8 僕らの授業参観(前編)
今日は授業参観。かなさんたちは親が来るみたいだけど、僕の場合は姉さんが来ます。
「正直不安しかないんだけど……」
「……どうしたの?もしかして緊張してるの?」
伊波がゆうに声をかけるがゆうは気づかなかった。
突然、伊波がゆうに抱きついた。
「ちょっ!何するんですか。びっくりしたんですけど」
「もう時間だし、学校行こうよ。緊張しなくてもいいって、いつもどおり普通に授業を受ければ良いんだから」
時計の針はいつもゆうが寮を出る時間を越えている。慌てて2人は学校に向かった。
「なんとか間に合った……かなさん、ありがとうございます」
「いいよいいよ。いつもゆうには助けてもらってるしお礼はいらないよ」
2人の会話を盗み聞きしていた六原が会話にまざった。
「おぉ、相模さんもついに名前で呼び始めたか……よいぞ、よいぞー」
「……ろ、六原さん?急にどうしたんですか」
「テンション上がってきてるの!親が連れてきた幼女が来るかもしれないから!」
六原の中では百合<ロリのようだ。
六原の勢いに少し引き気味なゆうと伊波はゆっくりと六原のもとから気づかれないように離れた。
チャイムと同時に、教室のドアがガラッと開いた。ドアを開けてトコトコ歩いてきたのは、藍原先生。授業参観だからかいつもとは雰囲気が違う服装だ。
「皆さん、ホームルームを始めますよ。席についてください」
六原がいきなり藍原先生の元に走っていき、一眼レフで写真を撮り始めた。
「ろ、六原さん!無断で先生の写真撮るのはダメですよ!」
「……相模さん。ちょっと黙っててくれるかな。いつもとは違うかわいい先生を永久に残しておきたいからさ、邪魔はしないで」
いつもとは雰囲気が違う六原の様子にゆうは怯えている。そんなゆうを伊波はそっと抱き締める。ゆうは伊波のほとんどない胸に顔をうずめ…
そんなゆうの伊波は優しく撫でる、ゆうは気持ち良さそうにそのまま伊波の腕のなかで眠りに落ちた……
「かなさん。勝手に僕の反応を捏造しないでください。勘違いされるでしょ!」
「いや、ごめん。つい……ゆうがかわいくて……」
「伊波さん!相模さん!六原さんを止めてください!」
写真を撮られまくっていた藍原先生がついに助けを求めた。ゆうと伊波、早乙女の3人がかりで六原を止め、ようやくホームルームを始めることができた。
「皆さん知ってると思いますが今日の2限目は数学で授業参観です。先生も頑張るので皆さんも頑張ってくださいね」
「藍原先生!!」
「は、はい!どうしたんですか六原さん。何か質問でも……」
「……先生、今日はいつもよりもかわいいです。私が男だったら即刻告るレベルです。っていうかもう好きです!付き合ってください」
六原さん…そろそろやめておいた方が良いですよ。教室の後ろのドアにすごい殺気を感じるので。
教室の後ろのドアから殺気を出していた人物、佐藤先生がドアをそっと開けて教室に入ってきた。
「六原さん。後で進路指導室まで来て。2人っきりでじっくりお話ししましょうか」
佐藤先生は優しく話しかけているが、殺気は隠しきれていなかった。
佐藤先生、自分のクラスはどうしたんですか……そう思ったゆうであった。
「今から授業を始める。さて、今日は何をしようか……」
今日の1時限目は佐藤先生の体育。
そういえば、ホームルームの後帰って来た六原さんがツヤツヤしてたけどなんだったんだろう。……怒られたわけじゃなかったのかな。
「相模、君は何をしたい?」
「………そうですね……体育館でバスケットボールがしたいです。」
僕の意見が採用され、今日の体育はバスケットボールになりました。僕のチームはなぜか、いつもの個性派メンバーです。
「ゆう、パスっ!」
「はいっ!」
バスケは終わり、ゆうたちは大差で勝った。六原がバスケ得意ということをクラス全員が初めて知った。
百合とロリが好きな六原の普通の個性をやっと知れたゆうであった。
体育が終わった後、楽しそうに笑っていた六原が叫んだ。
「よーし!次は授業参観だ。ロリだ!そのために体育も頑張ったし、きっと神様が私にロリっ娘を恵んでくれるよね!ね、相模さん」
「ぼ、僕は知りませんよ……」
訂正、やはり六原は百合とロリが大好きすぎて百合とロリのためならなんでもする人物なのであった。
授業参観か……姉さんが来るって連絡があったけど、ちゃんと来てくれるかな……
「い、今から数学の授業を始めます。皆、しゃん、授業、しゃ……参観だからって緊張したりしないでくださいね」
緊張しているからなのか呂律が回っていない藍原先生、生徒たちはそんな藍原先生を見て、緊張も解けたのか笑顔になった。
緊張しないで良いって言っている藍原先生が一番緊張しているような気がするんですけど……大丈夫かな、先生……
「先生、先生が一番緊張してるように見えますけど」
「早乙女さん。心配しなくていいですよ。先生は、授業参観には馴れてますかりゃ」
その瞬間、教室全体が笑いが溢れた。どこかからか先生かわいいという声が聞こえた。




