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異世界怖い  作者: 名まず
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##池の魔物(前)


 走竜から降りて、沼地を進むこと半日、2日前に雨が降ったとのことで、水捌けが悪いこの辺りの道の土が足に絡んで歩きにくい。


それでも、俺はい方で、体が軽い分、泥に足を取られるのが軽減されているとのこと。


それに、この辺りはヒルが多いらしく、パーティーメンバーの皆は、長い革の靴をいたり、蛭や虫を寄せつけない為の薬を塗ったりしている。

独特の臭いがするし、体中がベタベタする、・・・そうだ。


梅雨時の山道、長靴や合羽カッパの完全装備で何時間も歩く状況を想像してくれたらいい。

湿気や蒸れ、その他もろもろで、ひどいことになるのが目に浮かぶだろう。


なるほど、確かにそんな経験はしたくない。


だけど・・・・・・、

・・・・・・代わってやろうか?。


確かに、そんな目に合うのはくない、・・・が、くないよ!。


何が、

「アヤトさんは体が軽く、泥に足を取られることも少ないです。

いざとなれば、足の鎧や靴を脱げば、泥の抵抗は少なくて済むのでい方です。

それに、虫や湿気に悩まされることもないですからね。」 だ。


俺も身体からだが骸骨になるぐらいなら、蒸れたり、濡れたり、薬を塗ったり、・・・不便を享受きょうじゅする方がかったわ!。


ハアハァ・・・まあ、それは置いておいて、そうまでして此処ここに来たのは、ここにいる魔物の討伐依頼を受けたからだ。・・・セネカが。


「今度は何の魔物なんだ。」


「魚の魔物だそうです。

ここの森の中には、いくつもの河川が流れています。

流れが大きく蛇行している川も多いので、雨が降ると頻繁ひんぱんに川の水が氾濫はんらんし、辺りに即席そくせきの水たまりや沼が出来るのです。

そこに魚の魔物がひそんで、襲って来ます。

それも厄介なのですが、更に厄介な点が、不利になると水の中に逃げてしまうところです。

普通の冒険者では、川の中までは追えないので、やりづらいのです。

逃がすと魔石も得られず、無報酬になるのも痛いです。

なので、一般的に、冒険者は水の魔物の討伐依頼を受けたがりません。

水の魔物専門の冒険者がいるくらいです。

そこで、こちらに話しが回ってきたわけです。


「最近、そんなのが多くないか。」


「仕方がないのです。

こういう場合、実力のある魔法使いの手が必要ですが、冒険者に魔法使いは多くありません。

そこで、提携している魔術集会に泣きついて来る・・・というか、お願いに来るのです。

修行のついでに、人助けも出来ると思って、やる気を出してください。」


こいつが人助けとか胡散臭うさんくさい。

思った事を、そのまま言ったら、憤慨ふんがいされた。


「何を言っているんですか。

人助けは、私の趣味の一つですよ。

こういう行いは、日頃の積み重ねが大事です。

敵ばかりつくっていると、いざという時に誰も助けてくれなくなりますよ?。

だからといって、良い人など食いものにされるだけです。

人助けは、趣味程度にするのがちょうどいいのです。

これでも、恨まれた数と同じ数だけ感謝されている、と、自負しているくらい人助けしているのですよ。」


なるほど、一応 恨まれている自覚はあるのか。


「恨まれる趣味もあると・・・。」

そうじゃないと、趣味かんしゃと同じ数 恨まれる機会はなさそうだ。


それも、そのまま言ったが、そセネカが何か言う前に、アルセンテとフィオーラが割って入る。


「アヤト・・・さすがに失礼だぞ。

私もフィオーラもセネカに助けられたし、お前もセネカに助けられたはずだ。

私達が1年以上あの国にいたのも、お前を狙う可能性があった組織を徹底的に潰すためだ。

あの作戦はかなり強引に行ったから、魔術集会内でも、セネカは大分叩かれているんだぞ。

それもこれも、お前の為にやったことだ。」


「そうなのか?。」


「まあ、無茶はしましたね。

本来はもう少し情報を集めてから乗り込むところを、証拠もなしに、違法な魔法実験をしている、と、一方的に宣言して突入しましたから。

リスクは高かったです。」


「何でちゃんと情報を集めなかったんだ?。」


「情報収集は一朝一夕いっちょういっせきで出来るものではありません。

普通に情報を集めていると、プラス1か月は余計に掛かりました。

アヤトさん、想像してみてください。

助けが1か月遅れることで起きる結果を・・・。

アヤトさん、あなたは、あの地下の牢獄で あと1か月過ごすのです。

発狂していたかもしれないし、助けた時にはすでにアンデッドだったかもしれない。

もしかしたら、人体実験されて体を切り刻まれていたかもしれないし、少しずつ腐っていく身体からだおびえていたかもしれない。

そんな未来を・・・・・・。」


「うん!、証拠は必要ないな。

あんな組織はそく潰すべきだ。」


全言撤回、アヤトは強く主張する。

証拠?・・・何それ?。


「いえ、証拠や情報は必要です。

そうでないと、魔術集会がただの暴力組織になります。」


セネカは通常運行・・・アヤトのげんを否定する。


「だって、あんな組織だぞ。」


アヤトは涙目で抗議する・・・涙は出ていなかったけど。

あの時のことを思い出してしまって、心が収まらない。


「気持ちは分かりますが、もう終わってしまったことです。

あの時は、異様な数の戦争捕虜があの場に集められていたことと、特殊な時空の歪みを検知したこと、一番は父の研究データがあったからこそ、確信を持って動けただけです。

それに、中に突入したのが、私と私の魔法兵だけだったので、動きやすかったというのもあります。

異世界関係の魔法は、魔術集会の人にも知られたくなかったですし、万が一 証拠が見つからなくても、全て消してしまえば解決しますので。」


( ん?、それはおかしくないか・・・証拠とか情報の大事さは何処どこいったよ。)


「さすがセネカ。」

「素早い決断だ。見習いたいぞ。」


と、アルセンテとフィオーラが感心している。


ん、俺がおかしいのか?、そんなバカな!。

絶対、この2人の性格もヤバイよな?。


でも・・確かに、セネカには世話になった。

こいつの場合、素直に礼を言いにくいが・・・・・・。


「・・・すまなかった。 感謝はしている。」


「かまいませんよ。

それより、せっかく助けた命なので生きてください。

幸い、私のもう一つ趣味が、気に入った人に修行をつける事なので、頑張って強くなってくださいね。」


「いや、それはどうでもいい。」

落ちが見えたので即断そくことわる。

いくつもあるセネカの趣味など、俺にさえ迷惑が掛からなければ、どうでもいい話しだ。


「アヤトさんが、自分で強くなれるのであれば、それでもいいです。

ただ、アヤトさんもずっと私に守られるのは嫌でしょう?。

私としても、一生面倒を見るわけにはいきません。」


「いや、それはそうだが・・・。」


「アヤトさんが独り立ちする為にも強くならないと!。」


「具体的に、俺はどれぐらい強くなればいいんだ。」

基準が欲しい。


「どこかの教会の聖騎士団を一人で全滅できるくらいです。」


「え~と、・・・。」


「聖女とその御付きの騎士を皆殺しに出来るくらいです。」


「え~~と、・・・・・・。」


「大きな街の住人を全てアンデッドにしてしまえるくらいです。」


「え~~~と、ハードル高くないか?、・・・あと、悪役っぽい。」


「いえ、悪役ですから。

骸骨の魔術士ですよ?。

いくつかの聖なる宗教団体からは、悪の権化として命を狙われるのが確定事項です。」


「その話し、やっぱり本当の本当なんだな。」


「アンデッドですから。

あまり簡単に殺されてしまうと、貴重なサンプルと取れるはずの実験データが・・・・・・・・アヤトさんのが心配なんです!。」


「お前 やっぱり俺のこと人体実験するつもりだろう。」


「そんなことしませんよ。

人体実験なんてしなくても、生きて生活しているだけでデータは取れます。

人体実験をしなければ成果を出せない人間は、満足に予測も仮定を立てることも出来ず、漫然まんぜんと研究をしている低能なやからです。

アヤトさんなら分かると思いますが、短期的には、人体実験をした方が結果は早く出ます。

ですが、凄惨な実験や情報の隠避は、拒否反応や不信感・恐怖を生み、社会から受け入れられない。

魔術士全体が、社会的に不信感を持たれることに繋がります。

そうなれば、せっかくの研究成果も怪しいものとしてとらえられ、世間には受け入れられない。

結果的には、時間は掛かっても正規の手続きを踏んで実験を行い、その結果を世間に公表した方が、科学も魔法も発展します。

特許もなく、研究を評価する制度もない、暴力が暴力を生む今の現状ではまだ無理ですが・・・。

取り敢えず、無駄話が長くなってしまったので、そろそろ本題に戻りましょう。

ここで狙うのは魚の魔物、ある池に住み着いたそうですが、薬草の採取場所や近くに街道と接する川もあるので、これ以上被害が出る前に退治してほしいとのことです。

そこで、今回は、あなたの世界の『池の水を全部抜いてみよう』作戦を採用したいと思います。

流れはあれと同じです。

私が池の水を抜くので、アヤトさんが魚の魔物を退治してください。」


「いや、俺の世界に魚の魔物はいないが・・・・」


魔物もいなかった。

確かにそんな感じの番組はあったが、こんな殺伐とした番組ではなかったはずだ。


「念の為聞くが、池をきれいにしたりはしないんだよな?。」


「はい。池の魔物をきれいに始末する番組です。」


「番組じゃねえよ!。」


「外来種?、害獣を駆除くじょ、・・・地元の人達も喜んでくれる地域密着?型の番組ですよ?。」


「だから番組じゃねえだろ、これ!、俺の修行なんだろ。 真面目にやれよ。」


「ええ、やっとアヤトさんが真面目に修行する気に・・・・ではさっそく、と、その前に、実は 池の水を抜くのは けっこう大変なのです。」


「それはそうだろうな。」

アヤトは同意する。


「なので、アヤトさんさえければ、池に潜って泳いで魔物をた・・・・・・」


アヤトは同意しない。

「池の水を抜く方向でよろしくお願いします。」

直立不動、セネカの言葉を遮って、お願いする。


「ええ、そうですか。

・・・・それでは池の水を抜いて魔物を討伐しましょう。」


セネカは同意した。


若干、しげある声だったのが気に掛かった。






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