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キャラメル/ニキシー管時計/飴玉
『キャラメル』
歯医者は嫌い、大好きな甘いものは控えなさいとうるさいから。楽しみをとっていくのが嫌で、わざと知らんぷりをして包み紙を開ける。ミルキーもキャラメルも、どうにも噛んでしまう癖があって、その度に治療をしている歯の詰め物がとれてしまって怒られる。だから、歯医者は嫌いなんだ。
『ニキシー管時計』
大通りから路地裏に少し入ったところに骨董屋さんがある。アンティーク趣味の人には正に楽園であるそこの主人は居眠りが多い。気まぐれに出してくれる珈琲は苦くて、ミルクを混ぜると眉をひそめられる。赤く発光するニキシー管時計が昼の三時を指す頃、珈琲を出したあとまた主人は居眠りを始めた。
『飴玉』
『夢玉』は飴玉にひどく似ている。夢の味とは千差万別であって、カラフルで味覚も様々ある。楽しい夢は甘く、悪夢は苦い。口のなかで転がすと見えてくる夢たちを一日ひとつ味わうのが一番の楽しみだ。
2013.Feb22