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異世界怖い  作者: 名まず
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##魚の魔物


 実はこっちの世界に来て、海に来たのは初めてだ。


見たことはある。


カノヴァの大亀は各地を移動しているので、遠くから見ることはあった。


しかし、眼下に見えるくらいまで近くに来たのは初めてだ。


アヤト達木漏れ日の樹のメンバーを乗せた走竜は眼前の海を素通り・・・。

海の傍に広がる森の中へと入って行く。


「なあ、また森なのか、森ばっかりじゃないか。

海には行かないのか。」


「アヤトさんは、海の魔物と戦いたいのですか?。」


「いや、何で魔物と戦う前提なんだよ。

ほら・・・泳いだり、釣りをしたり、色々あるだろ。」


「ああ、あなたの世界では海は泳ぐ所のようですね。

こっちの世界でも、貴族が夏の避暑に泳ぐのが人気ですが、泳ぐなら湖ですね。

レイカル湖・・・・・カノヴァ公国の湖なんか安全なリゾートとして人気ですよ。

他の所でも、冒険者に依頼を出して魔物がいないことを確認した湖で、貴族やお金持ちの人が泳いだりします。

・・・アヤトさんが泳ぎたいと言うなら、今度 海で泳ぐ予定を組みますね。」


「い、いや、やっぱいいわ。」

海の魔物と戦わされる未来しか、目に浮かばん。


「いえ、遠慮はなさらずに、段取りの方は任せてください。」


任せられねえ。・・・とにかく、

「海には行かないとしても、森の何処どこに行くんだ。」


「今回は、森に魚型の魔物が出るとのことで、依頼を受けています。」


「魚って、この間のナマズウナギみたいなやつか?。

今度も池の水を抜いたりするのか。」


「いいえ、今度のは、木の上にいることが多いそうなので、水は関係ありません。」


「魚なんだろ?。」


「魚の魔物です。

魚の形をした空中を泳ぐ魚ですよ。」


魔法に、水の精霊界と、この世界を重ねて、周囲を水のような空間にして、宙を泳いだり、高い所に昇る魔法があるが、そういう感じらしい。

水界と自分の魔力を同調させて空中を泳ぐそうだ。


「俺の中では、空を泳ぐ時点で魚じゃないんだが・・・。」


「何を言っているんですか。

あなたの世界でも、うおとかは飛んでいたでしょう。」


「トビウオの方は、飛ぶというより滑空だよ。

普段ちゃんと泳いでるよ。」


「そうですか。 なら、ちゅういでいるわけですから、ちゃんと魚ですね。」


「さすがに無理があるだろう。」


「無理なんてことはありません。

あなたの世界に『魔法があれば何でも出来る』という言葉があったでしょう。」


「勝手に改竄かいざんするな。

それを言うなら『元気があれば何でも出来る』だ。」


「元気が有っても、何も出来ませんよ?。

それが出来るのは『稼ぐ手段の在る』元気な人だけです。

元気があっても、お金が無く、何も出来ずに死んでいく人が、世界にどれぐらい居ると思っているのですか?。」


いや、急に真面目に返されても困る。


確かに地球にも、戦争や飢餓で死んでいく人はいる・・・そこに、元気は関係ない。


「とにかく、森で魚の魔物と戦うんだな。」


「ええ、アヤトさんは元気があるので、たくさん戦っても大丈夫だと思います。」


「それは・・・買いかぶり過ぎかな?。」


アヤトは元気のない声で返事した。






 横腹と背中に強い衝撃が走り、何も分からず倒れる。


【思考加速】


さらに補助魔法の威力も上げる。


ヒュン。


かすかな風の音がして、何か薄いものが左横から飛んで来る。


薄暗い森の中で、その姿は見えづらい。


杖に魔力の刃を付けて叩き込むが、ひらりとかわされ、腕に何かを打ちこまれた。


何か削れる音がして、革鎧が裂け、マネキンの鎧に傷が付いている。

マネキンの腕が割れている。


中の骨は折れていないようだが、痛みを感じる。


「いっ、・・セネカ、これ!。」


「エイの魔物です。

尾の棘に気を付けてください。」


「そうじゃない。

鎧が壊れたぞ・・・こいつら いつものより強くないか。」


「海の魔物ですから。

これでも海での生存競争に負けて縄張りを追われた魔物でしょうから、弱い方です。

水の中は戦いにくいので、魔物はなかなか退治されません。

特に、海の魔物はいつまでも退治されないので、時間が経つごとに強くなる傾向があります。

浅瀬ならともかく、遠くの沖や深海は、大型の魔物の天国、全体的に海の魔物は強いです。」


そんな魔物がいる中に、「取り敢えず、前に出て戦ってみてください。」と、森で俺1人 前を歩かせるとか・・・何を考えていやがる。


大きさは3メートルほどで、色は黒に近い紺色、目立たない色に平べったい体つきというのもあって、気を張っていないと姿を見つけられない。


特筆すべきは堅さ、アヤトの魔力の槍でも刃が通らない。


目を凝らして良く見ると、魔力の塊のように見える。


泳ぐというより、飛ぶようにやって来るので、思考加速で良くなった目でも槍を当てられない。


向こうで、シャロがナイフを当てているし、アルセンテがこんで地面に叩き落とし、フィオーラが殴ってひっくり返している。

・・・だが、撃退されたエイの魔物達は死んでいない。


3人はセネカやイシュカ、デュークを守るように3角形の陣形で守っている。

地面にひっくり返ったエイの魔物に、陣形の中から出たデュークがとどめを刺している。


割とあっさり切られるエイの魔物、やっと一匹。


( おお、さすがデュークさん。

俺より背が高いのに、どちらかというと可愛い顔をしているせいか頼りなく見えるが、頼もしい。)


以前セネカが言っていた。

「デュークさんは魔力がとても多いのです。」と、こいつらはもっと強い魔力を込めないと殺せないようだ。


デュークは、次に狙いを定めるが、セネカが止めている。

他の誰もエイの魔物を殺していないようだし、これ、終わるまで帰れないよな。


「アヤトさん、思考加速や強化の魔法の効力が落ちています。

この前は3倍くらいだったのに、今は2倍程度です。

もう少し上げないと勝てませんよ。

あと、相手は強い魔素の塊のようなものですから、浄化魔法の力も上げていかないと、体に悪影響が出てしまいます。

今度のお化け屋敷の為に体を張りたいというアヤトさんの気持ちは尊重しますが、集中の質を落とさないでください。」


いや、身体からだを張ってお化け屋敷のイベントをやる気はない。

俺は自分の体を何より大事にするタイプだ。


アヤトは補助魔法に注ぎ込む魔力を上げる。

確かに、よく見えるようになったし、体も守られている感じがする。


だが、これだけではどうにもならない。


「だが、こいつら逃げるぞ。

他にはどうしたらいんだ。」


「簡単です。

捕まえればいのです。

周囲の気をうまく取り込んでください。

この魔物が、ここを縄張りにしているのは、水や風の精霊が集まりやすい場所だからです。

魔素が集まる場所はこの森のもっと奥ですが、この辺りも忌地いみちと言いますか、霊気の集まる場所なのです。

ここなら死霊魔術の力も高まります。」


アヤトは精神を集中し、周囲に死霊の手を出す。

これで捕まえるのは無理だが、木の幹に張り付いたり、木の枝に垂れ下がっていたエイ達が、木から生えてきた手に触られて、騒がしく飛び回る。


まあ、いきなり触られたら、怒るのは当然だな。


関係のない所からも手が生えているが、まずまずうまくいった。

複数の腕に捕まれてエイの動きが阻害そがいされたり、潜んでいた奴をあぶり出すことが出来た。


そう思ったのだが、セネカの駄目出しが出た。


「アヤトさん、抑えてください。

死霊の手が、周囲の虫や小動物を潰したりと、周りにも迷惑を掛けています。

幸い周りに他人ひとが居ないからいいですが、もし居たら悪霊にしか見えませんよ。

・・・私達まで攻撃していますから。」


「・・・・・・・」

見るとパーティーの仲間達まで、死霊の手に襲われている。


中でもセネカには、一番多くの死霊の手が・・・首を狙って伸びている。


( 何故だろう。)

身に覚えがない。


そんなことより今は、エイの魔物への攻撃に集中しなければ!・・・。


杖から直接、強い魔力を込めた死霊の手を出して伸ばし、エイを捕まえると、即座に縮めて、こっちに引き寄せる。

目の前のエイの魔物に、直前で手から刃に換えた杖を突き刺す。


槍が、はじめてエイの魔物を貫く。

まず一匹、エイが消えた。


( これでよし。)


ガッツポーズで次の魔物に向かう。・・・アグレッシブに!。



笑顔の魔物から逃げるように・・・いきおく。







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