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異世界怖い  作者: 名まず
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##学園祭準備


 「アヤトさん、この石に・・・・・・・・。」


そう言われてやった事は、渡された魔法石の中に、ぼーとしている幽霊的なものを宿らせる事だった。


石を近づけても、池のふちから動く様子はない。


「相手は曖昧模糊あいまいもこな存在なのですから、力加減を誤ると消してしまいます。

丁重に、・・・生け捕りでお願いしますね。」


俺も、何か親近感もあるので、消したくはない。

・・・もう死んでいる存在を、生け捕りと言うのも可笑おかしい話しだが、自分のミスで消えてしまわないよう慎重に石の中に取り込む。


「これ どうするんだ。」


「今度の学園祭、アヤトさんの講座のクラスの出し物に使うのでは?・・・。

確か、お化け屋敷をするのでしたよね?。」


「何で知っているんだ。」


「理由の1つは、私が学園祭での協力を頼まれているからです。

あと、さすがに知ってます。

アヤトさんは仲間ですよ?。

私の弟子でもあります。

学園祭という大きな舞台で、友達が参加するイベントくらいは把握しています。」


協力・仲間・友達・・・すごく胡散臭い。

「その事なんだが、俺はお前の弟子なのか。」


「んっ、今頃ですか?、・・・はい、弟子ですよ。

そうでないと、こっちの世界の重要な情報をペラペラ喋ったりはしません。

私が普段アヤトさんに話している知識は、こっちの世界の住人には馴染なじみのないものや、一般には知られていない内容が含まれています。

それらをもなく披露ひろうするのは、アヤトさんが私の弟子だからです。

まあ、アヤトさんの面倒を見ている理由の1つが、父のことがあるからなのですが・・・・・これでも少しは悪いと思っているのですよ。」


「なるほど。

でも何で、俺が弟子であることを知らないのに、周りのの連中は知っていたんだ。」


「それはアヤトさんの情報収集能力が低すぎるからです。

あと、教えてくれるような友達がいない。」


会心の一撃、アヤトは心に100のダメージを受けた。


「・・・・・・・・・・・・」


「あと、これは関係が無いかもしれませんが、・・・・・私はこれでも、けっこうな有名人なのです。

常に他人ひとの目が光っています。

その私があなたの世話を焼いていれば、噂にもなります。

・・・それと、これも関係ないと思いますが、私がうっかり「弟子を取った」と、口を滑らせてしまったから・・・かもって。」


「絶対最後のが原因だよ。口が滑ったのもわざとだよな?。」


「もちろんそんな事実はありません。

それより早くこの石の中の幽体を封じ込めて状態を安定させてください。

せっかくなので、お化け屋敷でお化け役として出ていただきましょう。」


「何でだ。」


「お化け屋敷をやるのでしょう?。」


「お化け屋敷だぞ?・・・・・いらんだろう。」


「何を言っているんですか。

死霊魔術講座の学生の出し物で、死霊魔術を使わないわけがないでしょう。

学園祭に出す幽霊やアンデッドは、一番上のアヤトさんが主体となって用意するものでしょう。」


「・・・何で俺が一番上なんだ。」


「あのクラスの中で、魔王であるアヤトさんが一番格上だからです。

当然でしょう?。

クラスで、打ち上げにパーティーをやることになったら、お金を出すのはアヤトさんの役割なのですが、そこら辺も分かっていますか。」


「いや、分からん。」


「この前、フレドさん達と街に行った際は、フレドさんがお金を出してくれたでしょう。

あれは、4人の中でフレドさんが一番身分が上の貴族だからです。

フレドさんが出すのが当たり前なのです。」


「そうなのか。」


「そうなのです。

そもそも、フレドさんがいないと、入るのを断られるお店でした。

あの時ならともかく、今は魔王であるアヤトさんがお金を出さないと、格好がつきません。

なので、お化けの手配も、アヤトさんの魔王としての手腕しゅわんわれます。」


「本物が出るのか?。 学生が仮装するんじゃなく。」


「仮装?、・・そんなことしませんよ。

本物がいるのに仮装する必要なんてないでしょう。

当然、出演するのは全て本物のアンデッドです・・・・・・アヤトさんも含めて。

もちろんクラスメイトの皆も、操ったりするのを手伝うのですが・・・。

あなたのクラスのイベント、魔王が関わっているということで、前評判が高いのですよ。」


「ん?、どうしてそんなことになってる。」


「アヤトさんは、魔王という自覚が足りないようですね。

アヤトさん自身、この学園で注目されているのですよ。

と、いうことで・・アヤトさんは魔王として、魔術集会の看板を背負ってイベントをやるわけですから・・・分かってますよね。

本格的・・・なのをお願いしますね。

なぁに・・・大丈夫、私もきょうりょくしますから。」


意味ありげに、顔がこっちに向いた。


セネカが怖かった。・・・笑顔がすごく怖かった。






 異世界の学園祭の飾り付けの様子とかいっても、日本の学園祭と似たようなものだ。


イベント用に借りた広い室内訓練室に、皆で協力して、廃墟風の建物の外観や内観、棺桶やカタコンベ風の雰囲気を作り上げていく。


こっちの世界、薪とかは安いのだが、ベニヤ板など無いし、板や布は値が張る。

学生のふところには優しくない仕様、いろいろ工夫が必要だ。


棺桶などは、死霊魔術講座の予備室にあったのを、一部借りたりしたらしい。

それって、中身入れてたやつじゃ・・・、アヤトは、つっこみを飲み込む。

世の中 口に出したら駄目なやつがある。


「アヤトさん、こっちは これでいいでしょうか。」


お化け屋敷の外観についてアヤトに相談に来る生徒、それに、フレドがもう少し汚れた外観にするよう指示を出して、レイチェルも他の生徒に色々注文を付けている。


何か、俺がボスみたいになってないか。

あと、お前ら3人、俺の取り巻きのように動くな。


今のクラス、半分以上は低学年みたいな感じなので、子供を顎で使う大人みたいな図になっている。


しかも、指示を出すのが骸骨の化け物となれば、ブラックな作業にしか映らない。


この光景を、日本に居た頃の俺が見てたら、一発で通報してたよ。


「ほら、そこ、アヤトさんをわずらわさない。 テキパキ動いて。」


アヤトの指示を伝えるかのように指示を出す3人、・・・早くこいつらを止めた方がいいかもしれない。

・・・・・・手遅れになる前に。



 そいつらは、入口から どかどか とやって来るなり、

「アヤトさんからのお荷物です。」

「アヤトさんからのお荷物入りました。」


室内のざわめきに負けない 大きな声が掛かり、それを受けたクラスメイトが声を張り上げて返事する。


此処ここ何処どこのホストクラブだ。


それに、『アヤトさん』は此処に居るのだが、俺は身に覚えがない。

というか、お前ら誰だよ。格好が怪しすぎるぞ。

皆 頭から真っ黒な布を被っていて全身が隠れている。

誰だ、こんなのを学園に入れたのは、警備はどうなっている。


その黒い布は白い布紐で縛られ、唯一怪しくない物、生徒会の許可の判子が押された書類が挟まっている。


書類を確認し、布紐をほどいて、そいつらの布を外すと、中から姿を現したのは、30体の骸骨の集団。


先頭の骸骨、正確には、一番前にいた骸骨の、後ろに憑いていたレイスが、明るく、

「あっ、皆さん気にしないでください。

私達、アヤトさんの使い魔でして、今回のお化け屋敷ではスケルトンをやらせていただきます。

あ、私はこいつらの指示と、レイスの役をさせてもらいますので、よろしくお願いします。

あと、皆さん、私達が被ってきた布は、暗幕に使ってくださいとのことです。

あなたがアヤトさんですね。

いや~、今回のイベント楽しみにしていたんですよ。」


魔王とレイスが会話を繰り広げている。( レイスが一方的に喋っていただけ )


気にしないなんて無理で、訓練室内の学生達は騒々しい。


そんな中、誰が暗幕を取りに行くのか?。


「あ、ありがとうございます。」

と、おずおずと前に出て黒い布を受け取りに行った生徒は、なかなか度胸がある。

俺なら絶対に受け取らない。


他の生徒も弾かれたように暗幕の布を受け取りに行く。

ところでそれ、・・さっきまであの骸骨達が身に着けていた布なのだが、触って大丈夫なの?。

君達 一応 身分が高い人の子供なんだろ?。

古着とかい布とか、抵抗ないの?。


1人レイチェルだけが、

「それは大変、私達の学園祭に相応しいか、しっかりチェックしないと。」

と、スケルトン達の方に行く。


それは見なかったことにして、アヤトはレイスと向き合う。


「・・・誰だよお前。」


「嫌だな~、ご主人様、自分の使い魔のことを忘れたんですか。」


「お前、絶対、セネカの関係者だろう。」


アヤトが指摘すると、アヤトにしか聞こえない霊力のこもった声で、


「もちろんです。ちゃんと話しを合わせてくださいね、ご主人様。」

とか言ってきた。


男のレイスの茶目っ気なんて、誰得だよ。

帰れ!。

霊とはいえ、男にご主人様なんて言われたくねえよ。

せめて女性の霊を連れて来てくれ。


妄想の中でセネカ幽霊化あんさつ計画を実行し、心を落ち着かせる。


現実は厳しい。


周りは、アヤトさんすげえ~、これなら今回のイベント絶対に成功するな。みたいなノリになっていて、今さら帰れとは言えない雰囲気だ。


再度、妄想の中でセネカを撲殺して、

「ああ、今回のイベント、お前達が頼りだ、頼んだぞ。」


死んだような目で、心ない言葉を吐く。


「はい、ご主人様!。 残りのメンバーも順次きますので、そいつらの指導の方はお任せください。」


「まだ来るのかよ!。」


アヤトは、レイスの野郎にだけ聞こえる声でつっこんだ。






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