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2ー12 連絡

 翌日。

 目を覚ました結の目の前に広がっていたのは


「知ってる天井だ」


 よく聞く定番のセリフに似たことを言いつつ体を起こし辺りを見渡し状況を確認しているとそこはR•Gに来てから寝泊まりしている部屋のベットの上で寝ていたようだった。


(あれ?俺いつベットで寝たんだ?……確か昨日は桜と一緒にいてそれで……あっ)


 結は昨日、桜の膝枕で寝ていたこととその直前に起きたちょっとした事故のことを思い出してしまい少し頬を赤らめていた。


「痛っ!!」


 アリスとの戦いの際にジャンクションを使っていた結はその反動の痛みに思わず声を漏らしていた。


(それにしても反動が徐々に弱まっている?慣れたのか?)


 アリスの実力は凄まじいものでありフルジャンクションでなかったとはいえルナを使った時よりも強い痛みが反動として返ってくると覚悟していた結は軽度の筋肉痛だけで済んでいる今の状況に対して疑問に思ったがそのことについてデメリットがあるわけではなかったため気にしないことにしていた。


「まだこんな時間か」


 とはいえ体が痛む結はもう少し休みたいと思い時計をみるとまだ双花のところに行くには時間が早いこともありもう一度ベットの中に入ろうとすると


「んんっ、寒いよぉー」


「へ?」


 ベットの中にはまるで結と一緒に寝ていたかのように横になってスヤスヤと眠っている桜の姿があった。


「ふにゅ?……あっ……おはよぉーゆっちぃー」


「ちょっ桜っ!!」


 桜は結の驚いた声で起きてしまい寝ぼけているのか起き上がると突然結の首に腕を回し抱き付いていた。


 結と桜が体を起こした際に掛け布団がめくれてしまいその隙間から見えたがどうやら昨日はF•Gのブレザーを着ていたはずの桜は寝る際にそれを着替えていたらしくワイシャツを着ているようだった。


(いや、むしろ脱いだのか。というよりワイシャツ以外なにも着てないんじゃないかっ!!)


 桜はワイシャツはあろうことか第二どころか第三ボタンまで空いており白く綺麗な肌が覗かせており下の方もまた綺麗な太ももが姿をちらつかせていた。


(寝る時はブラを外すと聞いたことはあったがそれなら前はちゃんと閉めとけよっ!!)


 思わず視線をずらした結の視界に入ったのはベットの隣にあるソファーに脱ぎ散らかされているF•Gの女子用制服、つまり桜が着ていた制服が落ちており結は桜が着替えたのではなく脱いだことに気が付いた。


 なぜ桜が脱いでそれも自分の隣で寝てたのか気になる結だったがとりあえずは抱き付いて離れない桜を引き剥がすことに専念することにした。


「おいっ桜、目を覚ませっ!!」


「うにゅぅ?……うがぁー」


「なっ!?」


 桜の背中を叩きながら目を覚ませようとするが今だに寝ぼけている桜は結の首に回している両腕の拘束を強めると自分の体重を掛けてベットに押し倒していた。


(やばいやばいやばいやばいっ!!この体制はやばい、くそっなんだこの甘い匂いは力が抜ける)


 桜に上から乗っかられる状態になった結は桜から漂う女の子特有の甘い匂いに思わず力が抜けてしまい逃げ出すことが完全に出来なくなってしまい桜を起こすためにどうにか動かすことのできる手を動かし桜の体を揺さぶっていると


(そういや桜って年齢の割に育ってるんだよな)


 桜のそれなりに育ち始めている両胸が思いっきり当たっておりブラを着けていないためその柔らかさを直に感じてしまう結は昨日触ったこともあり内心焦りまくっていた。


「うっ……うーん……ん?」


「桜?」


 結に揺さぶられて起きることができた桜は今の状況を確認するとみるみるとその可愛らしい顔を真っ赤に染め上げていき口をアワアワと動かしていた。


「だっだめだよゆっちっ!!」


「へ?」


「そ、そりゃゆっちも男の子だしそういう欲求があるのは仕方が無いと思うよ?け、けど寝てる女の子を襲うのは流石にだめだと思うし、あたしも心の準備がまだ出来てないというか……あっでもい、嫌って訳じゃなくて、その、なんというかあたしも初めてだしそういうのは一つずつ段階を踏んでというかなんというか……」


「なっ!?」


(なに言っちゃってるの!?)


 桜は今の状況をどうやら結が寝ていた桜に夜這いをしたと思っているらしく結の上で恥ずかしそうにモジモジと可愛らしい仕草をしつつ上目遣いで結を見つめていた。


 結は桜のその仕草に思わず抱き締めてしまいたい衝動に駆られるがその衝動を己の理性全てを総動員して抑え込むと今だにアワアワしている桜に今の状況を伝え始めた。


「そ、そっかごめんね迷惑かけちゃって」


「そんな落ち込むなって」


 二人ともベットから起き上がりソファーに座りながら裸ワイシャツのままではまともに話ができないためとりあえず掛け布団に包まった桜は結の説明を聞き自分が勘違いをしていることはおろかどちらかといえば桜が結に襲いかかったとも言える状況を聞きしゅんっと落ち込んでしまっていた。


 そんな桜は結に励まされながら頭を撫でてもらい小さな声で「そっか襲ってもらえた訳じゃないんだ」と言葉を漏らしていた。


「ん?なんか言ったか?」


 桜の呟きが小さすぎて聞き取ることができなかった結は桜にそう聞き直すと桜は「なんでもないっ」っと包まっている掛け布団から片手を出しプルプルと振りながら返すと掛け布団に包まったままそそくさと自分でソファーに脱ぎ散らかしていた制服に着替え始めていた。

 結はその姿を見てチラッと桜の綺麗な肌が見えてしまい慌てて「じゃっ、俺は表に出てるなっ!!」と言うと部屋から出て行った。

 もちろんその際に赤くなりながら桜の呟いた「ちぇーせっかく見せてたのに」という言葉は結に届くことはなかった。










 F•Gの制服に着替え終わった桜に呼ばれて自室に戻った結は寝ている時から付けたまんまにしていた両手首の法具に不具合がないか確認すると桜と共にR•Gに仮入学する前に双花達と前に話をした双花の私室に毎日来るように言われていたため向かった。


「おっ二人とも遅かったじゃねえか」


 部屋の前にはまだR•G側の返事の手紙が出来ていないため待機している鏡が退屈そうに待っており結達に気が付くと嬉しそうに駆け寄っていった。


「つうかなんで二人とも一緒にいるんだ?」


「「へ?」」


 鏡が気が付かなくてもいいこと気が付いてしまい思わず動揺する二人に鏡はさらなる追い打ちをかけた。


「まさかお前ら、一緒に寝て……」


「「ち、違うっ!!」」


 鏡に鋭いことを言われて思わず大声で否定してしまう結だったが桜も同じことを考えていたのか二人で大声でハモっていた。


 あまりにも焦った様子で叫ぶ二人を見て内心(うわー図星かよ)と思っていた鏡は空気を読んで


「わ、わかってるって。じょ、冗談だよ」


 と言っていた。


「ほ、ほらっ双花様達も待っているだろうし早く行こっ」


「鏡、お前が考えているような事はなかったからな?」


 桜が双花の元に急ごうと急かしているなか鏡がまるで子供の成長を喜ぶお父さんみたいな顔で結を見つめているためその誤解を解こうとするが言葉を重ねれば重ねるほど「わかってるって」とムカつく笑顔で微笑んでいて誤解解くことは結局できなかった。


「少し遅かったですね。なにかありましたか?」


 部屋の中に入るとそこにはすでに双花、春姫、火燐の三人がお店にあるような丸いテーブルを囲っておりお茶をしていた。


 双花は結の部屋に来たときに着ていた二つ葉の刺繍のある水色の着物を着ていて髪は後ろで一つに括り所謂ポニーテールにしていた。


 春姫はいつものようにドレスのような服を着ており前に着ていたのと違い黄色を基調としたくさんのフリルのついたものを着て、頭は特に結んだりもせずに自然に後ろに垂らしていた。


 火燐は上には女性のために作られたような鎧でよくドラマなどでみるゴツゴツとしたものではなく無駄を省いたスマートな鎧を着ており、下はミニスカートのような鎧を着た真紅の長い髪を春姫と同じように一つに纏めポニーテールにしていたがただ結んでいるだけの春姫と違いこちらは逆毛をたてておりボリューム感溢れたふわふわとしたものになっていた。


「い、いえっ少し準備に手間取ってしまっただけです」


 少し慣れたのか緊張しながらも前みたいに石化せずに双花に説明する桜だったが結との出来事を思い出したのか少し赤くなっていた。


 それをみた双花は意味ありげな視線を結に向けていた。視線を向けられいる結はなんとなく居心地が悪くなり思わず目をそらしてしまっていた。

 それをみた双花はますますジト目で結を見つめていた。


 その様子を見ていた春姫は頭の上にたくさんのクエスチョンマークを浮かべておりそれに対して火燐はなにかに気が付いたような顔になると意味ありげな笑顔を結に向けていた。


「そ、それで?今日は何の目的で集めた?」


 動揺を隠そうと努力しながら双花達に話しかける結だったがあまりにも隠すのが下手で動揺しているのが皆に完全にばれていた。


「それはもちろん昨日一日R•Gに仮入学した感想が聞きたくてな」


 結の質問に答えたのは双花ではなく火燐だった。毎朝来るように言ったのはその日の報告をしてもらう際に当日では疲れているだろうと思い優しさで次の日の朝に来るように言っていたらしい。


「そうだな、とりあえず授業に関しては特にない、ただ思ったのはアリスの実力だ」


「確か昨日は体育があったの。まさか戦ったの?」


 結は昨日の経緯を話すとやはりというべきか話題の中心はR•Gの秘蔵っ子アリスの話になった。


「すごいではないか、アリスは幻操師としての実力が高いだけではない心装も使える。そのアリスに勝つなんて称賛に値するな」


 アリスの実力は高かったしかし戦っていて思ったのだが恐らくアリスは本気ではあったが全力を出せていなかった。


 アリスの得意とする属性は火、人間にとって、いや生き物にとって火というのはとてもわかりやすい破壊の力だ。

 一つ間違えば一瞬で相手を灰にしてしまう。

 つまりアリスは本気で戦いながらも万が一結を殺してしまわぬように細心の注意を払っていたことになる。

 集中力が他のことにいっている以上それはアリスの本当の実力ではないだろう。


「ほう、冷静分析だな。昨日の戦いを実際に見ていた訳ではないからな確実なことは言えないが恐らくはその通りだろう。アリスの全力は攻撃後にその火を持って相手を焼き尽くすものだ。対人ではその威力もだいぶ抑えているだろうからな」


 火燐も結と同じ意見らしく戦争などの相手に手加減する必要の無い状況で実力を昨日出されていたら恐らくあのままでは勝つことはできなかっただろう。


 考え込んでしまい落ち込んでいると思われてしまった結は火燐から「そ、それでもアリスは十分強い。そのアリスに勝ったんだ。落ち込むことなどないぞっ!!」と励まされしまいとりあえずはその励ましを受け取ることにした結だった。


「さて、それではもう一つの話といきましょうか」


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