じゅうろく。
遅れて申し訳ございません。
僕の命を君に預ける。
これは契約だ。
君が下手にやるんだったら僕も下手にやるし、愛想悪くするんだったら僕もそうする。
君が怪我をしたなら僕も怪我をするんだ。
だから、君が死ぬなら僕も死ぬ。
ただし、僕が死んだら君も死ぬ。
僕だけ動くことはできない。
そういうことで。
契約解除の条件はひとつ。
君が心から愛することのできる人を見つけること。
もし君が途中で死んでしまったなら僕も死ぬけど、君の魂はいただく。
この世界は魂が回って生まれ変わっているから、君は来世がなくなるってことだね。
さあ、契約。
この4畳半ぽっちのスペースにいつまでもいるよりは、どうせなら他の誰か、同じ目に合わせてみたくないかい?
僕なんて、一応可愛らしい女の子の姿だ。
来世なんて、どうでもいいだろう?
...おっけー。契約成立。
それじゃあ、まずはどうするんだ?
お金を稼ぐ.....至極まっとうな発言だ。
おっと....ごめんごめん、姿を変えるのを忘れていたよ。
これで君と同じがさつであんまり綺麗じゃない姿だ。
......あ、まずは銭湯に行って散髪かい?了承したよ。
今日怒られたのは良く分からない理由だったね。
...ん?相手の気持ちを考えることは大切だって?
相手の気持ちなんて考えてどうなるのさ。
大体、人はいろんな考えを持っているんだから、相手の気持ちを推し量ることなんて出来ないでしょう?
そんなことない?...ふむ、本当によくわからないや。
ところで、今日は何を作るの?
カレーライス...ああ、君は好きだものね。美味しくつくろっか。
なんで美味しいものにしたいかって?..誰だって美味しいもの食べたいはずでしょう。
それと同じ...誰だって、ソフトクリームを服にぶつけられたら嫌ってこと...ふむ。
好きな人ができた?
いや、でもまだ契約は解けていないし。
早とちりじゃないの?
好きなだけでまだ愛には至ってない...ふーん。
....別に誰かなんてどうでもいいや。...今日先に寝るから。
豆電球はつけておいて。なんでか寝れそうにない。
うるさいな、たまには君に話さなくたっていいだろう。
僕だって良くわかっていないんだ。
ごめん、また転んだ。あー、そっちも転んじゃって。痛そうだ。
最近、君もだと思うけど体調が悪いみたい。
いつから?....大体、一週間ぐらい前。
...ああ、あれが原因かもしれないね。
あれはもう危険だからもうやらないと決めたけど、まさか。
もぅ、いい。
ところで、君の好きな人をまだ聞いてない。
心構えはできたのって?
....うん。いいよ。
「 。 、一緒にいて欲しい」
......愛してるって、くっさいセリフだよね。
それに安心して泣きそうな僕は、まるで普通の人みたい。
...契約解除。君の魂はもう自由だよ。仕方ないから、今世だけ一緒にいてあげる。
結婚...しよっか。




