ?























今度は気づいてくださいね?




はい、あとがきです。

ここに解説いれようかなとも思ったんですが、最後の一言にゾッとしてくれないかな?と淡い期待をかけて、解説は本文にしました。

自分としては主な話の意味怖の部分はそうでもなくても、実は解説のラストに少し背筋が寒くなるような話を作ったつもりです。

あ、でも決して、最後を活かすためにあえて意味丸わかりの怖くない意味怖を作ったんじゃなくて、

今はこのレベルが限界なんですよね(笑)


ご感想、ご意見、アドバイス、心待ちにしております!!!お願いします!!!

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