7 これも日常!!
「伊波さん、伊波さん」
ゆうが伊波を呼ぶが、肩を揺らしても振り向こうともせず一言も話さない。
「……伊波さんじゃないでしょ」
口を尖らせて伊波が言う。
その一言だけ言って、また黙ってしまった。
ゆうはしばらく考え、どうすれば良いのかようやく気づいた。
「か、かなさん……」
「何?ゆう。やっぱりゆうがそう呼ぶの可愛い……もっかい言って」
「返事したのでもう言いません。……僕に何かして欲しいこととかないですか?」
「急にどうしたの?」
ゆうは深呼吸をして呼吸を整えてから答えた。
「さっき助けてもらったので、呼び方を変えるだけじゃなくて、他のこともかなさんにしてあげたいなって……」
「私はゆうと一緒にいられるだけでいいよ。それ以上は望まないよ。でも、ゆうがどうしてもって言うなら…今から、一緒にお風呂に入ろうよ」
ゆうの顔が一気に、ゆで上がったタコのように赤くなった。ゆうはしどろもどろしながらしゃべった。
「あ、あのどうしてお風呂に?え、今から?お風呂に?二人で入る?」
「ゆう慌てすぎ。ゆうっていつも1人で風呂入ってるじゃん。せっかく距離も縮まったんだからさ、今日くらい一緒に入ろうよ」
僕はこれでも一応男の子なんですけど……どうしようまさか、かなさんがそんな事言ってくるとは、予想してなかった…
「……ば、バスタオルは…」
「ダメに決まってるじゃん。ほら、早くお風呂に行こうよ。せっかくだし、今日は大浴場に行こう!」
寮の中にある大浴場に着いた。他に人はいない、まだ誰も来ていないようだ。
「なんか、貸し切りみたいだね。誰もいないうちに2人で入ろう。誰かが来る前にゆうのからだの隅々まで洗いたいし。隅々まで洗いたいし」
「何で2回も言ったんですか……言っておきますけど体には絶対に触らせませんよ。自分で洗いますから」
「まぁ、とりあえず入ろう。うん。話はそこからだよ」
伊波の白くて細い指が制服のボタンを一つずつ外す。制服のシャツの下から白色のキャミソールが。
次はスカートに手をかけ、スカート横のファスナーを下ろす。腰のあたりで固定されていたスカートが落ち、白色のショーツが姿を現す……
キャミソールも脱ぎ、伊波はブラジャーとショーツだけになった。
白くて透き通るようなきれいな肌、胸はほとんど無いが、とても美しい。
白くてきれいな肌。羨ましいなぁ……
って、僕は何でかなさんをじっと見てるんだろう。しかも羨ましいなんて……僕は男の子だ、僕は男の子だ、僕は男の子だ。それだけは忘れないようにしよう。
「なにぼーっとしてるの?ゆうも早く脱いでよ。もしかして、私に脱がせて欲しいの?」
「……じ、自分で脱げるので、大丈夫です。かなさん、先に入っててください。僕もすぐに行きますから」
「いいけど。絶対に逃げないでね。もし逃げたら部屋に帰ってからお仕置きね☆」
どうやら逃げ道も断たれてしまったようです…どうにかして男の子だって気づかれないようにしないと……
とりあえずかなさんの裸は見ないように気を付けよう……
「ゆう遅かったね、逃げたのかと思ったよ。ん?どうしてバスタオル装備してるの?」
「は、恥ずかしいんです……」
「本堂しょうが無いね……バスタオルありで良いよ。今は……ね……」
シャワーを浴び、頭と体を丁寧に、特に体はかなさんに見られないようにこっそりと自分で洗い。いよいよ湯船に浸からなければいけなくなった……
お風呂にバスタオル装備したまま入るのはダメだよね……かなさんが見てない隙に入ろう。
「ゆう、気持ちいいねぇ。こんなに大きい湯船を私たちに2人だけで使えるのは良いね」
「そうですね……あの…かなさん、もうちょっと離れてくれませんか。体が当たってます」
「わざと当ててるの。せっかく一緒なんだし、なにも着てないゆうの体を直接感じたいんだ」
そう言いながら、どんどんすり寄ってくる伊波、ゆうは伊波の肌の感触に耐えきれず離れていった。
「………よし、もう上がるか。じゃあゆう、私は先に出とくからごゆっくりどうぞー」
いきなり立ち上がった伊波、あれから伊波はゆうの目の前に移動してきていたので、ゆうの目には一糸纏わぬ伊波の姿が……
「えっ……ちょっ……うぅ…」
「どうしたの?あ、私の裸見て欲情しちゃった?手で目を押さえちゃってホント可愛い……」
「してません!あ、上がるなら早くしてください」
「そう?」
伊波は脱衣場に行ってしまった。
どうしよう初めて女の子の裸見ちゃった……犯罪のような気がするんだけど……
それよりもバレなくて本当に良かった……僕もそろそろ上がろうかな。
「かなさん、なんで僕の下着の臭いを嗅いでるんですか。気持ち悪いです」
「ゆうを感じたかったから。ゆうってなかなか体に触らせてくれないじゃん。私としては毎日したいところだけど、ゆうが嫌がってるから1週間に1回だけゆうが寝てる間に直接触ってるんだ」
伊波は、固まってしまったゆうを見ながら続けた。
「目の前にごちそうがあったら飛び付かないわけにはいかないでしょ」
「これからは絶対にそんな事しないでください。絶対ですよ!もし、またしたら部屋を変えてもらいますから」
「ゆ、ゆうどうしてそんなに怒ってるの……?」
なにも言わずにゆうは、さっさと着替えて脱衣場から出ていってしまった。
「言い過ぎちゃったかな……後で謝らないと……」
ゆうは、1人でポツリと呟いた。
一方その頃、早乙女と中村は……
「佳那子さん、どうしたんですかその傷。身体中にいっぱい……いったい誰にやられたんですか?」
「優子ちゃんだよ……ひどいよ、縄で強く縛るなんて」
お仕置きはあれだけでは終わらず。あの後も続いていた。
「佳那子さん、わかっていますよね。あなたは私のものです。私の奴隷です。私だけのものです。それだけは忘れないように」
「………うん。優子ちゃん……」
「あぁ、あなたのその表情最高ですわ。もっと、もっと、もっと、私にその表情を見せてください!」
早乙女と中村、二人の関係は友達でも恋人でもなく。ご主人様と奴隷。
なぜ、このような関係になったのか、なぜ中村自身で自分は奴隷だと認めているのか、その答えはただひとつ……
中村佳那子は早乙女優子に買われた、『契約奴隷』だからだぁ!
「あ、朝野さん。なんで叫んだの?中村さんが奴隷って本当なの?あと、最近おかしいよ」
「うん、本当だよ。まあ、奴隷って名だけど実際はメイドとかの方が近いけどね。あの2人とは結構前から知り合いだから知ってるんだ。あと、おかしいは言い過ぎだよ……」
さらっとものすごいことを言う朝野、六原は戸惑いを隠せないのか、スマホの画面と朝野を交互に何回も見ている。
「ね、ねえ?朝野さん、相模さん、明日、急遽授業参観をするって学校からメールが来てるよ。家族には結構前に連絡があったみたい」




