かなわなかったはずのゆめ
しらゆきひめは、りんごのことをかんがえたのでしょうか、すこしだけかおをゆがめて、でもすぐにわらっていいました。
「りんごの あのしゃりしゃりとしたおとは だいきらいよ。だけど、このりんごをたべて このゆめがかなうなら、そのくらいは がまんできるわ。だって、まほうつかいになるなんて……かなわなかったはずのゆめだから」
「そうなのかい?どうしてかなわないと おもったんだい?」
おきさきさまは、すこしきになって ききました。すると、しらゆきひめは とつぜん なきながらいいました。
「わたし、としょかんで ほんをいっぱい よんだのよ。まほうつかいになるほうほうを しりたくて。でもね、まほうつかいになれるのは、うまれつき まほうのちからをもっているひとか、まほうつかいのこどものひとか、そのどちらかだけなんですって。わたしはうまれつきのちからなんてないの。それにじつは、おかあさまとわたしは ちがつながっていない おやこなの。だから、まほうつかいになるなんて、かなうわけのないゆめなのよ」
おきさきさまはもちろん、このことをしっていました。でもおきさきさまは、しらゆきひめがこのことをしっているなんて、おもいもしなかったのです。
「でも きょう、かなわなかったはずのゆめが、かなうのね!」
しらゆきひめはうれしそうに、どくりんごをもって わらいました。