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楽しい楽しい学園生活ですっ!  作者: 戸塚晴樹
9/13

9 僕らの授業参観?(後編)

「み、皆さん!笑ってないで、授業続けますよ。今日は二次方程式の続きです。教科書を開いてください」

 こうして藍原先生の授業は進んでいき、授業終了まで後5分となった。

「じゃあ、この問題を……相模さん!黒板に答えを書いてください」

 成績は朝野と並んでクラスでトップであるゆう、すらすらと答えを黒板に書いて自分の席に戻った。

 ゆうが席に戻ったことを確認してから藍原先生は黒板に近づいていった。

「えっとー……うん、正解ですっ!相模さんありがとう」

 椅子に立ち、黄色チョークでゆうの答えに丸をつける。

 と、同時にチャイムが鳴り、授業は終わった。この後ホームルームがあり、生徒は放課になる。



「ホームルームを始めます。連絡事項は……『皆さん、学校が早く終わったからって遊んでばかりじゃダメですよ!』だそうです。教頭先生が言ってました。他に何もないので、ホームルームを終わります。私は午後から佐藤先生とお出かけします」

 藍原先生が、教頭先生から渡されたプリントを読み、先生の予定を聞きホームルームが終わった。



「ゆうー、これから何する?みんなでカラオケ行く?」

「あぁ…ちょっと用事があるので待っててもらえますか。すぐ戻って来るので……」

 ゆうが言い終わらないうちに誰かがゆうの元に勢いよく走ってきて、ゆうに抱きついた。

「ゆう!ゆう!久しぶりだね。お姉ちゃんだよ」

 勢いよくゆうに抱きついてきたのは、彼の姉千夏だった。千夏は抱きしめる力を強くした。

「……ね、姉さん、痛いし、皆見てるから放して…」

「あっ!ごっめーん!久しぶりにゆうに会えてはしゃいじゃった♪」

「ゆう、この人誰?ずいぶんとゆうと仲良いみたいだけど」

 ゆうと千夏の様子を遠くから見ていた伊波が、我慢できなかったのか二人の元へ来た。

 伊波は千夏を殺気立った目で千夏をにらんでいる。

「うーん……ゆうくんのー彼女かなー♪」

「違います!僕の姉です。だから、かなさん悲しそうな顔しないでください」

 悲しそうなというよりはつらそうな顔をしていた伊波に少しは笑顔が戻った。

「……かなさんねー。ずいぶん、仲良くなったみたいだね!ゆう」

「ゆうのお姉さん……!初めまして、伊波かなと申します。ゆうさんとは結婚を前提にお付き合いさせていただいてます」

「かなさん!!僕たちは付き合ってないです!!また勘違いされるでしょ!」


「千夏ちゃん!!」

 3人がいろいろ話しているときに、千夏に飛び付いてきたのは藍原先生だった。

「おぉ!姫乃ちゃんじゃん。元気?」

「千夏ちゃん……会いたかった……」

 千夏と姫乃先生がイチャイチャしてるのを教室の後ろのドアから恨めしそうに覗いているのはやはり佐藤先生であった。

 後ろからの殺気を感じたのか千夏が振り向いた。

「陽菜ちゃん、久しぶりだね!また背伸びた?」

「……相模先輩は相変わらずですね。高校の時から何も変わってない。その性格も」

 佐藤先生は今まで学校では見たことないようなものすごい笑顔になった。そして、そのまま千夏に抱きついた。

「先輩、会いたかった♪」

 ゆうと伊波が驚いた顔で2人を見ているとき、姫乃先生は動揺しなかった。

「姉さん、佐藤先生とも知り合いって、しかも先輩って……えっ、姉さんって今何歳なの?」

「「それはヒ・ミ・ツ」」

千夏と藍原先生が同時に言った。

「……あの、千夏ちゃんたち、そろそろ下校してくれないかな?これから学校全体の会議があるんだけど」

「そうそう、邪魔者は帰った帰った」

 気づくとゆうたちは30分以上話していた。周りには他の生徒は誰も残っていない。

「じゃあ、帰るか。ゆう、早く行こうぜ」

「はーい、わかりました。先生さようなら」

「じゃあねー、姫乃ちゃん陽菜ちゃん。陽菜ちゃん、姫乃ちゃんのことは任せたよ!」

 ペコリと藍原先生と佐藤先生にお辞儀をしてゆうと伊波、千夏は学校から出た。


「ゆう、伊波さん、お姉ちゃんが奢ってあげるから昼御飯食べに行こう。どこでもいいから」

「お姉ちゃん、うどん食べたい。きつねうどん」

「ゆうはうどんか……伊波さんは?」

「……あ、私は、ハンバーグですかね……」

「よし、じゃあファミレス行こう。近くにファミレスがあったはず」

 3人はファミレスまで歩いていった。

「さあ、好きなもの選んでもいいよ。今日はかわいい妹のために銀行からお金をおろしてきたからね。あ、もちろん伊波さんも好きなの食べていいからね」

 お姉ちゃんに妹って言われた……なんか嬉しいような嬉しくないような……

「ゆう、どうしたの?なんか考え事をしてるみたいだったけど。お姉さんの方を見て」

「……な、なんでもないです。ほら、早く料理頼みましょうよ」

「ん?それならいいけど。ほら、メニュー貸して片付けるから」

 ゆうが伊波にメニューを渡すときゆうの手が伊波の手に触れた。すぐに手を引っ込めたゆう、その勢いでメニュー表が床に落ちてしまった。

「ホントに大丈夫?もしかして熱とかあるんじゃない?」

「どれどれ、お姉ちゃんに任せなさい」

 千夏の手がゆうの額に触れる。千夏の手の冷たさが気持ちよく、ゆうが気持ち良さそうな顔をしている。

「いいなぁ、私もゆうにそれしたい…」

「これはお姉ちゃんの権利だからダメ。んー、熱はそこまで高くないね……平熱だね」


 そうこうしてるうちに、料理が運ばれてきた。

「いただきます!んんっ、おいしい!なに、このきつねうどん、すごくおいしい」

「もう、ゆうったら。うどんのことになるとテンション上がっちゃうのは相変わらずだね」

 千夏はゆうを懐かしそうにずーっと見ている。

「たった1ヶ月離れただけなのにこんなにいとおしく感じるなんて……ホントにゆうってかわいい、一生私のものにならないかな……」

伊波は千夏の顔に恐怖を感じて、恐る恐る千夏に話しかけた。

「お、お姉さん……なにか変なこと呟いていた気がしますけど大丈夫ですか?」

「ううん、特になにもないよ。それより、伊波さんは昔のゆうの話とか聞いてみたくない?ゆうが語らなかったあれこれを、せっかくの機会だしいろいろお話ししてあげるよ」

「いいんですか!ありがとうございます。ぜひ、聞かせてほしいです!!」

 伊波の顔に笑顔が広がった、テーブルから身を乗り出して早く早くと急かしている。

 それから千夏によるゆうの昔話が始まった……

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