4 デートと百合とぺったんこ
今日は学園は休み、伊波さんと買い物に行く日だ。伊波さんも楽しみにしていたらしい。
「お待たせ!さぁ早く行こうぜ」
今日の伊波さんの服装は、グレーのパーカーに黒のフレアスカート、白のスニーカー。デート?だからか、いつもよりも気合いを入れている気がする。
昨日約束したとおり、行き先は、女性用の下着を中心に販売している有名な衣料品メーカーのお店である。
「そういえばゆう、昨日買った服着てくれてるんだ。似合ってる、可愛いよ」
なんだか、いつもの女装とは違い、誰かが選んでくれた服ってだけで変な気持ちになった。
電車で約20分、僕たちは都心に着いた。駅から歩いてすぐのところにそのお店はあるらしい。
駅から歩いて数分、すぐにお店に着いた。
「とりあえず、ゆうのサイズ測ってもらわないといけないね……(私が測りたいところだけど)すみません店員さん、この子初めてここに来たみたいなんで、サイズ測ってもらってもいいっすか?」
「あ、はい。わかりました、すぐにお測りしますね。では、あちらにどうぞ」
試着室でしばらく待っていると、店員さんが巻き尺を持って来た。
店員さんは僕の胸に巻き尺を巻いてサイズを測っている。
「ゆうって、会ったときから思ってたけどやっぱり胸、小さいんだ。私と同じだな」
「放っておいてください。っていうか、なんで伊波さんがここにいるんですか。自分の探すって言ってませんでした?」
店員さんは、笑いながら立ち上がって、紙に何かを書いている。
「相模様のサイズですと、普通のブラジャーではちょっと無理ですね、スポブラかノンワイヤーブラジャーがよろしいと思います」
「ゆうって、胸、ホントにぺったんこだな。まな板だな。でも、いつかきっと大きくなるよ。ガンバっ」
「伊波さんも同じようなものじゃないですか。僕は伊波さんよりも大きくなってみせますよ」
そういえば僕、男の子じゃん、大きくならないか……じゃなくて!僕、男の子じゃん、女の子に囲まれてると自分の性別忘れかけるな…
下着も無事に買えて、今日の用事はこれで終了。
「ねぇ、ゆう。まだまだ時間はあるし、予定通りイ○ン行かない?買いたいものがあるから」
「いいですけど、なにを買うんですか」
「内緒っ!まぁ、すぐにわかると思うけどね」
「へ、変なものじゃないですよね…」
伊波さんは笑顔で返事した。
「大丈夫、大丈夫。たぶん、変なものじゃないから」
しばらく歩いているとイ○ンの看板が見えてきた。土曜日だからか車が多い。僕たちは車に注意しつつ駐車場を渡った。
「というわけで、ゆう、ここからは別行動だ。私は買い物してくるから、ゆうはどこかで時間を潰しててくれ」
そう言うと伊波さんは走ってどこかに行ってしまった。
「本屋さんに行こうか」
本屋さんに行くと、どこかでみたことがある後ろ姿がガッツポーズをしていた。
「欲しかった雑誌出てるじゃん。よし買おう」
「六原さん、こんなところで何してるんですか」
「私は、学園の近くの本屋さんには置いてない雑誌を買いにきたんです。相模さんこそどうしてここに?」
「伊波さんと買い物をしに……」
「そうですか。その伊波さんはどこに?」
「1人でどこかに行きました」
そう答えると、六原さんは分厚い雑誌を掴んでレジに行ってしまった。
六原さんは何の雑誌を買いにきたんだろう。気になる……
六原が掴んだ雑誌の山を見てみると。
「百合コミック……やっぱり六原さんは百合好きなんですね。伊波さんのことがわかるかもしれないし、僕も買ってみようかな」
相模ゆう、初めて百合の世界を覗いてみます。
「ゆうー、お待たせ。ん?本買ったんだ。ねぇ、何の本?教えてよ」
「ひ、秘密ですよ……」
「いいじゃん、減るもんじゃないし」
「い、伊波さんだって僕に何を買ったか秘密にしてるじゃないですか。だから、これは見せられません!」
「まぁ、いっか。ゆう、お腹すいたし、昼飯食べに行こうぜ。ほら、早くはや」
そう言うと、伊波さんは僕の手を掴んで、また走り出した。
今日のお昼ご飯は、ハンバーガー屋さんで食べます。黄色いMのマークのお店です。
「ゆうは、何を食べるんだ?チーズバーガーね、わかった。すみません、チーズバーガー2つとポテトSください」
「お待たせしました。ご注文の商品です」
伊波さんが紙の袋を持って歩いてくる。
「持ち帰りにしてもらったから、外で食べようぜ。あ、お手拭き持ってる?持ってないならあげるけど」
ちょうど持ってなかったのでお手拭きを受け取ってから、伊波さんに質問する。
「外って……どこで食べるんですか?」
「どこって、公園のベンチに決まってるじゃん。この時期は桜がきれいだから、見ながら食べよう」
公園に着き、ちょうどベンチも空いていたので、2人で座ってチーズバーガーを食べる。伊波さんはポテトも食べる。
「ゆう、ポテトあげるよ。はい、あーんして」
「こんな大勢の人がいる前で、恥ずかしいのでいいです。あと、脚触ってくるの止めてください」
「まあ、いいけど。それよりもゆう、そろそろ敬語やめないか?堅苦しいしさ同級生なんだから、タメ口でいいよ。ほら、気軽にかなちゃんって呼んでいいんだぜ?」
「伊波さん、もう時間も遅いですし帰りましょうよ」
「ゆうが、敬語やめない限り帰らない」
伊波さんが頬を膨らませている。
「か、かなちゃん、もう時間も遅いし帰ろう。ね?」
伊波が突然笑顔になって勢いよく立ち上がった。ゆうは思わず後ずさりをしてしまった。
「やっぱり、可愛い……惚れ直したよ」
僕が驚いているのを見て、伊波さんは続けて言う。
「よし、じゃ帰ろっか。手、繋いで帰ろうぜ」
「は、はい……」
寮まで手を繋いだ。伊波さんの手は温かかった。
ちなみに、今日買った百合雑誌は伊波さんがいないときに読みました。女の子同士であんなことするなんて……
伊波さんも僕と、き、キスとかしたいのかな。
その頃、六原理恵は……
「相模さんと伊波さんのデート写真こんなにたくさん。あぁ、百合の近くにいる私って幸せだなー。尊い……あの2人、いつかキスとかしそうな勢いだし、楽しみだなー」




