表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6






 記念すべき第一回戦は、準備不足どころではないロランに対し、万全であったマリユスが暗器を取り出したところで勝敗が結した。

 つまりは美味しく頂かれてしまったのだ。それも朝まで延々と。

 おかげで仲間の所に顔を出す時には、情けなくもマリユスに支えられなければ歩けないほどであった。ここで抱きかかえず片腕を持つだけで、必死に歩く様子を眺めているところがポイントである。

 片方が清々しそうに、もう片方がげっそりとしている様子そのものは、ハヤブサの面々も見慣れていたが、ロランが後者であったことに城下の宿で彼女の帰りを待っていた彼らは衝撃を受けた。


「お、おい、大丈夫か?」

「ロランさん?!」

「今度はどんな面倒事を起こした?!」


 この時ばかりは、ゴードンの心配する言葉にロランも胸を打たれた。そして最後の奴は全力で締めると決める。

 しかしながら、彼女の苦悩はまだ始まったばかり。

 宿屋の一階の食堂でとりあえず腰を落ち着け、未だになぜこんなことになったのか分からないロランがマリユスへ説明を求めようとしたところで、次にして長年恐れていた出来事が起こる。

 轟音と共に入口が吹き飛んだかと思えば、砂埃を巻き起こしながら三つの人影が乱入したのだ。

 疲労困憊なロランはマリユスとゴードンが庇い、他の皆は瞬時に身構える。

 そんな中、魂の叫びは木霊した。


「アンジェリーナあああああ!」

「げっ!」


 それを聞いた途端、ロランは渾身の力を振り絞って逃げ出そうとするもあっけなくマリユスに捕縛され、そのまま乱入者からの殺人的な抱擁を受けるはめになった。

 仲間たちは唖然とするしかない。

 視線の先では、苦労させられつつも敬愛しているロランが三つの人影に覆われ消えていくが、昨日から衝撃を受けすぎな頭は思考のボイコットを決行してしまった。

 なんにせよ信じられないが、彼らはロランの知り合いらしい。ただし、聞こえてきた名前には違和感がひどかった。


「あ、アン……なんだって?」

「アンジェリーナだ! 僕らの可愛いアンジーを攫ったのはお前か?!」


 笑えるものならば笑いたい。泣く男も黙るとまで言わしめたロランを、あろうことか彼女と同じ色彩の髪と瞳を持つえらく美形な男が、今時お嬢様でもいないような名前で呼ぶのだから。

 だが、痙攣する頬を叱咤しつつロランを見れば、彼女はそれはもう悲壮感を漂わせてされるがままになっていた。大人しく年配の夫婦らしき二人に挟まれている。それぞれの容姿が、血縁だと如実に訴えていた。


「えーっと、ロラン?」

「アンジェリーナだと言っているだろう!」

「どっちでもいいんだがなあ」

「頼むから今の名前で呼ばないでくれ……」


 とにかくゴードンは説明を求めたわけだが、どうにも話が進まない。挙句の果てにはロランが魂を飛ばしそうな表情をしたため、余計に仲間たちは冷静さを失いつつある。

 どうしたものかと悩んでいれば、床を足で叩き注意を引く者がいた。マリユスだ。

 そもそも彼もまた、ハヤブサの面々に少なからず混乱を与えている。昨日の軟弱さは影も形もなく、むしろ絶対零度の眼差しだと思わせるほどの鋭敏な気配を纏っているのだ。死海とまで呼ばれるに相応しく。

 マリユスはこの場に居る者全てを一瞥すると、視線をロランに固定して語り始めた。


「傭兵団ハヤブサの代表ロランの本名は、アンジェリーナ。ビルクナー子爵家の長女として生を受けたれっきとした貴族令嬢だ。十五の誕生日の前日に失踪し、以降は病に罹り寝たきりになったと周囲には伝えその事実を秘匿されてきた。実際は三年間を流れの傭兵の下で過ごし、国内を転々とする内に様々なきっかけで人が集い、結果として傭兵団を結成する。その先も説明が必要か?」

「なんでてめえがそんなこと知ってんだよ!」


 どれからまず驚けばいいのだろう。ポカンと大口を開けて呆ける男共の耳には、本気で怯えるロランの尤もな叫びが聞こえる。その言葉遣いを暢気に嗜める家族の声もだ。

 ロランが必死にもがいて拘束から逃げ出そうとし始めていたが、誰も手助けする余裕はなかった。


「とりあえず離れろ! 泣くんじゃねえよ、鼻水付くだろうがオヤジ! おふくろも頼むから落ち着け! 兄貴は視界から消えやがれ!」

「パパだろ、アンジー」

「ママでしょ、アンジー」

「お兄ちゃんだろう、可愛い僕のアンジー」

「あたしはロランだ!」


 いまいち緊張感に欠ける修羅場だ。おかげで我に返れたのだから良しとしよう。

 それに、なんとなくでもロランが家出をした理由は分かった。ただ、ゴードンたちが納得できたかといえばそうではない。

 なぜなら彼らは、ロランがどういった人間なのか知っている。彼女は責任を易々と放棄するようないい加減な奴ではない。そして先を見通せるだけの頭もある。そんなことをすれば、家が破滅してしまう可能性を分かっていたはずだ。

 なにやら簡単な話ではなさそうだ。そう考え至ったゴードンは、逃げたいと呟く本心を無視して重いため息を吐きつつロランを猫のように持ち上げ仲間たちに顎で指示すると、彼女を守るように陣営を組む。

 それは、どんな状況であれ自分たちはロランの意志を尊重するという表明であった。


「ゴードン愛してる!」

「やめてくれ、お前の家族とプラス一名に視線で殺される」


 ロランのせいでさっそく前言撤回したくなってしまったけれど。

 それでも太い首にぶら下がる彼女をそのままゴードンは尋ねた。


「で、なんで家出したんだよ。十五っていやあ七年前か? 俺たちゃその頃のお前を知ってるわけじゃないが、だとしても身内を見捨てるような奴じゃなかったと思うが」


 すると、後悔をみせるどころか非難の目を向けながらロランは言った。


「どこの国に一晩で国家転覆できる力を持った子爵がいんだよ! あんな家滅んだほうが良いに決まってるだろうが!」

「はあ……?!」

「しかもその原動力が娘可愛さ妹可愛さとか、あたしは歴史的犯罪者になりたくねえ!」


 世迷い言も甚だしい。

 しかし、それに対してロランの家族ははにかみながら答えた。


「だってアンジーが変な男に捕まったりしたら大変だろう?」

「アンジーの愛らしさを私達で独占するのももったいないし、いっそのこと女王にするのも良いかなって」

「お兄ちゃんとして妹を守るのは当然じゃないか」


 馬鹿だ、馬鹿がいる。ロランの変態は血によるものだったのか。それを聞いた皆の感想は、大概がそんなものだった。


「あたしは剣が持ちたかったのに、こいつらフォークすら持たせなかったんだぞ。自分たちは好きな武術を極めて楽しくやってたくせに!」

「だって危ないじゃないか」

「だってとか言うな、クソオヤジ!」


 そして心底ロランに同情した。

 これは家出して当然だ。こんな規格外な家族を持ちながら、七年もの間逃げ続けられたことが奇跡に近い。

 ひとまずこれで疑問の一つは解決しただろう。

 そこでゴードンは、自分を射殺さんばかりに睨みつつ、ロランに対しては恍惚とした表情を浮かべている器用を通り越して不気味なマリユスへと視線を移した。見た目が言い分、残念さが半端ない。


「で、あんたは一体何が目的だ? 昨日とは大分印象が違うが」

「目的? そんなものはない。俺は正当な権利があってここにいる。たかが命を救われたぐらいで良い気になるな」


 おそらくこれがロランにとって最大の苦悩および試練となったのだろう。

 ゴードンとマリユスが一瞬即発な雰囲気を醸し出す中、娘とそっくりに可憐な子爵夫人は軽やかに両手を打ち鳴らした。


「そうよ、忘れていたわ! マリユス様はね、アンジーの婚約者なのよ。ほら、ご挨拶して?」

「嫌だ!」

「ほら、やっぱり俺の予想合ってたじゃないっすか」


 それを聞いたロランの反応といったら。青ざめるどころか瞬時にゴードンの首から手を離して背後に回ると、全力で拒絶を示した。ひっそりと聞こえてきた誰かの呟きは、総無視を決め込む。

 しかもだ、ごつい身体の影から少しだけ顔を覗かせて警戒しつつ、大きな瞳一杯に涙まで溜めているのだから、父親と兄は即座にノックアウトされ、壁にされているゴードン以外の仲間たちも不覚にも可愛いと思ってしまった。

 けれど、マリユスだけは違った。むしろ苛立った様子でロランを見下ろしている。


「俺以外にそういった顔は見せるなと言ったよな」

「ひっ――!」

「言ったよな?」


 あのロランが悲鳴を上げた。これはもう天変地異の前触れだ。二人の間では昨夜、一体何があったのか。

 それでもロランは屈するまではいかず、徐々にだが焦りや混乱、全ての感情を怒りに変えていった。仲間がいるということはとても心強い。


「婚約者を名乗るのはてめえの勝手だが、アンジェリーナはとっくに貴族令嬢としては最悪物件なんだよ。言葉遣いも礼儀も、乙女じゃないのも昨日で知ってるだろうが。それにあたしはロランだ。今までと変わらず、自由に好きな場所へ行く!」

「……とっくに知っていたがな」


 さらには剣まで抜いた。ものすごくなぜ知っていたのか問いただしたいが、ここで口を開いたら昨夜の二の前となると思い必死に耐える。

 そして、仲間に声をかけ、彼らを連れ立って出て行こうとした。戦略的撤退だ。

 家族は当然それを止めようとするが、聞く耳は持たなかった。

 しかし、マリユスは一枚も二枚も上手だったようだ。彼は扉に手をかけたロランに世間話のごとく呟いた。


「そういえば、陛下からの伝言なのだが」


 ずるいと思いながらも国王が出てこれば聞かないわけにはいかない。

 催促の代わりの舌打ちは複数響いたが、マリユスはロランだけを見つめ薄い唇で孤を描いていた。


「〝言い忘れていたが、お前たちさえよければロランを正騎士、他を準騎士として召抱えたい。もちろん断ってくれても構わないが、その場合は傭兵団は今後、王家公認として動いてもらうことになるだろう〟」

「ふざけんじゃねえ! 俺たちは国の道具じゃねえぞ!」

「そうっすよ! ロランさんがどれだけ頑張ってたかもしらねえくせに!」


 野太い野次が飛ぶ。誰もがハヤブサの一員であることに誇りを持ち、ロランを慕い尊敬し、そうやって騎士団がおろそかにしている仕事を命掛けでこなしてきだのだから当たり前だ。 

 しかし、真っ先に一蹴しそうなロランは無言だった。無言で、代表の顔をしてマリユスをジッと見ていた。

 だから彼は懐から数枚の書類を取り出し、近くのテーブルの上へと投げ置いた。


「以前から届いていた嘆願書だ。当然ながら傭兵を騎士にしろなど、そんな馬鹿な話は上にまで行かない。だがこれは、全てがハヤブサを騎士にという民の声だ」 


 ハヤブサの全員が驚きで目を見開いた。ロランも例外ではない。

 さらにマリユスは続ける。


「立場は騎士となるが、やることは今までと大して変わらない。三ヵ月の遠征と一ヶ月の王都勤務の繰り返しで、不穏分子の討伐や民の手助け、後は将来有望な者がいればその勧誘を主とする」

「あたしらが品行方正な騎士サマの中でやってけるわけがねえだろ」

「だろうな。だからこそお前が正騎士となり、部隊を持つことになる。ただし、特殊環境下での戦闘教育も担ってもらうため、お前だけは半年遠征の半年王都勤務だ」


 そしてロランは、予想外にも冷静に話を聞いていた。

 どういうつもりだと仲間たちの視線が向くも、それを無視している。

 彼女は実際に目で見て知っているのだ。国内の兵の質がどれほどのものなのか。王都から遠ざかれば遠ざかるほど、どれだけ中央の手が回っておらず、各地の指揮官によって左右されてしまうのか。今回の仕事がたかが傭兵に委ねられたのはそれが原因だ。

 国王はその問題を、ロランたちを手中に収めることで改善しようとしている。


「必ず反感を買うぞ」

「貴族の説得はビルクナー子爵が請け負うことで話がついている」

「子爵ごときにそんなことが――」

「あら、知らなかったの? ママは前王陛下の妹よ。だから現陛下とアンジーは従兄妹になるわ」

「はあ?! なんで王女が子爵家に降嫁してんだよ!」

「元々お家は公爵位で、昔にあった反逆で無理やり降格されたのよ。まあすぐに王位は奪還されたのだけれど。それ以来ずっと戻ることをお断りしているの。ね、あなた」

「その方が身軽で良いからね。上はいくらでも監視がいくけれど、その分下級貴族は王家からは遠い。王家もまた民から遠いだろう? だから我が一族は、陛下の第二の目の役割を担っているんだ。つまり子爵だけど公爵ってことさ」


 でたらめだ。ロランはそう呟いて、背中を扉に預けた。

 そして髪を指に絡めだす。

 その視線は仲間たち一人一人を映し、彼らの不安を感じ取りつつ考えを巡らせた。


「とりあえず婚約は無かったことに……」

「断る」

「じゃあ条件として陛下に進言する」

「今回の打開策を提示する条件にお前をもらった。残念だったな」


 ここぞとばかりになんとか目の前の鬼畜から逃れる術も模索するが、ことごとく封じられた。嫌な顔を浮かべればさらに喜ばせてしまうだけなのでグッと耐える。

 自由であることを望むロランだが、行動には何がしたいかが主となり、選ぶ際には何が大事かが重要で、結局答えは決まっていた。

 マリユスはおそらくそれを知っているのだろう。でなければこうも後手に回りすぎるはずがない。

 そもそも、ロランが大好きすぎる家族に婚約を許された時点で常人ではないのだ。ならばこの戦いは長期戦が必至。

 ロランは覚悟と共に口を開いた。


「陛下に伝えろ。その話、受けると」

「ロラン!」

「うるせえ、騎士になるのが嫌な奴は好きにしろ」

「なんでだよ?!」


 当然ながら仲間たちはこぞって抗議した。大柄な男達に囲まれた身体は、あっという間に埋もれてしまう。

 それでも臆することなく、ロランは扉を叩いて静まらせた。


「てめえらがあたしに恩を感じて慕ってくれるのには感謝してるがな、ずっと考えてたんだよ。だからって全てを捨ててまでそうされる人間じゃないって」

「それは俺たちが勝手にだな」

「ああ、だからあたしは止めも追い払いもしてこなかった。でもな、やっぱ帰る家ってのはあった方がいいだろ。自分だけの大切なもん見つける権利はお前らにだってあるんだ」


 その言葉に誰もが沈黙する。

 命を救われたり、その生き方に惚れたりと理由は様々でも、ハヤブサのメンバーは常にロランや仲間といることを選んできた。訪れた先で好きな女ができたとしても、生き別れた家族と再会できたとしても。

 そこには理解もあれば、非難もあった。両方を選べるならばどれだけ良かっただろう。

 しかし、傭兵でいるかぎり、そんな機会は絶対に訪れない。

 それを与えるため、ロランはこの話を受けると言う。これが泣かずにいられるか。

 そうして十数人の屈強な男達は一斉に涙した。太い腕で目元を覆う者もいれば、豪快に泣き吠える者もいる。どうやったって綺麗な絵にはならないが、それでも雰囲気は今までになく和んでいく。


「ゴードンも、これでやっと結婚できんだろ。もう自分の息子におじさんなんて言われなくて済むぞ」

「ロラン……」

「いくら相手がそんなお前が好きだからって言ってくれてもな、やっぱ一緒にいられる方が嬉しいだろ。大金送るよりよっぽどな」

「お前、俺に隠れてあいつに手紙と詫びだとか言って金送ってたんだってな」

「あー、まあ……一応、な」

「ったく。これだからお前ってやつは」


 ゴードンが照れ臭さ混じりにロランの頭を乱暴に撫でれば、彼女も花が綻ぶように笑う。

 彼らは傭兵であれ騎士であれ、ずっと男女の垣根を越えた友情で結ばれ続けていくのだろう。

 ……とまあ、このまま美談で終えられれば良いのだが、ロランには絶対に負けられない強敵が残っている。

 彼女は俄然やる気が出たと、マリユスを指差し宣言した。


「言っとくが、あたしはロランとして入隊すっからな!」

「ならさ、父さん。いっそのことアンジェリーナは死んだことにして、次女としてロランの籍を置けば良くない? 実は双子で、可愛すぎて隠してたんですーって適当に理由作ってさ」

「おお、それはいいな。そうするか」

「クソ兄貴! 殺されてえか!」


 だが、やはりいまいち締まらない。

 ロランが本気で飛びかかろうとするので、仲間たちが必死に止めていた。

 そして、そんなことはお構いなしだとマリユスが突然彼女の目の前に跪くと、強引に左手を取り口付け言う。


「では、ロラン・ビルクナー嬢。あなたは俺と結婚する」

「どんなプロポーズだ!」

「数年はお仕置きの理由に困らないから楽しみにしておけ」

「てめえこそ、絶対泣かせてやるからな!」

「あいにくと俺は、攻められるなど論外な攻め尽くす派だ」

「あたしもだっつの!」


 さらに一通りロランをいじると、凶悪な笑みで全員に止めを刺した。


「ジル、今日付けて任務は終了だ。ご苦労だったな」

「……今それを言いますか。あーあ、できることならこのまま俺も、ロランさんの部隊に居たいんですけどね」

「検討はしてやる。とりあえずは、俺よりも早くロランの傍に居たことの報いを受けろ」

「知ってます? それって横暴とか理不尽とか、八つ当たりって言うんですよ」


 マリユスの命令で潜入していたことを唐突に暴露されたジルの顔は、盛大に引きつっていた。仲間たちの凄まじい視線が彼に集中する。

 特にロランからは、幻覚ではなく怒気が揺らめいていただろう。剣の刃には自分の血がついてさえ見える。このままではそれが現実になるのが確定だ。

 だから言えない。自分は元々宰相所有の密偵騎士で、ロランの行動を逐一報告していたなど。そのくせ自分の方が隠密行動に長けていて、暇を見つけては彼女の様子を見に行っていたとか、主人の部屋には何十冊にも及ぶ観察日記があるなんて、口が避けても漏らせない。

 もし、夫婦の寝室にはすでに数え切れないほどの――

 そこでジルの思考は途切れた。


「じいいいいいるううううう?」


 見た目だけは可憐な戦士と、むさい集団が一斉に襲いかかってきたせいだ。

 彼は本気で死を感じ、すぐさま全力で逃亡を図った。

 その後、騎士となったハヤブサの面々は、宿を一件破壊したとしてさっそくの謹慎処分になったとかいないとか。

 全ては宰相補佐殿の計画通りだったそうだ。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ