童話的なおしまいを。
お勧めな読み方:タイトルを隠しておしまいを味わってくださいね。
『妖精が架けた星』
妖精たちは詩を謳いあげました。
きらきらかがやくあなたの夢 皆の願いがこもってる 皆のお願いこもったネガイ 一番星になっておっこちた!
そうしておちた流れ星は夜空を駆けて皆の願いを魔法で叶えたのでした。
『隣人さんへ、私より』
小さな隣人に私は話しかける。
「君との日々も思い返してみれば不思議なことだらけだったなあ。突拍子もないことばかりで驚いちゃった」
そんな私に隣人はにやりと笑い、羽を震わせた。
はじめの頃と同じようにね!
『時計職人』
歯車はとうとう廻るのを止めて役目を終えました。時計整備のフラはこれからどうしようかと思案します。隣ではゼンマイ機械のパンがギィギィ鳴いてます。フラは動かなくなった時計塔の上で、冒険にでも出ようかと呟いたのでした。
『オリとヨルのセカイ』
青色を許した日にようやく世界に夜が戻ってきました。オリはマントをたなびかせて星空を眺めています。月は嬉しくて星の涙を流しているようでした。
よかったね、微笑んだオリのその後を見た者は誰もいないようでした。
『ドラゴン漂流記』
ドラゴンと私の漂流記。残念ながらこの後もお話はまだまだ続く。
今まで出会った人たちと、これから出会う人たちへ。私とドラゴンがあなたの町に来たときは、どうぞよろしく!
『読み聞かせのススメ』
神様がひとつの物語を読み終えたあとに、僕はそのお話を本棚に戻した。今まで読んだ本たちが並ぶ姿は壮観だ。
「神様、次はどんなお話を読むの?」
「そうねぇ。それじゃあ……或神様と少年の話をしましょうか――」
『いとのさき』
蜘蛛の糸を編んでできたマフラーは、やがて地上にまで垂れ落ちて行きました。それでも編んだマフラーは無色透明できっと探すことなんて不可能です。それは完成品じゃないからね、とはじめからほどいて編み直していたのでした。
2013.May13
『シロ』
アヤは使いきったクレヨンを手元において上を見上げた。真っ白な空はアヤが描いた沢山の色で溢れかえったのだ。
最後に描いた七色の虹が空を繋いだのを見て、ようやく世界が息をしたのを感じたのだった。
2013.May14
きっと、誰かのおしまいのおはなしなのです。