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11話 1年2組のチート組 -2

こっそりだ。

こっそりアップしよう。

どこまで続きを書けるか、自分でも分かったものじゃない……

『テレポート』


 僕は転移魔法を唱えた。地図さえあれば行ったことのない場所でも行ける僕の転移魔法で、一気に帰ろう。

 退学もあるしアカ停止もあるけど、そんなのもうどうでもいい。このチートスキルがあればなんでもやりようがあるし、そっちの方がだんぜん楽しい。

 これで、一瞬にして僕の部屋へとんぼ返り……


 のはずが。


「……あれ?」

 なにも起こらない。ほんの少しも移動してない。

『テレポート』

 もう一度唱える。この魔法で旧キャンプ場やいろんな場所へ移動したから、この魔法が使えることは実証済みなのに……


 やっぱり、なにも起こらない。


 あれ? なんでだ?

 ――とか言ってるヒマがあったら、さっさと走って逃げるべきだった。


己慧琉みえるぅ……!」


 りんのうなり声が聞こえた。ヤバい聞かれてしまった、そして僕の考えてることを読まれてしまった!

 首根っこを捕まえられるのは分かっていたので、その瞬間に僕は走りだした。


「あ、待て逃げるな!」


 て言われても待つわけない。

 幸い僕の脚力は人間離れしてて、走りながらさらに『フィジカル』で走力を強化しようとした。

 そのときに、


『スピードスター』


 ていうだれかの声が聞こえた。

 この声は伊佐(伊佐)さん……

 と気づいた次の瞬間には。



「ダメだよ鹿屋かのやくん」



 耳元を通り過ぎた声とともに、伊佐いささんが僕の前に立ちはだかった。


「うおっと!?」

「なにを思ったか知らないけど、キミを返すわけにいかないよ」


 そう言って、伊佐いささんがニヤリと笑う。

 僕は100メートルを8秒前半で走れる。つまり人類で一番早く走れるはずのに、伊佐いささんはそれを上回った……?


「いさりか、ナイス!」

「しまっ、ぐえっ!」


 後ろからりんの声が聞こえて、しまったと思ったときには背後からヘッドロックを決められていた。


「あんたも体育祭の規定、ちゃんと見たでしょ……! 1人でも欠けたらチーム責任で全員失格になるのよ、みんな退学なのよ、それを分かってんの……!?」

「ぎ、ギブ、ギブ……!」


 な、なんでりんの攻撃だけこんなダメージを食らうの……!?


「もう逃げないって約束したら離したげるわよ……!」


 声が出せないので代わりに何度かうなずくと、りんがようやく離してくれた。


「げっほ、げほっ!」

「惜しかったね、鹿屋かのやくん。私はどうやらステータスがスピードに全振りされてるみたいで、他はからっきしだけどスピードだけは誰にも負けないよ」


 満足いった顔で、伊佐いささんが腕を組んでる。

 スピードに全振り……? だから追いつかれたのか……

 そこへ、国府こくぶ霧島きりしまさんが激怒な表情で走り寄ってくる。


「このぼっち野郎、俺の経歴に傷を入れる気か! 他はどうでもいいがそれだけは許すか!」

「おまえはわたくしと同じチームにいますのよ、それを分かってますの!?」

「…………」


 一斉攻撃を加えてくる全員に、僕は黙ったまま全員の後ろを指差してやる。

 僕の指に誘われて振り返った全員の目に映ったのは、僕とは逆方向へ走って逃げてく開聞かいもんさんの後ろ姿だった。


『うおーい!?』


 僕以外が発するさけび声が重なったのは、当たり前だった。



  ※※



 必死の形相で逃げる開聞かいもんさんをこれも必死の形相で伊佐いささんが阻止。

 僕と開聞かいもんさんが国府こくぶ霧島きりしまさんにありったけの罵詈雑言を浴びせられながら学校へ着いたのは、正門のデカい鉄門が閉じられる寸前のことだった。


「何してたんですか、ギリギリですよ!」


 『一般』と書かれた腕章を着けた先輩――見たことないけどたぶん生徒会メンバーだ――が僕らが校内へ入ると同時に門を閉める。


「ホームページにも書いてたでしょう、遅刻も失格だって」

「俺は当然分かってました、このバカ2人が悪いんですよ!」


 自分はなにも悪くない、という意思表示を当たり前のように付け加えながら――まあ実際コイツの言うとおりなんだけど――、僕らをバカ扱いしてくる。

 僕はともかくとして、仮にも女の子の開聞かいもんさんにもそこまではっきり言えるのってある意味すごいよな。


「キミたちで最後だから、早く運動場へ行って」

「はい! おい行くぞお前たち、グズグズするな!」


 このバカ国府こくぶ、なんで勝手にリーダー面してんだ? べつにだれも頼んでないし、多数決をとったとしても僕はぜったい手を挙げないぞ。


 ……と思ってると。


国府こくぶ。わたくしにむかって、グズグズするな、ですって?」


 めっちゃ怒った顔で腕組みしてる霧島きりしまさんが、国府こくぶを思いっきりにらみつけていた。


「あ……」

「学級委員長ていどの分際で、わたくしに指図するなんてナマイキですわ!」

「ち、違うんです、霧島きりしまさんでなくこいつらに言ったんですよ!」

「はあ!? ちょっと国府こくぶくん、あたし達にも言ってたの!?」

「え、いや、違う! 鹿屋かのや開聞かいもんに言ったんだ!」

「あ、あ、あの……」

「ん? どうかしたのかい、開聞かいもんさん?」

「あ、あの……か、か、帰っていいですか……?」

『……だめ!!』

「キミたち早く行きなさい! 開会式に間に合わなくたって失格なのよ!」



 ……かくして、生徒会メンバーの先輩に追い立てられるようにして、僕らは運動場へ走ったのだった。

 ……ああ、マジで帰りたいよ……。


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