抱き、願う。
この作品は
初投稿、初書き作品です。
至らないところは多々あるとは思いますが、
楽しんでいただけると幸いです。
僕は昔の事を思い出すように、腕にあるモノを抱きしめた。
「ねぇ、なんで君はそんな浮かない顔をしてるの?」
そう尋ねてきたのは、学級委員長の宮田さんだった。
「なんでもない」
僕は頭を振り、体育館に向かって歩き出す。
何か反応するかと思っていたが、宮田さんは何事もなかったかのように、友達のいる教室に戻っていく。
一人で寂しく体育館に向かいながら呟いた。
「宮田さん……か」
体育が嫌なんだ、と素直に言えばよかった。と何度か後悔したがもう遅い。
少し溜息を吐き、いつものようにバレーの準備をしている寺山の側に駆け寄った。
「お前どこいってたんだ?」
僕がいなかったことを不思議に思っていたのだろう。
「少し宮田さんと話した」
話したというのもおこがましいと思われるくらい少しだったが、話したことには違いないし、と心の中で自分で自分を正当化する。
「よかったじゃん。憧れの宮田さん、だもんな」
言い訳を考えていたのが恥ずかしいくらいに、爽やかな笑顔で言ってくれたので心が痛む。
「でも俺、宮田はやめておいた方がいいと思う」
寺山が小さな声で呟いていた。
僕はうるさいな、と思って受け流し、授業がはじまった。
そして憧れの宮田さんと話した夜のことだった。
急に肉まんが食べたくなり、母親に二十時半には戻る、といいコンビニに向かおうとした。
すると、家の近くに宮田さんがいたのだ。
なんで?どうして?宮田さんの家は近くなのか?
僕は焦りと驚きで物陰に隠れてしまった。
何故ここに、と不思議に思い宮田さんの様子を見ようと顔を出すと、
目が合った。僕を見ていたのだ。
時が止まったかのように錯覚するほど舞い上がり、見つめていた。
「……………。」
不意に宮田さんは遠くで何かを話していた。
それ以降僕は倒れていたらしく、記憶は途絶えていた。
母親曰く、僕と同じくらいの女の子が家まで来て、倒れていたと連絡をもらったのだ、と。
もしや、と思い名前を聞いたかどうか母親に尋ねたところ、フルネームで聞いてくれていた。
その女の子の名前は、みやたさやこ。
やはり、学級委員長の宮田さんだった。
明日、お礼を言おう。そして。
入学してから好きだったと伝えよう。
僕はなぜか勇気が溢れてきた。
母親にもこれからは気をつけなさい、あとお礼のお茶菓子でも持っていきなさい。
なんて言われ、口実もできた。
翌日、宮田さんに会うため早めに学校に向かった。
だが、会いに行ったのに宮田さんがおらず、クラスの雰囲気が違っていた為、
僕は宮田さんのクラスメイトに話を聞くと、
宮田さんは今朝引越したらしい。
そして昨日は、この街を引っ越す前に眺めたいと言っており、友達と街を歩いていたのだそうだ。
寺山はいつの間にか近くにいた。
「だから言っただろ、やめておいた方がいいと思うって」
その言葉に腹が立った僕はお前は知っていたのかと怒鳴った。
「知らん。ただ、この街にまた戻ってくる、って話を聞いた事があっただけだ」
寺山はそう言っていた。
僕は腕にある、アルバムを抱きながら初恋の人だった宮田紗也子の事を想う。
またいつか出会えることを願って。
最初はホラー要素のある物語にしようとしたのですが、書いてて微妙な気持ちになってしまってこうなりました。
どうすれば読みやすいのか、
何がおもしろいのか私も初めてで右往左往して書きました。
ですがこの作品をお気に止め、読んでくださった方にお礼申し上げます。
本当にありがとうございます。
そして、どうぞ、よろしくお願いします。




