いち。
「そんな拗ねなくてもいいじゃん。謝るからさぁ..」
「だーめーでーす。謝ったぐらいで許すと思う?」
「うぐぐ....器ちっちゃいと大きくなれないよ。もう少し大人的視線から物事考えようよ。」
「ふーん、そういうの君が言っちゃうんだ。へー。いつも私にちびちびもう大きくなれないよとか言う君が...そもそも君が悪いんじゃん!わたしのせいにしないでよ!」
「わっ....う...悪かったよ。駅前のいつものシュークリームでいい?」
「ねぇ、今さ、金欠だからって言って安いので済まそうとしてるでしょ。」
「はいはい!わかったよもう!モフへいのモフモフケーキね!あれ高いんだから毎回の時に言わないでよ..」
「そもそもの原因はどっちに...あ、にげた。...いってらっしゃい。」
「うぅ、少しくらい無駄遣いしてもいいじゃんか..このお金、僕のお小遣いから出すんだよ?はー、もう。」
「あら、こんにちわ。」
「あ、ちわちわっ。今日は珍しくひとりだね。」
「たまには騒がしい子達から離れて一人でまったり....と思っていたのですけど、一人で買い物をしていたらいつの間にかあの子達の分まで買ってしまいました。」
「ほんと、あの子達のこと大好きだよね。ほい、荷物貸して。」
「感謝しますわ。あの子達が私を変えてくれたっていっても過言ではないのですから、彼女達を愛すのは至極当然のことです。」
「まあ、君は変わったもんね。前の君も好きだったけれど、今はすっごくたのしそうだもん。」
「....口説かれました。密告しますわね。」
「く、口説いてなんかないよ!僕が憧れてたってこと!...あれ?荷物はもういいの?家まで送るけど。」
「もう結構ですわ。これ以上一緒にいたら手篭めにされてあんなことやこんなことされそうですもの。」
「ちょっと待って、ここ大通り。なんでそんな大きな声で言うの。僕凄い居心地悪いんだけど...」
「それでは、ありがとうございました。安心してください。あの一夜の過ちは誰にも言ってはいないので。」
「それもちょっと待って!誤解しか生まないよ!普通に紅茶飲んで話しただけじゃん....あ、いっちゃった...」
「愉快な人しかいないなぁ、まったくもう。」
「ほら、馬鹿なことするなって。」
「なーに。別に平気よ平気。へっちゃらちゃらよ。」
「恥じらいを持てと言ってんだよ馬鹿が。スカートの下見えるぞ。」
「なになに?女の子と付き合ったことない純粋ボーイにはまだ早いかな?刺激的すぎて顔真っ赤になっちゃうのかな?」
「うっせぇ...くそ。」
「...?なんでいきなり近寄ってくるの。もしかして押し倒す気ね!やめて!変態!!」
「人聞きが悪いことを言うな!...お前は俺の彼女だろ。」
「..............かっこわる!!だっさ!!...もう私帰るから!じゃあね!」
「......あの性悪、絶対許さんぞ...」
「.............」
「そんな目で見るな...諦めろ。」
「.......ぅ..」
「ま、まて。目をうるうるさせるな。大声を出す準備をするな。」
「うううううううう!!!!いじめられたあああああ!!!」
「おおおおおおいいい!!!やめろ!!わかった!負けだ!」
「ああああ...えへっ。」
「今笑ったな?お前実は策士だろ...ほら、スイカバーだ。これだけだからな。」
「わぁっ.....もきゅ...もきゅ..」
「変な擬音を出しながら食べなくていいぞ、普通に食え。」
「ん..............うま......」
「ほんとお前はおいしそうに食べるな...目がとろけてるぞ」
「...食い終わっちゃった。じー...」
「見てもダメだ。最近お前はアイスを食べすぎだぞ。...どうした?」
「....おなかいたい....お薬ちょうだい...」
「はぁ....少し待ってろよ、リビングからとってくる。」
「ありがと......だいすき。」
「そっち持ってー。」
「ほいほい。....重くね?なんでお前これ持てたの?馬鹿力?」
「うっさいハゲ。か弱い女の子に馬鹿力とかやめてください。」
「うわぁ...ごめんごめん、凄い草生やしたいんだけどいいか?」
「怒るよ。ほい、あそこね。」
「んっしゃあ....疲れたぁ...なあ、なんか飲むか?」
「私の分買ってきてくれるんだ、めっずらしー。明日雨降る?」
「いいから。たまたまだっつうの。」
「....んー...同じの。」
「あ?俺コーヒーだけど飲めたっけお前。」
「うぐっ....飲めるし。早く買ってきて。」
「無理しやがって...コンポタ買うか。んじゃ、待ってろよ。」
「ん。ありがと。」
「夏って、暑いし嫌。虫もうじゃうじゃ見えるし、頭ぶっ飛んでる人も多いし。」
「わかる。でもさぁ、夏って良くないか?」
「全くわかってなさそうなんだけど、なにがって聞いてあげる。」
「わかるさ。夏はあんまり好きじゃない。ただなあ、こうやって夜に公園の滑り台で二人横になるなんて、ほかの季節じゃできないだろ?」
「よくわかんない。だって君がいればどんな時間どこにいたっていいしさ。」
「まあ、それもそうかもな。」
「ただ、君がここでそういう変な話をしてたって言うのは覚えちゃったから、夏は少し好きになった。」
「川がうるさい。」
「全く以て雰囲気を台無しにする川だね。」
「ロマンチックさを求めて夜の川原に来たのは間違いだったか。」
「微妙に寒いし、もう。ばか。」
「あー、寒いか。ほら。」
「...上着なんていらないからこっち来て。」
「それはずるいぞ...」
「ほへ?」
「秘技!スカートめくり!!!」
「あああああああ!!!!!」
「決まった...っ!」
「...絶交するよ?...明日から私達他人ね。」
「落ち着け!理由があるんだ!!」
「へー、どんな理由か聞いてもいいかな?殺されたくなかったらしっかりとした理由を説明してね!」
「女の子のパンツ見たくてやりました!」
「よし、殺そう!」
「先輩、どうしたんですか?」
「ん、いやぁ。まさか二人っきりだと思ってなくてさ。」
「ありゃ、もしかして私とふたりっきりは嫌ですか...っ」
「そういうことじゃなーいよ。ほら、僕ってあんまり話振る方じゃないじゃん。だから、大丈夫なのかなぁって。」
「あは、大丈夫ですよ。無言になっちゃっても、別に私と先輩ですし...ところで先輩、私おしゃれしたんですけど。」
「うん、とっても似合ってるよ。そのひまわり型の髪飾りとか。」
「あー、先輩が素直に可愛いーって言ってくれないー。しょげちゃおうかなぁー。」
「....可愛いよ。」
「そんな顔真っ赤にして言ってくれるとは思ってませんでした...先輩も、かっこいいですよ。」
「とんとんとんとん」
「しぇののみ...あれ?しぇののみとんであってるっけ。」
「そうそう。いくよ、とんとんとんとん。」
「しぇののみとん!」
「ところで包丁のリズムに合わせてしぇののみとんしないでもらっていい?」
「ごめんなさい。悪意はないんです。」
「だーめ、ゆるしてほしかったら手伝いなさい。」
「....はーい。おおせのままに。」