フェチ
今になって思えば、一目惚れだったと思う。
僕はいわゆる足フェチというやつで、初めて彼女を目にした時、僕の目はその美しい足に釘付けとなってしまった。
生活圏が重なっていたから、度々見かけることはあったけど、一度も声はかけれなかった。
僕は人見知りだし、女性と交際した経験も無い。容姿だって決して優れてはいないし、声をかけたところで、不審者扱いされるのが関の山だ。
だけど、僕はどうやら自制が効かないタイプの人間らしい。お近づきになるのは不可能だと頭では分かってるけど、諦めることが出来なかった。
あの足に頬ずりしたい。あの足を舐めまわしたい。あの足で大事な部分を刺激されたい。
我ながら変態だと思う。だけど、それが僕の願望だった。
だから、強硬手段に出ることにした。
僕がやろうとしていることは間違いなく犯罪だ。あの女性もきっと抵抗するだろう。だけど、一度動き出した僕の熱情は止まらない。
僕は今、あの美しい足を持つ女性の後をつけている。彼女の生活パターンはこの一カ月の間に調べ尽した。襲撃するなら、今日この場所でが一番適している。
無理やりお持ち帰りするような真似は不本意だけど、僕には他に出来ることは無い。
僕は気配を消し、何も知らずに歩く彼女に背後から迫った。
「ああ、やっぱり最高だよ」
念願叶い。僕はその美しい足に思いっきり頬ずりをした。滑らかな白い肌、美しい曲線を描くふくらはぎ。間近で見るとやはり最高だった。女性の足をこれ程近くで見たのは生まれて初めてだ。
次は全体を舐めまわそう。気持ち良くしてもらうのは、最後のお楽しみにとっておこう。
「今夜は長い夜になるよ」
『速報です。マンションの建設現場の敷地内で、若い女性の遺体が発見されました。女性の遺体は両足が付け根から切断されており――』
程なくして、猟奇的な事件を報じるニュース速報が流れた。
了