じゅう。
憎い。
なんで、僕はここで転んでるのに。
泥まみれになりながら、体の色んなところ痛めて、それでも必死に抵抗して。
諦めた方がいっそ楽なくらい、心もずたぼろ。
あなたは、輝いている。
あなたは、周りに女の子を侍らせて。
まるでいけすかない王様のように。僕を見下す。
眩しくて、きらきらして。
目障り。
ずるい。
僕が必死で見つけたもの、簡単に壊していく。
友情って、お金で壊れるんだ。そっか。
あなたは僕を壊しに来てる。
じっくりと、嫌なふうに。
わざと大切なものを作らせて、それを奪って。消して。絶望させて。
酷いよ。
あなたが憎い。
僕が死ぬ前には、あなたが僕にしたことを、あなたに片っ端から同じことをして苦しめたい。
別に僕はサディストじゃない。
君の苦しむ顔を見ると、ああ笑っちゃうぐらいすっきりしそうだ。
あなたの気持ちを、理解できない。
ねぇ、僕が。
なんでかなぁ、そんなあなたの手を掴んでる。
そのまま死ねばいいのに。
僕は離さない。
あなたが顔を上げてこっちを見る。
あなたの目は腐ってなかった。
僕は、なんで。
もう腕が千切れそうだ。
僕の細い腕であなたをもちあげられるわけない。
あなたが、上がってこようとしないから。
その体なら、そこから上がれるでしょ?
楽に死のうとしないでよ。
今更、そうやって逃げられるはずないでしょう?
はやく。
「ここで死んだら、許さないから。」
もう、僕の手も限界だ。
このまま一緒に落ちるかもしれない。
あなたは、何度もゴミのように扱った僕の手を握って。
繋がって
俺は、最低のクズだと自負している。
彼女を何度も死の間際へ追い込んだ。
必要ないことすら、執拗に。
幸せも、希望も奪い取った。
彼女が嫌いなら、関わらなければいいだけだ。
彼女が痛むところを見たいわけでもない。
言い訳しかできない。
その彼女は、俺の目の前で落ちようとしている。
何故俺は彼女を助ける。
自分の体なのに理解ができない。
死ぬなと。
理由もわからずただ引っ張り続ける。
彼女の腕は今にも引っこ抜けてしまいそうだ。
彼女は顔を上げない。
魂が抜けてるように。
持ち上げられない。彼女の意思がないと、無理だ。
生きろよ。
なんて、
身勝手だ。
何様だ。
彼女にとっての復讐は、彼女が今ここで死ねば達成できるだろう。
俺は一生苦しんで、それでも生き続ける。
それじゃ、まだまだだ。
「そばにいてくれ。」
その方が何倍も、お前のことを忘れない。
なくな、俺。
お前も、泣くな。
彼女は顔を上げて。
お前のことは、理解できない。
無条件に植え付けられた憎悪も、意味なかった。
絶対、ゆるさないから。
一生、あなたの隣で監視するから。




