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異世界怖い  作者: 名まず
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おつかい怖い (後)

 夫が返って来なくなって、もう何日にもなる。


最初は、また何処かで酔っ払っているのだろうと思ったし、数日くらい気にもしなかった。


まあ、どうせ、お金を持って行くことはあっても、持って来ることはない。


居ない方がいいくらいだ。


ただ、いざ帰って来ないとなると、いつ帰って来るのかとビクビクしてしまう。


扉を気にして、今来るか、明日来るかと、ずっと気にしている。


そんな日々が何日か過ぎたある日、そう、家の掃除をした時のこと。


夫の布団やシーツを干し、普段あまり手を付けない夫のベッドを風通しを良くする為に動かした時に、・


・・夫の金を見つけた。


見覚えのある巾着、さんざん家のお金を飲み込んできた財布だ。


見間違えるわけがない。


チャリッ、と、重い金属が触れ合う音と金の明かり。


思わずキョロキョロと周りを見る。


窓を開けているとはいえ、こんな見すぼらしい家の中、誰も見ているはずがない。


それでも見てしまう。


金だ。大金だ。銅の暗い色の中に、ちらちらと見える金の色の光。


その時確信した。夫はもう帰って来ないと。


手に金貨が吸い付く。


これで娘の教育費が払える。結婚の支度金にしてもいい。


これで・・・・・・もう殴られないですむ。


やっと解放される。やっと。女は嗤った。






 自分の好きなものが馬鹿にされるのは面白いことではない。


貴族というのはそういうものだし、我慢するのが一番いいと分かってはいたが、ついやってしまった。


自分は本気で冒険者を目指している。


友達のお兄さんの中には、一生懸命働いて、それでも無駄飯食らいと肩身を狭くしている。


それが、一番安全で、今まで通りの生活が保証されているのは分かる。


でも、自分はそんなのは嫌だ。本気なのだ。だから、


「こんな雑用、お前ら平民の仕事だろうが!。」


そう言われた時、ついカッとなってしまった。


ツカツカ歩いてゴブリンの鼻を削いだ。それだけでよかったのに、


「ゴブリンの討伐証明は鼻を切ることだ。それが出来ていないお前は、動けないゴブリンを剣で刺しただけの奴だ。」


と、言ってしまった。これでも臆病者という言葉を使わなかっただけ、我慢はしていた。


さすがに切りかかって来たのには驚いた。


貴族には横暴な人が居るとは聞いていたが、ひどすぎた。


村にはこんな人はいなかった。


引率の冒険者の人に助けられたが、そのせいで、その冒険者パーティーは罰を受けた。


その時、他の冒険者が話しているのを聞いて、以前、自分の村を助けてくれた冒険者がグレンゾの牙という、この冒険者パーティーだと知った。


運命だと思った。


2年が過ぎ、冒険者ギルドに登録して、真っ先にグレンゾの牙に入れてくれるようお願いした。


「弟子にしてください。」


子供で実績もない。もちろん断られた。


何度も何度も、1年が過ぎても、お願いした。


どうしてもここに入りたかった。自分が強くなるのはここだ。他に行く気はない。


と、頭を下げ続けた。


ようやく入れてもらえたが、認められて入ったわけではない。根負けしてくれたのだろう。


入ってからは今まで以上に努力した。前に出ては怒られた。


ある日、アヤトという青年に会った後、リーダーのノルンさんが暗殺者に切られた。


幸い、セネカと名乗る青年に助けられ事なきを得たが、その後、街で領主の息子が処罰された。


今回のことは自分のせいだった。


落ち込んでいる自分にリーダーは、


「気にすることはない。」と、言ってくれたが、余計にうなだれる。


今日も活躍出来ず空回った。


パーティーの人達との経験の差が大き過ぎるのだ。


それを知っているから努力する。


領主が交代することになり、その騒ぎも落ち着いた頃、再びセネカが訪ねてきた。


前に会った時には持っていなかった金属の杖と革の盾を持って現れた。


杖と盾って変な組み合わせだなあー。と、思っていたが、金属の杖をノルンさんに渡した。


「こんな高価な物は受け取れない。」


と、ノルンさんは断った。あの杖はどこか有名な工房の物でいい物らしい。


しかし、セネカさんは受け付けなかった。逆に説教して受け取ることを納得させていた。すごい人だ。


そのあと自分に革の盾を渡した。


「これは中古の品ですが、掘り出し物を見つけたので、コリンさんにあげます。使ってやってください。」


この前はリーダーを助けてもらい、ポーションまで貰った。そのうえ、こんな物まで貰えない。


「いいです。受け取れません。」 断ったが、


「もう買ってしまいましたし、受け取ってください。」


圧い笑顔で押し切られてた。


盾は汚れた感じはしたが、そんなに使用はされていないようだ。


軽く、体がまだ出来ていない自分にも軽々と扱うことが出来た。


盾の使い勝手を確認する自分に、


「一つだけ約束してください。今後しばらくは盾を使って戦ってください。」


と、セネカは言う。リーダーを見ると、


「それはいい。」と、頷いてくれた。


先ほどセネカに説教されていたが、リーダーはもっと動かず、前を盾役や仲間に任せ、魔力を温存し魔法に集中するように言われていた。


リーダーは攻撃魔法に補助魔法、簡単な治癒魔法も使える。剣も使って戦う。


リーダが走り回ってくれているおかげでパーティーとしては安定しているが、限界もきている。


その点はリーダーとしても感じていたらしい。


年下の話しにも素直に耳を傾けていた。


それから半日だけだがセネカのレッスンを受けた。


ノルンさんは杖での魔法の使い方を。


自分には盾の使い方をみっちりと指導された。


セネカはパーティーで一番体が大きく、盾役のドルドさんの突進を、コリンの革の盾で軽々と跳ね飛ばしてみせる。


それから、普段は力を入れ過ぎず、攻撃が当たる瞬間を見極め力を入れること。

受けた力を流したい方に力を抜き、力を逃がす、または、相手の体勢を崩すテクニック。

腕だけではなく、体や重心、地面を使った盾での攻撃の受け方。

相手の力に合わせて力を返す盾の受け方。盾の向こうの相手の動きの把握の仕方。盾での攻撃の仕方、武器の使いどころ・・・・・・・・・。


色々コツを教えてくれた。


ついでに鉈を渡された。


何でも、「もう使わなくなった。」 そうだ。「売っても二束三文でしょうから遠慮なく貰ってください。」と、言われた。


鉈なんてどれも似たようなものだが、なんか見たことがあるような鉈だ。


さらには、食事はケチらず、たくさん食べてしっかり体を作ること。


武器や防具の手入れは怠らないこと。毎日走ったり練習を怠らないこと。


自信はつくるものだと言われた。前に出ることに逃げるなと。


実はコリンはパーティーのタンクのドルドから、盾の使い方を教わったことがある。


ただ、彼は無口で教えるのが下手だった。「こうだ。」 としか言わなかった。結局使いこなせず、盾役として機能しなかったので、すぐ諦めた。


セネカは、あの人は教えるのは下手ですが、タンクとしては一流です。


見て盗んでください。役に立ちたいと前に出る気持ちは分かりますが、本当に役に立ちたいと思うなら、じっくり学ぶことです。


今やることは、あの人の後ろで技術を盗むこと。


やみくもに剣を振り回す事より、仲間を守れる盾になること事の方が、あなたにとっての戦いです。


優秀な盾役は何人居ても困りませんから。


先生が教えるのが下手なら、あなたがうまく教わらないと。


いつまで経っても上達しません。


見て、覚えて、どうしてそうしたのか考えて動く、常に考えて戦いなさい。


そして迷わず動きなさい。


武具の手入れは怠らず、日々の修練は怠らない。


持っている盾は絶対に壊れない。と、信じなさい。


守ると決めて戦いなさい。


タンクはパーティーの要です。タンクが迷う時は仲間が死ぬ時ですから。


タンクにとって、逃げるのが負けではありません。


逃げてもいいんです。でも、退いてはいけません。


守れないのが、仲間を死なせた時が、タンクが負けた時です。


あなたはお世辞にも器用とは言えません。


タンクもいいな。ではなく、タンクしかないと決めて励みなさい。


盾が壊れて自分は死ぬかもしれない。痛いし、恐怖もあるでしょう。


でも、怖がって、それでも前に出れるのがタンクです。


言葉が胸の中に落ちた。


それからコリンは、少し考えて戦うことを覚えた。






 「まったく探したんですよ。」


牢屋から出て来たアヤトをセネカは温かく迎える。


( どの口が言うんだろう。)


そう思ったがシャロは口にはしなかった。


まさかアヤトも、ずっと見られていたとは思わないだろう。


かわいそうに、やっと出会えたことで涙ぐんでいる。


まず風呂屋に案内し、石鹸や新しい服を渡す。


その間、着ていた服やリュックは、宿の者にチップを支払い洗ってもらう。


さっぱりしたアヤトと共に料理の店に入る。


お昼にしてはなかなか豪勢なメニューで、セネカが、「この店のパンはおいしいですよ。」などと世間話をしている。


食べて落ち着くと、アヤトに銀貨5枚と、「これ、新しい石です。」と、古い石を渡す。


腹が落ち着くとアヤトは、ギルドカードを再発行して依頼の報酬金を受け取る為にギルドに向かって行った。


それをセネカが優しく見送る。


ちなみに、取り返したギルドカードは処分された。他の荷物も石と鉈以外は古道具屋に売られた。


石はそのまま巾着だけ新しくしてアヤトに渡され、鉈は研ぎ直し、持ち手を新しくして、新品の鉈として買い直させるつもりらしい。


さすがに気付くだろうと思ったが、・・いや、気付かないか。と、思い直す。


面倒なことに学生証も再発行するつもりらしい。


「前のを渡したらバレるでしょう。」 とのことだ。ご苦労なことである。


「なあ、あの子供のこととか、何がしたいんだ。あいつら、サクラじゃないだろ?。」


「私は偶然の出会いは大切にしているんです。人を育てるのとコネ作りは私の趣味のようなものですね。それにアヤトさんの友人になりそうな人は大事にしないと。今のうちだけですから、アヤトさんに優しく出来るのは。」


「今のうちね。」 含むものがありそうだ。


「今はアヤトさんの心に負担を掛けたくありません。」


「いや、それは嘘だろう。」と、シャロは言う。


「本当ですよ。私は何もしていないでしょう。」


「見てたよな。」


「何もしていませんよ。」と、セネカはにっこり。


見てただけというわけだ。


「それに私が手を出すと、皆さん、セネカに騙されたとか、掌で踊らされたとか、人生を弄ばれたとか、すごく怒るんですよ。人聞きが悪い。」


心外だとセネカ、(そうだろうなー。)と、シャロ。セネカは続けて、


「だから出来るだけ作為を入れないように、これでも注意して動いているんですよ。

まさか、何もしてないのに、ここまで色々巻き込まれるとは思っていませんでしたが。」


「半分は俺らのせいでもあるよな。」 ほとんどはセネカのせいだが。


「アヤトさんが動いた結果です。あのまま放っておいても良かったですが、後で死んだと知らされて、どのような精神的な負担が掛かるか分かりません。」


「そこまで心配する必要があるのか。」


「あるんです。」 セネカは珍しく溜め息をついている。


「それにしても、確かに次々とトラブルに巻き込まれたな。」


「ええ、まだあれの影響はないはずなのですが・・・・、ただ、スリに関してはアヤトさん自身のせいですね。キョロキョロし過ぎです。」


「まあな。」 それにはシャロも同意した。


「まあ、それも含めて今回の事はいい経験になったはずです。

彼等はいい仕事をしてくれました。

彼等には感謝しているんですよ。」


セネカは満足そうに言う。


シャロはアヤトの向かった先を見て一言、


「お前は鬼か。」と、言った。






 シャロがセネカに、「これからどうするんだ。」と、聞くと、


「もちろん買い物ですよ。今回のメインの目的は買い物と言ったでしょう。

それなのに、明後日の朝にはこの街を出ます。

今日はもう休むとして、明日はめいいっぱい買い物を楽しみます。」


との答えが返ってきた。


この日はアヤトが疲れていることや、ギルドの手続きに時間が掛かったこともあり、すでに夕方に近くなっていたので、早めの夕食にしたあと、早めの就寝となった。


 次の日の朝は早くに起こされた。アヤトは外を見る。


まだ空は暗い。遠くが薄っすらと明く見えるので、一応朝のようだ。


日本で言えば、朝の5時前くらいだろうか。


まだ寝たかったが、セネカがアヤトの文句を受け付けることはなかった。


「今日は朝市から見て回ります。」


朝市に並ぶ、異世界の野菜や果物を見たり、食べたり、干し肉や乾パンを補充したりと、朝から連れ回される。


古道具屋を見て回り、ナイフを選んだり、いらないというのに罠を購入したりする。


道具屋では新しい鉈を勧められた。


「前と同じくらいの使い心地ですので、これなんかいいですよ。」と、言われ、持って振ってみると確かにしっくりしたので、それを購入した。


まあ、お金は全てセネカ持ちだが・・・。


それからも買い物は続き、肉料理が評判のお店でお昼をとる頃には、さすがに疲れてくる。


「ご飯が終わったら、一度、宿に戻って休みましょうか。」と、セネカが珍しく気の利いたことを言う。


ただ、宿屋に戻る道中でも、


「アヤトさんがお世話になったという人達にも会いたかったのですが、会えませんでしたね。もう少し探しますか。」


買い物中、一応、寄って探してみたが、ギルドもスラムもバタバタしていたし、見つからなかった。


「一度挨拶をしたいと思っていたので、会えると良かったのですが、まあ、またの機会もあるでしょう。」


疲れた顔のアヤトに、セネカはずっと喋り続けている。


シャロもあっちを向いて商品を見ている。


アヤトが宿で一息ついても、


「ほら、こんな物も売っているんですよ、香水でしょうか?、いい香りがしますよ。」


差し出された瓶の匂いを、アヤトは面倒くさそうに嗅ぐ。


まったく、眠いのに・・・・、意識が遠のく。


アヤトはいつの間にか眠っていた。




 ウトウトと目を開けると、日が傾き夕日が見える。


「もう、夕方・・・か?。眠ったのか、俺。急に眠たくなったような気がしたんだが・・・。」


「何を言っているんですか。気のせいですよ。」


独り言に答えが返ってくる。セネカは荷物を整理している。


「何をしているんだ?。」


「やっと起きましたね。起きたのなら出掛けますよ。あなたも準備してください。

これだけの大きな街です。夜でも屋台や夜店はやっています。夕食は外で食べますよ。

この街に居るのは今夜で最後なのですから、誰かさんのおかげであまり買い物も出来てませんから、ほら、行きますよ。」


まあ、セネカに何を言っても無駄である。


奢ってもらっている身としては文句も言えない。


アヤトは準備に取り掛かった。





 アヤトの隣りに女性がいる。


美人だった。薄い茶色の長い髪と白い肌が見えている。


シーツが掛けてあったが、中は何も着ていない。


今いる所はベッドの上である。


女性は眠っているが、アヤトはぼんやりとしている。


うん、正直気持ちが良かった。


昨日の夜を思い出す。もちろん初めてである。


好みの、ちょっとかわいい系の綺麗な子で、胸もそこそこある。


緑の目が綺麗だ。あまり目を合わせられなかったが、見惚れてしまった。


20代前半か二十歳になっていないかもしれない。異世界の人の歳なんか分からないから、知らんけど。自分と同じくらいだろう。


一方、アヤトの顔は正直普通、不細工ではないかもしれないが、黒髪・黒目でこれといった特徴もない。少し童顔なくらいか。


運動も勉強も普通、運動の方が少し悪く、勉強の方が少し良かったかな。と、思う程度で、ろくに部活もしていなかったし、社交的でもない。


母や学校の女子と少し話すくらいで、女性と満足に付き合ったこともなかった。


そのはずなのに、・・・・何でこんなことになっているのだろう。


確か、朝から街で買い物や観光をしていた。昼食後は眠ってしまったが、夕方起きてからは買い物を再開し、屋台で食べ歩きをしていた。


そのうちに夜になって、暗くなって灯かりの灯ったワイワイとした通りを歩いていたが、セネカとシャロはどんどん先を行く。


それに釣られて自分の足もどんどん進んだ。


周りの建物がだんだん妖しくなってきて、そのまま、落ち着いた雰囲気の高そうな屋敷に入って行く。


周りに比べても門番が多かったりと入りにくそうな建物だったが、セネカもシャロも物怖じせず入って行く。


セネカは玄関の人間に話し掛け、シャロもセネカに続いて建物の中に入って行ってしまったので、アヤトも恐る恐るついて行く。


セネカは、いや3人共だが、グレーの薄汚れたローブ姿で、フードも被っていて、かなり怪しい見た目だが、門番も屋敷ですれ違う執事のような見た目の人も、何も言わない。


執事のような人は、すれ違う度に頭を下げてくる。


先を行く2人に置いて行かれないよう足を早めたら、2人はすでに足を止めていた。その前に女性が並んでいる。


皆、薄着で、明らかにそういうお店に見えた。


アヤトが顔を真っ赤にしていると、威厳のある執事みたいな人が出て来て、セネカが話し掛ける。


いくつか会話をして、女性を見たり、話しかけている。


強面執事に何事か話し掛け、他の女性を見た後、セネカが何か言うと、強面執事が笑顔で何か言って一人の女性も元に行き、一緒にこっちに来た。


アヤトの前で、セネカを交えて小声で話しをすると、


「さあ、行きましょう。」と、セネカがアヤトを連れて2階への階段に向かう。


ぼうっとして、何がなんやらで、アヤトがぐずると、セネカはアヤトを後ろから押すようにして階段を昇り、アヤトを部屋に押し込む。


文句を言おうと振り向いたら、強面執事の後ろから先ほどの女性が出て来て、アヤトの手を取り、部屋の中に入って行く。


けっこう広い、いい部屋だ。宿よりずっと広く貴族の屋敷のような部屋だった。


そのまま女性にベッドまで手を引かれ、誘われる。


しどろもどろ、言われた通りにしていたら朝になっていた。


うん。良かった。




 「あなたもどうですか。お金は私が持ちますよ。」


こいつの口からあまり聞かないセリフに首を傾げる。


「お前はどうするんだ。」


「私は見張りと、明日の準備、後始末もいくつか残っていますし、領主の動きも気になりますので、もう少し働くつもりです。」


「ところで何で買ったんだ?。30はけっこうだぞ。あいつに何かあるのか?・・・・。確かに嫌な感じはするけどな。」


「さすが、気付きますか。それでも違和感程度しか感じさせなかった自信はあるのですがね。

この前も少し話しましたが、あるんですよ。

多分今しか時間がありません。

アヤトさん精神状態は見た目と違ってかなり危険です。

これでも会った時から魔法を掛けるタイミングを利用して、その度、気付かれないように沈静化や戦意高揚の魔法を掛けて、躁鬱にならないよう気を付けていたんですよ。」


躁鬱ってなんだろうって思ったが。それは今度聞こう。


「お前のことだ。確定するまで喋らないだろうな。」


それ以上は聞かず、話しを切り上げた。


女性を一人選び部屋の中に入っていく。


セネカはそれを見送り、続いて視線をアヤトの居る部屋の方にやる。


「さて、いつまで持つのでしょう。」


セネカにしても、祈るしかないことはあった。




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