序-1 ユウ=アルペント
はじめまして、もしくはお久しぶりです。
この小説の目標は、PV1000突破です。
ガキン!ガキン!
鍔迫り合いの音がする。
「ハアアアア!!」
フルーレを持った男は、ここぞとばかりにその手に持ったフルーレで突きを放つ。
「フッ!」
しかし、そのねらいとなった西洋風の刀を操る男は、まさしく目にも留まらぬ
否、目にも映らぬ早さで移動し、フルーレを持った男の背後に回る。
「なっ!?」
フルーレの男の顔が焦りと驚愕に染まる。
「終わりだ!!」
西洋風の直刀を操る男は、その刀を振り降ろす。
「早い!だが無駄だ!我が『鉄壁』の前では−−」
ズバ!
「な…ぜ……?」
フルーレを持った男がその先をしゃべることはなかった。
「無駄?ああ、無駄だったな。鉄壁なんて俺の『紫電』と『加速』まえでは、
紙切れ同然だったようだ。」
そういうと、直刀の男は、刀を振り上げる。
「そうだな、冥土のみやげに俺の名を教えてやろう。
俺の名前は、ユウ…ユウ=アルペントだ。
それじゃ、さようなら。」
ザシュ!という音を立て、ユウの直刀はフルーレの男の頭を貫いた。
「…よし、帰るか。」
ユウは、死体を片づけると帝都〈ベルニア〉と書かれた標識のある森の道を
わりと速いペースで歩いていった。
パチパチパチ
焚き火の火が音を立てる。
ユウは、帝都へ向かう途中、暗くなってきたため、早めに暖をとり、休むことにした。
彼は、カジュネール帝国軍特殊部隊…別名、皇の騎士団
に所属している。彼の所属する、皇の騎士団はカジュネール帝国第13代皇帝、
アヴァン=カジュネールが直々に集めた
異能力者で固められており、皇帝である、アヴァンの命令のみ聞く…故に皇の騎士団なのだ。
ユウは、その中のNO.3『黒き紫電』の異名を持つぐらいで、主に一人で任務に就く。
(彼の動きについてこれるパートナーがいないため)
今回は、裏切り者の始末の任務で、今はすでに帰りだ。
「(そういえば、最近裏切り者が増えた気がするな…まあ、俺が気にすることでもないか。)」
すぐさま、思考放棄をすると、火を消しテントに入り眠りについた。
もちろん、ユウの周りには外敵用のトラップは大量に仕掛けられている。
万が一ねらわれても、誰一人として彼をたどり着くことができないくらいに厳重な
トラップなので、安心して眠られる。とても便利である。
次の日の朝、はやくに起きる癖のついているユウは、トラップに引っかかった奴は
いないかと思い、ワクワクしながらすべてのトラップを確認する。
「なんだ、だれも引っかかってないのか…」
と、なにもかかっていないことに少々落胆する。
「ま、いっか。」
そして、テキパキと後片づけをすると、着ている黒い騎士服を整える。
「よし、いくとするかな。(早くかえって所長に報告しなくては…殺されかねないからな。)」
そういって、意気揚々とかるーくステップするくらいで帝都ベルニアへ
続く道を行こうとすると、すぐそばの茂みでガサっと音がする。
「?(なんだ?)」
一応、ユウは臨戦態勢…抜刀の構えに入る。
ドサ
茂みからでてきて倒れた人影をみて、ユウは臨戦態勢を解く。
「…、おい、だいじょうぶか、じじい。」
「…うぅ…お!およおよ!?」
目を覚ますなり、倒れてきた年輩は、ユウの黒い騎士服に興味を示す。
「な、なんだ?なにしてんだ?」
「あ、いや、わるかったのう。ついつい、騎士さんがここを通るなんて
思わん買ったし、珍しい騎士服を着とるもんでの…気になってしもうたんじゃ。すまなかったのう。」
「いや、別にいい。それじゃ、私は急ぐので。」
時間的余裕が無くなってしまったユウは、公務用の口調に変え、早めに会話を
切り、立ち去ろうとする。しかし、件の老人に止められる。
「あ、おい、ちょっと待ってくれ。」
「…なんでしょう?」
「すまないが、わしを村まで送っていってくれないかの?」
「はぁ?なんで俺が?」
時間がないのに、なぜ元気な(すくなくとも見た目は)老人を
村まで送っていかないといけないのだろうか?それがわからなかった
ユウは、呆れのあまり公務用の口調が砕けてしまっている。
「すまない、先ほどのあれでギックリ腰になってもうたんじゃ。」
「…はい、わかりました。では、お送りいたします。(くそ、時間ないというのに…)」
「すまぬのう。時に若造、」
「(若造?送ってもらっててその呼び方か!)はい?なんでしょう?」
「お主、なは何という?」
「ユウです。」
「ほう、ユウか。ユウ、いい名じゃ。大事にせい。…おっとここまででよいぞ。」
突然、老人がここまででよい(しかも、まだ、林のど真ん中)
というので、さすがに苛っときてしまうのは、仕方ないというものだ。
「まだ、村なんてー…そういうことか。」
「お?気づいたか…!」
「ギックリ腰の振りをして、村まで送れといい、本当は、盗賊共のところに
ご案内…とそういうことか?」
「思ったより、頭が回るようだな。じゃが、もう遅い!」
老人のその言葉と同時に、周りの茂みからいかにも盗賊と言った格好をした
人…およそ100人ユウを包囲するように現れた。
老人は、ユウから離れると卑下た笑みを浮かべる。
「クックックッ!いくら騎士とは、言えどこの人数相手だと勝てんだろう。
ゆくのじゃ、やろう共、奴をうちとるのじゃ!!」
この一言を待っていたかのように、盗賊たちが、ユウに襲いかかっていく。
「うおおおおおおお!!!」
雄たけびをあげて、ユウに突進していく盗賊たち。
ふつうの人間は、尻尾を巻いて逃げ出すところだが、ユウは、刀をすぐに抜刀できるように
した状態で、余裕に構えている。
「…フン!こんなもんじゃ、俺を倒すことなんて、無理だぜ!」
そこからは、ユウの独壇場だった。
次回は、いつになるかわかりません。
では。