表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

『もう嫌だぁぁ(爆発)!〜鬱病ロボットと行く、理不尽な町守り日常系〜』

作者: 秘密保持できる人限定
掲載日:2026/07/30

『もう嫌だぁぁ(爆発)!〜鬱病ロボットと行く、理不尽な町守り日常系〜』

『もう嫌だぁぁ(爆発)!〜鬱病ロボットと行く、理不尽な町守り日常系〜』


 自警団の詰め所に、今日も変な鉄くずが届いた。


 「おい、またこれ自費で買ったのか?」


 「違うぞ。町を守るための『最新鋭防犯ドローン』だ」


 幼馴染の自警団員・ケンが、胸を張って奇妙な機械を叩く。


 見た目はただの巨大な炊飯器。


 だが、起動した瞬間にすべてを察した。


 ウィィィン、と気の抜けた音を立てて浮く。


 そして、画面に表示された文字。【精神同期:完了。現在、鬱モードです】


 「……おい、機械が鬱病になってるぞ」


 「仕様だ。現代の自警団は、犯人に共感して自首を促すスタイルなんだよ」嘘をつけ。


 絶対にフリマアプリで騙されて買ったジャンク品だ。


 普通の人間から見たら、ただの欠陥品。


 ずるいのは、これが「自警団の備品」という名目で、町の税金から数パーセントの補助金が出ていること。


 そして何より、この機械の「本当の機能」が、常識の斜め上を突っ走っていることだった。


 「見ろ。ターゲット(空き巣犯)を発見したぞ!」


 ケンの指差す先、裏路地をコソコソ歩く怪しい男。


 ドローンは、よろよろと力なく男の後を追う。


 そして、スピーカーから信じられないほど暗い声を出した。


 『はぁ……。どうせ僕なんて、充電が切れたらただの不燃ゴミですよ……。あなたも、盗んだってすぐ捕まるのに、なんで生きてるんですか?』


 「精神攻撃かよ!」


 あまりに深いネガティブ発言。


 犯人は一瞬足を止め、自分の人生を見つめ直すような顔をして頭を抱えた。


 ずるい。


 普通の人間がこんなこと言ったらただの「お荷物」だが、自警団の機械なら「高度な心理戦」として処理される。


 だが、これだけでは終わらない。


 男が正気に戻り、ナイフを抜いてドローンに襲いかかった。


 「ケン、危ない!」


 「フッ、ここからが本番だ。トランス・ホーミング、起動!」


 ケンがリモコンの赤いボタンを押す。


 ドローンが激しく変形トランスを始めた。パーツがガシャガシャと組み替わり、尖ったトゲのような形状になる。


 一瞬、めちゃくちゃ格好いい戦闘形態になるのかと思った。


 しかし、完成したのは「全自動で相手の急所に突っ込む、ただの鉄の塊」だった。


 『もう嫌だぁぁぁ! 巻き添えにしてやるぅぅぅ!』叫びながら、ドローンは凄まじい速度で犯人の股間に向かって、精密にホーミング(自動追尾)していく。


 「待て! それはホーミング違いだ! 単なる自暴自棄の体当たりだろ!」


 ズドン! と見事な音が路地に響く。


 犯人は声にならない悲鳴を上げ、その場に崩れ落ちた。


 機械側の「うつ病」による自暴自棄エネルギーを、そのまま推進力に変換してホーミングさせる。


 これがこの機械の、一番ずるくて、一番最低なシステムだった。


 「ふぅ、今日も町に平和が戻ったな」


 「お前のドローンのせいで、一人の男の尊厳が爆発したぞ」


 泥棒は捕まった。


 しかし、自警団の詰め所に戻ったドローンは、また床に転がって『やっぱり僕、生まれてこない方がよかった。電気代の無駄だし』と愚痴をこぼしている。普通の人間が必死に働いて、法律を守って生きている日常。


 その裏で、自警団は税金を使って、鬱病の機械をサイコパスのように操り、犯人の股間を爆発させている。


 世の中、本当にずるいことばかりだ。


 私は深いため息をつき、自警団の次の予算申請書をゴミ箱に投げ捨てた。

気楽に読んで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ