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抱き、願う。

作者: あい
掲載日:2016/01/17

この作品は

初投稿、初書き作品です。


至らないところは多々あるとは思いますが、

楽しんでいただけると幸いです。

僕は昔の事を思い出すように、腕にあるモノを抱きしめた。




「ねぇ、なんで君はそんな浮かない顔をしてるの?」

そう尋ねてきたのは、学級委員長の宮田さんだった。


「なんでもない」

僕は頭を振り、体育館に向かって歩き出す。


何か反応するかと思っていたが、宮田さんは何事もなかったかのように、友達のいる教室に戻っていく。



一人で寂しく体育館に向かいながら呟いた。

「宮田さん……か」

体育が嫌なんだ、と素直に言えばよかった。と何度か後悔したがもう遅い。


少し溜息を吐き、いつものようにバレーの準備をしている寺山の側に駆け寄った。



「お前どこいってたんだ?」

僕がいなかったことを不思議に思っていたのだろう。


「少し宮田さんと話した」

話したというのもおこがましいと思われるくらい少しだったが、話したことには違いないし、と心の中で自分で自分を正当化する。


「よかったじゃん。憧れの宮田さん、だもんな」

言い訳を考えていたのが恥ずかしいくらいに、爽やかな笑顔で言ってくれたので心が痛む。


「でも俺、宮田はやめておいた方がいいと思う」

寺山が小さな声で呟いていた。


僕はうるさいな、と思って受け流し、授業がはじまった。



そして憧れの宮田さんと話した夜のことだった。

急に肉まんが食べたくなり、母親に二十時半には戻る、といいコンビニに向かおうとした。


すると、家の近くに宮田さんがいたのだ。


なんで?どうして?宮田さんの家は近くなのか?

僕は焦りと驚きで物陰に隠れてしまった。

何故ここに、と不思議に思い宮田さんの様子を見ようと顔を出すと、


目が合った。僕を見ていたのだ。

時が止まったかのように錯覚するほど舞い上がり、見つめていた。


「……………。」

不意に宮田さんは遠くで何かを話していた。



それ以降僕は倒れていたらしく、記憶は途絶えていた。

母親曰く、僕と同じくらいの女の子が家まで来て、倒れていたと連絡をもらったのだ、と。


もしや、と思い名前を聞いたかどうか母親に尋ねたところ、フルネームで聞いてくれていた。


その女の子の名前は、みやたさやこ。

やはり、学級委員長の宮田さんだった。


明日、お礼を言おう。そして。

入学してから好きだったと伝えよう。


僕はなぜか勇気が溢れてきた。


母親にもこれからは気をつけなさい、あとお礼のお茶菓子でも持っていきなさい。

なんて言われ、口実もできた。




翌日、宮田さんに会うため早めに学校に向かった。

だが、会いに行ったのに宮田さんがおらず、クラスの雰囲気が違っていた為、

僕は宮田さんのクラスメイトに話を聞くと、


宮田さんは今朝引越したらしい。


そして昨日は、この街を引っ越す前に眺めたいと言っており、友達と街を歩いていたのだそうだ。



寺山はいつの間にか近くにいた。

「だから言っただろ、やめておいた方がいいと思うって」


その言葉に腹が立った僕はお前は知っていたのかと怒鳴った。

「知らん。ただ、この街にまた戻ってくる、って話を聞いた事があっただけだ」

寺山はそう言っていた。




僕は腕にある、アルバムを抱きながら初恋の人だった宮田紗也子の事を想う。


またいつか出会えることを願って。

最初はホラー要素のある物語にしようとしたのですが、書いてて微妙な気持ちになってしまってこうなりました。


どうすれば読みやすいのか、

何がおもしろいのか私も初めてで右往左往して書きました。


ですがこの作品をお気に止め、読んでくださった方にお礼申し上げます。


本当にありがとうございます。

そして、どうぞ、よろしくお願いします。



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