3 身体測定と買い物と
授業1日目、今日は身体測定があります。身体測定って、身長測定とか体重測定とかするやつだよね、僕は身長も体重もクラスの他の人と同じくらいだと思うから問題はないと思うけど。この学園特殊だからなぁ、他にもありそうな気がする。
「ぼーっとしてるけど何かかんがえごとでもしてるのか?もしかして、私のこと考えてた?いやー、なんか照れるな」
「違います、身体測定の事を考えていたんです。いろいろ不安があって」
同じ部屋の伊波さんに一目惚れされたらしい僕は、昨日の夜は襲われないか不安であまり眠れなかった。お姉ちゃんから女の子は夜には狼になるってきいたから……伊波さんはぐっすり寝てたみたいだけど。
寮の部屋はセミダブルベッドが2つ、隣で女の子が寝てるなんて初めての状況だったから、眠れなかったっていうのもあったけど。
「伊波さんは身体測定に向けて何かしないんですか、体重が減るようにご飯抜いたりとか。」
「しないよ。そんなことしたって減るわけないって、むしろ体調崩しちゃうよ、するなら普段からゆっくり減らしておかないと」
伊波さんにしては、まともなこと言ったな。
僕が、そんなことを考えていたいた時、伊波さんは続けて言った。
「まあ、私は大好きなゆうに病気になって欲しくないだけなんだけどね」
一瞬ドキッとした。
一瞬だけね。
「そういうのは、もういいですから。早く学園に行く準備してください、授業初日から遅刻はダメですよ」
伊波は、めんどくさそうにパジャマを脱ぎ始めた。ゆうは慌てて目を塞いだ。
「どしたの?女の子同士だし恥ずかしがることないでしょ。もしかして他の人の下着姿見るの初めてだった?」
伊波さんは、顔を赤らめながら続けた。
「初めてが私なんてなんか照れるな。もっと見てもいいんだぜ」
ゆうは目を塞いだまま、部屋から出て学園に行った。
やっぱり伊波さん女の子が好きなんだ、僕、男の子だけど……どうしよう。
女の子の下着姿見そうになるなんて、なんかすごい恥ずかしかった。次から気を付けないといけないな…
別の意味で伊波さんの事を考えながら歩いていたら、学園に着いた。
今日は身体測定だけで終わりだから昼から暇になる。
「あら、相模さんおはようございます。確か、伊波かなさんと同じお部屋なんでしたね。伊波さんは、どうされたんですか」
早乙女が話しかけてきた、早乙女もルームメイトの中村とは一緒じゃなかった。
「準備が遅かったので置いてきました。あれ?早乙女さんも中村さんとは一緒じゃないんですか?」
「私たちだって、四六時中一緒なわけではないですわ。1日に5時間くらい一緒じゃなくても大丈夫ですの」
それは、大丈夫っていえるんだろうか。5時間以上一緒じゃなかったらどうなるんだろう、すごい不安なんだけど。
しばらく歩いていると、学園の正門が見えてきた。伊波さんも追いついてきたし、身体測定頑張らなきゃ。
「今日は身体測定ですっ。1年C組はまず、身長の測定からですっ。皆さん、体操服に着替えてください」
朝着替えるときは伊波さんがどこかに行ってる間に着替えたし、伊波さんが着替える前に部屋を出たから良かった。でも、ここで着替えたら男の子だってバレるかもしれないし、女の子の下着姿を見ることになっちゃう。どうしよう……
「ゆう、どうしたんだ?早く着替えないと身体測定始まるぞ。もしかして脱がせてほしいのか。しょうがないなぁ、ほらこっちに来い」
「1人で着替えられるのでいいです。伊波さん、近づいてこないでください。六原さん、ニヤニヤしないでください、カメラ構えないでください」
伊波はショックを受けたような顔をした。
本当にショック受けてるのかな。なんか、笑ってるような気がするけど。やっぱり笑ってるじゃん。
そのあと、ゆうは、皆が着替える前にトイレに行ってこっそりと着替えた。この学園のトイレの個室はなぜかすごく広かったから着替えやすかった。
「それでは、今から身長の測定を始めますっ。朝野さんから名前順に来てください」
身長測定の担当は藍原先生らしい。朝野さんよりも身長が低い先生は動かすあれに手が届いていない。割り当てを絶対間違ってる、と、クラス全員が思っていた。
「あれ?届かないですっ。佐藤先生、手伝ってもらえますか」
結局、背が高い1年B組の担任の佐藤先生に替わってもらっていた。藍原先生はぴょんぴょん跳んでみたがやっぱり届かなかった。
身長測定は佐藤先生のおかげで早く終わった。ゆうの身長は158cmだった、去年と比べてもあまり伸びてなかった。
次は体重の測定らしい、女の子にとってやっぱり体重はデリケートな問題なんだろう。皆、緊張してるように見える。
「ゆうに重い女だと思われたらどうしよう。体重増えてないといいな」
「佳那子さんの体重増えていたらどうしようかしら。縛り方変えないといけないのかしらね」
2人ほど変なところを心配してる人がいるけど、大丈夫かな。特に中村さんが。
「体重測定なら身長は関係ないので大丈夫ですっ。皆さんちゃんと並んでくださいよ。朝野さんからどうぞ体重計に」
「うーっ、緊張する……増えてませんように」
朝野は、普通に緊張していた。
続いて伊波から早乙女まで体重測定が終わった。次はいよいよゆうの番である。
「相模さんの体重は43kgですか、私と同じくらいですね。私の方が身長は低いですけど。もっと食べないとダメですよ」
六原さんが話しかけてきた。こっそり盗み見されたみたい。
去年から座高の測定は中止になったらしい。あれってなんのためにしてたんだろう。意味無かったと思う。
最後は視力の測定。この学園の視力検査表は光るタイプだった。
ゆうは裸眼だったが視力は落ちていなかった。朝野は視力が落ちていたから眼鏡を作り直すらしい。
いろいろあったが普通に終わり、下校の時間になった。
「ゆう、この後暇なら私と買い物行かないか。ゆうって持ってる服少ないだろ、私がコーディネートしてとびきりかわいくしてやるよ」
「私も昨日、佳那子さんに合いそうなモノを見つけましたの。私たちも一緒に行ってよろしいですか」
「相模さんと伊波さんの買い物デートと早乙女さんと中村さんの買い物デートですか。私ももちろんついていっていいですよね」
六原さんがニコニコしながら僕たちに近づいてきた。すごく嬉しそう。
5人で買い物に行くことになりました。普段は女装して1人で服を買いに行ってたから、友達と行くなんて楽しみだな。
「とりあえずSEVEN FORMに行こうぜ。あそこならゆうに似合うかわいい服があると思うし」
「僕、そんなにお金は持ってませんよ」
「大丈夫だって、私が買ってやるからさ。好きになった人に似合う服を買ってあげよう、って思って貯めてたんだ。遠慮しないでいいんだぜ」
わいわいとそんな話をしながら歩いていたら着いてしまった。
「じゃあ、ゆうに似合うの探してくるから、そこら辺適当に見てて。早乙女さんは佳那っちと一緒に買い物してていいよ」
「佳那っちですか……まぁいいですわ、それでは1時間後にまたここに集合ですわね。ほら、佳那子さん行きますわよ」
二手に別れて買い物がスタートした。ちなみに六原さんは僕たちの方についてきた。
「ゆう、とりあえず試着室でこれ着てみて」
伊波さんが渡してきたのは黄色のワンピースだった。試着室に入って、制服を脱いで着替えた。慣れてないから制服を脱ぐのに時間がかかってしまった。
着替えたあと試着室のドアを開けるとそこには笑顔の伊波と六原が……別の服を持って立っていた。次は白色のブラウスと水色のスカートを着た。鏡を見ると可愛いゆうの姿が。
「可愛いよ……ゆう、これを買ってあげるよ!今度デートするときは着てね。他にもいろいろ買うからまだまだ試着して」
この後、滅茶苦茶試着しました。
試着をしているうちに1時間がたち、早乙女たちも戻ってきた。早乙女が手に持っていたのは何に使うかわからないロープがたくさん入った袋だった。
六原もゆうと同じことを思ったのか、早乙女恐る恐るに質問した。
「早乙女さん、それを何に使うんですか」
「六原さん、あなたならわかると思ったんですけどね。決まってるじゃないですか、佳那子さんと遊ぶためですのよ」
中村さんに合うモノってこれだったんだ。早乙女さんは隣の工具屋さんに行ったんですね。
「それじゃ、帰るか。ゆう、せっかくだし手を繋ごうぜ」
「服を買ってもらって断れるわけが無いじゃないですか。しょうがないですね、今日だけですよ。(女の子と手を繋ぐなんて姉さん以来だよ緊張する)……って指を絡めてこないでください」
六原が無言でカメラのシャッターを切っている。今、顔が赤くなってるから恥ずかしい。
「写真撮るのやm…「相模さん、顔赤くなってて可愛い。もっと写真撮らなきゃ」
「だから、やめてくださーい!」
スキップしながら歩いている伊波を横目に見て、ゆうはため息をついた。
やっと4人は寮の部屋に帰ってきた、今日は試着しすぎて疲れた。
「明日土曜日で学園は休みだから、ショッピングモールに行こうぜ。ゆうって持ってる下着も少なかったから明日買おうぜ」
「何で知ってるんですか。やっぱり、こっそり見たんですね。」
「ごめんって、つい気になって……」
今持ってるのは、姉さんが買ってきたものだから、誰かと買いに行くしかないんだよな。1人で買いに行くのは恥ずかしいし、女の子と一緒ならどんなの買えばいいかわかるかな。僕は伊波さんと体型似てるし。
「もういいですから、明日一緒に買いに行きましょうね。じゃあ、おやすみなさい」
こうして、僕の1日は終わった。伊波さんはなぜか僕が寝ても襲ってこない、以外と根は真面目な人なのかな。




