コトの裏側①
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吉岡は本社に戻って仕事の続きをしていた。
さっきは思わず少し言い過ぎてしまった……
朱美以外の作家の進捗は今月も順調だが、彼女のスランプは悩ましい問題だった。感じたままに思ったことをそのまま口にしてしまったが、あれから時折後悔の念が込み上げてくる。 いつも彼女は自分で自分を追い込みながら、瀬戸際状態でストーリーを考えているのに、自分がそこに拍車をかけてどうするのだ。吉岡が浮かない表情をしていると、背後から突然こう声をかけられた。
「吉岡、今日は神宮寺先生のところにはいいのかい? 」
「ええ、まぁ、先ほど会って話しましたし 」
「ああ、それもそうだったな。君がここにいるのは珍しいからつい…… 」
「あはは、まぁ、そうですね…… 」
コーヒーを片手に吉岡に声をかけたのは週刊キャンディー編集長の鵜飼だった。彼は吉岡が週刊誌の記者として疲弊しきっていたときに、手を差しのべてくれた恩人だった。
「せっかくだし今日は早く帰りなさい。いつも神宮寺先生に付きっきりなんだから。たまには家でゆっくりした方がいい 」
「ええ、まぁ…… 」
編集長はそう言いながら吉岡の背中をバチッと叩くと、自分の部屋へと戻っていった。鵜飼には絶対に頭が上がらない。吉岡はため息をつきながら、ちらりと時計を確認した。こんな時間に家に帰れることはそうそうない。たまには部屋を片付けて、ゆっくり寝て自分も気持ちを切り替えるか。
そう彼が決意を決めてデスクの上を片付け始めたとき、スマホから一本のメールを受信する音が鳴り響いた。
なんだ……?今時、個人アドレスにメールなんて……
迷惑メールの類いだろうか。
吉岡は少し警戒しながらもスマホを手に取ると、その中身をチェックした。
そしてそのメールに添付された写真を見るや否や、彼はムッとした表情を浮かべ荷物をまとめてすぐさま会社を後にした。




