「ただいま」と「おかえり」
ところかわって、こびとのいえ。
しらゆきひめは、いえにかえってきた こびとたちに いいました。
「あのね、わたし、おしろにかえろうと おもうの。おかあさまにも あいたいし……」
(……それに、いまはまほうがつかえるから わかるわ。わたしのいのちを ねらっていたひとは、おしろにはいない)
「ええっ!」
「そんなぁ」
こびとたちは がっかりしましたが、
「まぁ、でもこれは、しらゆきひめの じゆうだからね。しらゆきひめが いえにかえりたいなら、かえればいい。ここにいたいなら、ここにいればいい。それだけだろう?」
いちばんとしうえの こびとがいうと、みんなうなづいて、
「……そうだね!」
と、あかるいこえを あげました。
そして、「ぼくたちのこと、わすれないでね」といって、えがおでしらゆきひめをおくりだしてくれたのです。
「いままでありがとう!こびとさんたちのこと、ぜったいに わすれないわ!」
そして しらゆきひめは、おしろまで あるいて かえったのです。
「おかあさま、ただいま!」
「——おかえりなさい、しらゆきひめ」
しらゆきひめを でむかえてくれたのは、ゆるいパーマのかかった ちゃいろいかみのけをもつ おんなのひと——おきさきさまでした。
しらゆきひめは いっしゅん、おきさきさまだとは わからなかったようでした。だって、あんなにみためが かわってしまったんですもの。
でも、しらゆきひめは すぐにきづきました。
「おかあさま……?おかあさまよね?」
「そうよ、しらゆきひめ。おかえりなさい」
ようやくじぶんのいえに かえってくることが できたからでしょうか、しらゆきひめは おきさきさまに しがみついて、なきだしてしまいました。
おきさきさまは、いままでだったら すぐにしらゆきひめを ひきはがしたでしょう。
しかし、いまは ただただ しらゆきひめのことを だまって だきしめてあげたのでした。