平野修斗──種──
皆さんこんにちは。くるんと申します!
今回またまた作品をお休みさせていただきます……本当に申し訳ございません。こちらの作品も至らない点もあると思いますが、何卒よろしくお願いします。
この話は、薔薇と中学生がテーマの甘くてほろ苦い恋愛模様、明るく破茶滅茶な中学生の日常を描いたストーリとなっています。
登場人物はそれぞれ、違う恋事情を持っている。先生や同級生、先輩────
きっと色々な方が中学校生活で青春されたと思います。作者は真っ最中なのですがねw青春なんてありませんよ、周りだけです……
今回は、主人公の1人である平野修斗君のお話です。他の主人公のお話は後から投稿していこうと思います。
という訳で『薔薇と制服、そして君。』よろしくお願いします!!
「世の中に、叶わない恋なんて無いのよ!」
女の人が、別の女の人にそう言い聞かせている。女の人は泣いていた。愛する人とすれ違い、自分を責め、友達に慰められるというシーン。
(叶う恋なんか無ぇよ…まず俺好きな人すら出来ねぇよ!)
俺はテレビの女優のセリフに届かない文句を心の中で吐き、だらだらと学校へ行く支度をする。母によると、「昨日録画してた『赤色の向日葵』の続きが気になるから今から見させて〜!お願い!」との事。それでこんな朝っぱらから刺々しい愛の月9ドラマを流す羽目になった。
「あ、しゅうちゃん!お弁当忘れてるわよ〜ごめんねぇ、朝からドラマ見ちゃって」
「別に良いけど...」
ドラマの事は良いからいい加減「しゅうちゃん」呼びをやめてくれ!!もう中学生だぞ!?
なんて事を言う暇も無く...
「しゅうちゃん!行ってらっしゃい〜」
「...行ってきます」
母はお構い無しに、いつも通りの呼び名で見送る。俺は仕方なく重たいドアを開け外に出た。
まだ春だというのに、暖かさなんて感じられない程寒い。そりゃそうか。まだ4月前半だもんな。俯きながら地面と向かい合い歩いていると急に
ドンッッッ!!!
鞄に重さが走った。地味に痛い。誰だよ!!
「おはよ!修斗、今日も暗ぇ顔してんな!」
笑いながら顔を赤くして飛び乗って来たのは
川野嵐。俺の幼馴染であり、俺の親友。
「おはよ。お前は相変わらず元気そうだな」
年がら年中ハイテンションの嵐には敵わない。
小学校の頃なんかは授業中にも関わらずテンションが高すぎて俺も一緒に怒られたもんだ。(何で?)
「もう中学生か…早いよなぁ」
嵐がしみじみと言う。確かに時間とは、たまに立ち止まってみると早いものだ。出会った頃はお互いまだ人見知りで、あんなにコミュ障同士だったのに今ではすっかり仲良くなった。嵐なんかはコミュ障を卒業しようとしている。
「そうだなぁ…時止まればいいのに。テスト消えろ!」
「それな!」
こんな当たり前の何ともない会話も、慣れない通学路を歩く事も、やがて終わると思うと悲しくなってくる。だが、まだ中学生ライフは終わったわけじゃない!今から始まるんだ!なのにこんな悲しい気持ちになってどうする!
中学校ではどんな日常になるのだろうか。新しい友達、新しい先生、新しい先輩…あわよくば彼女が出来たり……それは無いか……。
俺の中学校生活、楽しくするぞ!
と、思っていたのに…いたのに……!現実とは上手くいかないものだ…この後、大変な目に遭うことなど、まだ俺は知らない。
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教室に入ると、すでに生徒が所々に集まって色々な話をしたり暴れ回ったりしていた。
小学校とは変わりない、いつもの風景だ。結局進学しても、皆代わり映えの無い笑顔を見せていた。
「うおぉ、結構グループ出来てんなぁ」
らん嵐はドアの前で驚いた顔で言う。普通、入学したての頃は皆不安で固まって教室が謎の緊張感と戦慄感に走るのに、このクラスはそんな仮定など壊すように仲が良い。小学校で同じだった友達が多いからだろうか。
「すげぇな…あれ?てかお前教室入らねぇの?」
見ると、嵐は教室の前で立ったままで入ってこようとしない。まさか、この空気にノレないとか?
「あ、俺2組。お前1組。だから教室入れない。え?知らなかったのか!!?」
おいおい、嘘だろ……聞いてないぞ……
俺は急いで教室に貼ってある、出席名簿を確認する。川野嵐……川野嵐………無ぇ!!
「ガチで知らなかったのかw」
嵐は笑いながら言う。俺は焦ってる。
いや笑い事じゃないって。俺まだ結構人見知りだって。お前みたいにまだコミュ障卒業してないんだってぇぇぇぇ…!いや待てよ…このクラスには…
再び俺は名簿を確認し、とある名前を探す。
「……あった!!江ノ真衣!」
「おぉ!真衣って1組なんだ!」
隣に居た嵐も反応する。そう、真衣とは、小学校時代の友達であり、親友だ。嵐と俺と真衣の3人でよく遊んだものだ。真衣と一緒なら結構上手くやっていけそうだな。
「そろそろクラスに戻れよ〜時間だぞ〜」
廊下に居た教師がそれぞれに声をかける。
「やべ!俺そろそろクラス戻るわ!鞄直してねぇ!」
嵐はいきなりダッシュで教室に向かい、そちらを見た時はもうすでに居なかった。ダッシュと言っても隣だからそんなに距離は無いがな。
「平野ー!」
「おぉ、真衣!」
鞄を直して、自分の席に座って寛いでいると、ついさっきまで話してた張本人がやって来た。
真衣は相変わらず小さい。自慢じゃないが、俺は結構背が高いほうだ。確か166か…そのぐらいだったかな。中1では珍しいらしく、よくビックリされる。
「平野、思ったんだけど」
「何だ?」
「担任、めっちゃ美人じゃね?」
「は?」
………実は、俺はハッキリ言ってこのクラスの担任の顔を忘れていた。名前は確か……
「いや、坂口 春乃先生の事だよ。何?お前美人じゃないって言うのかよ?」
あ、そうだそうだ、坂口先生だ。ん?今のは別に忘れてた訳じゃないぞ!入学式の前日夜更かしして眠くて入学式どころじゃなかったとかめっそうもございません……ナイナイ
「あ…あぁ!ごめん、美人だよな」
「だろー!?」
俺は適当に話を合わせた。…うん、自分でも酷いって分かってます。すいません…
ガララッ
「はい、皆席について〜」
突然音を上げ入ってきたのは、お嬢様カットのロングヘアーにちょっと薄いくらいの茶色?の髪色に、ブラウス+長めのスカートといった女性らしい服装の女の人。
「来た、坂口先生だ!」
真衣はせかせかと自分の席に着いた。生徒もバラバラと自分の席に座っていく。俺も急いで姿勢を正す。
「えーと、今日は休みの子居ないね!皆元気だなぁ〜」
「先生、俺ら無敵っすから」
「えぇ、無敵なの!?」
教室にどっと笑いが返る。俺は…それどころじゃなかった。坂口先生……あなたは、俺の大事な物を盗んで行きました。そう、俺の心です。
色白の肌に綺麗な髪、天然っぽい声を響かせる。俺は完全に虜になっていた。真衣の言っていた事が分かったよ。確かに、
「美人だ…」
俺はハッと我に帰る。気が付くと教室全員の顔がこちらに集中していた。目の前の坂口先生は顔が赤くなっていた。しまった!!声に出してしまった…!!
「え!急にどうしたの〜?先生照れるなぁ〜でもそんな事言っても何も出ないよ〜!」
坂口先生は満面の笑みで喜んでいる。
「平野何言ってんだよーw」
「おいおい、初日からプロポーズかー?」
「何言ってんの平野?坂口先生は皆の先生だから!」
あちこちで生徒が騒ぐ。男子は、はやしたて、女子は冷たい目で見てくる。最悪だ……
「とりあえず、平野君ありがとうね!嬉しいです〜!さぁ1時間目は私が担当する国語です!私頑張るぞ〜!」
こうして、俺の中学校生活初日目は大笑劇となって終わったのだった。あぁ…これから俺どうなるんだろ…でもやっぱり、坂口先生は可愛いな。
いかがでしたでしょうか?『薔薇と制服、そしてキミ。』これからもっと人物もお話も増えていく予定ですのでご期待ください!
あ、後書きスペースは人物紹介貼っていこうと思っています。新しい人物増える度に書いていこうかな。
【人物紹介】
平野修斗
主人公
・1年生
・先生に恋をしている
・水泳部所属
赤い薔薇
川野嵐
主人公
・1年生
・恋の仕方を忘れた
・美術部所属
黄色い薔薇
藤山紅美
主人公
・1年生
・先輩に恋をしている
・美術部所属
・元ヤン。
青い薔薇
大林恋那
主人公
・1年生
・修斗に恋をしている
・水泳部所属
白い薔薇