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異世界怖い  作者: 名まず
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#エルフの里(3)


 森の中を進むが、高い所からの視線を感じる。


アヤト達が里に居る時には見なかったが、3つの里は交代で世界樹の木の上でも生活をしているらしい。


里に居る時も、登ってはいなかったが、上にはエルフが居たそうだ。


矢の種や世界樹の葉の採集、害虫の駆除をしたりしているとのこと。


もちろん、せっかく高い木の上なのだから、上から森の監視もしている。


森だけじゃない・・・俺達の行動も監視されている。


なのでセネカは、パーティーでの会話を聴かれないように、消音の魔法を発動している。

姿の方は隠していないが、そこまですると不信感を持たれるので悪手あくしゅなのだとか。


「じゃあ、今から【骨塚】って所に行くのか?。」


消音の魔法もあるし、気にしてもしょうがないので、アヤトは話しを振る。


「いえ、まず別の所に行きます。

今はまだ遠いのですが、こちらに近づいて来ている魔物がいるらしくて・・・様子を見に行きます。

状況によっては、戦うことになるでしょうね。」


これは、エルフの里に着いた後、長老から相談をけた依頼だそうだ。


世界樹のそばで暮らしているとつきもののトラブルで、魔力を宿した木が発する力を求めて、魔物などが寄って来ることがあるそうだ。


エルフの里に来ても魔物退治か。

アヤトとしては、テンションが下がる。


もっと、こう・・・美人のエルフ女性が出てきたり、美人のエルフ少女が出てきたり、エルフの女性がたくさん出てきてもいと思う。


エルフの里に来てまで、むさい(?)魔物の相手とか、異世界での過ごし方として間違っている。


そのようなことを、遠回しにセネカに訴えてえみたが(直接は言っていない)、取り合ってはもらえなかった。




 歩いているのは1匹のセミ


頭に浮かぶのは日本の夏、陽炎かげろうで揺れるアスファルトの光景、それと、風鈴と向日葵とアイスキャンディーに・・・蝉の声、夏の風物詩だ。


まあ、そんなものは此処に無い。


あるのは・・・森を歩く蝉だが、大きさは60メートルくらいあるので、本当に蝉と言っていいのか分からない。

たくさんの脚と何を映しているか分からない複眼、だるような暑さでもないのに揺らめく陽炎。


蝉だ?。 

黙々と歩いて(?)いる。

普通の蝉の5倍以上の数ある脚が、規則正しく動いている姿は、実にシュールである。


「・・・・・・・・あれと、俺達が戦うのか。

エルフの人達、自分達であれと戦わないのか。」


「あれと?。

しないでしょう・・・・・あれの放つ爆音を知っていますか?。

下手に刺激すると、鳴き声で周囲の地形ごと吹き飛ばされます。

はしの大陸にまで声をひびかせる』と、言われているくらいなのですよ。

あれに手を出すには相当の覚悟がないと、簡単には手を出したりしません。

エルフは、そんな愚かではありません。


遥か昔、愚劣ぐれつな王が、セミの魔物を怒らせて国を滅ぼした物語があります。

でも、古代の遺跡や書物、文化の痕跡を調べてみると、その王は決して愚劣な王ではなかったようなんです。

その王の時代、国は発展し、王は賢政をいていました。

では何をもって、その王は後の世に『愚劣』と呼ばれるようになったのか。

政治は結果が全てです。

その国が無くなったからです。

勝てもしないのに蝉の魔物に手を出したからです。

戦ってしまったことが愚劣なのです。

国民が殺されようが、建物を潰されようが、耐えるのが国を治める王のつとめでした。

涙を呑んで耐えるよう、たみに手を出さないよう言い聞かせるのが王の仕事でした。

黙って蝉が通り過ぎるのを、見過ごすのが正解でした。

それが出来なかったことが、その王が愚王と呼ばれるようになった所以ゆえんです。

結果として、大陸は灼熱と化して、いくつもの国が滅びたといいます。

その国が、中途半端に強かったこともわざわいしたようです。

まあ、実際は、王が止めても、軍や貴族は勝手に動いたでしょうし、結果は変わらなかったでしょう。

それで、蝉の魔物と戦った結果、その怒りの余波を受けた人々の怨嗟えんさを、王は一身にびることになった。

今ではそんな事情ことは忘れられ、ただ愚かな王のお話しとしてかたがれていますが・・・。

要は、運がなかったんですね。」


身も蓋もなかった。

「でも、あの蝉の何がそんなにおそれられているんだ。」


「あの蝉の羽を震わす攻撃は、周囲を電子レンジの中の状態にします。

近づくだけで、血液が沸騰するんですよ?。」


近づくだけで鼓膜は破け、超音波で体はボロボロ、おまけに電子レンジ攻撃、それが、大陸規模で起こったらしい・・・その時の蝉はもっと大きかったそうだが。


ぞっとする。

「そんな化け物、誰が倒せるんだよ。」


「えっ!?、もちろんアヤトさんですよ。」


俺だった。

もっと、ぞっとしたよ。


エルフだって、何もこのんでであんな魔物ものに手を出そうとしているわけではない。


それでもあれに手を出すのは・・・セネカ達に依頼を出したのは、あの『蝉の魔物に木から生気を吸う性質がある』からだそうだ。


「普通の木ならいいのですが、それが世界樹となると、そうも言ってられません。

あれが世界樹に向かっていることを確認したら、攻撃を仕掛けます。」


翻意ほんいうながそうにも、もう依頼は受けてしまっている。

それに、セネカの中では、決定している事のようにみえる。


せめて、魔物が世界樹に向かっていないことを星に願った。






 アヤトは、僅かな望みに掛け神様にも祈ったが、その願いは叶わなかった。


まあ、祈って願いが叶うのなら、今 ここに『骸骨』は いない。


今頃、日本で宝くじを当ててイージーに生活しているか、人間の姿で異世界無双しているか、どっちかだったはずだ。


ところで・・こっちの世界に俺の知ってる神様はいるのだろうか?。


 取り敢えず、アヤトとイシュカの2人で蝉の元へ向かう。


作戦の内容は単純、覚えるのは簡単、


・アヤトが蝉の気を引く。

・イシュカがとどめを刺す。


要約すると、それだけだ。


セネカが敵の攻撃から周囲を守る結界を張ったり、大蝉がアヤトとイシュカの2人を突破した時は、残りのメンバーが動くなどの細かい話しはあったが、作戦は基本的に『2人でがんばれ』だった。


蝉の魔物の攻撃は爆音・超音波・電子レンジ攻撃だが、アヤトとイシュカには効かない・・・・・・らしい。


本当かどうか知らない。

戦闘前に行われた作戦会議ミーティングで与えられた素晴らしい情報の中身は『その身で受けて確かめろ』だからだ。


手順は、まずアヤトが槍で蝉を攻撃、音を発している部位・お腹に損傷を与える。

それで音が止まればいが、そこまでは期待していないとのこと。


アヤトの突撃開始と同時にセネカが結界を張る。

水界の結界で音の攻撃が外に及ぼす影響を緩和するのと、森の火災対策をする。


そして、アヤトが蝉の気を引いている間に、イシュカがとどめの攻撃を仕掛ける。


イシュカは、炎や氷などの魔法攻撃・温度差、物質の振動に対して魔法耐性を持っているそうだ。

なので、蝉の攻撃にも耐えられる。

炎の槍の温度は一万度を超え、オリハルコンさえ溶かすそうで、蝉の魔物にとどめをさせる充分な威力があるとのこと。

それって反則チートじゃねぇ?。


アヤトは、すごい大雑把な作戦だし、たいへん大雑把な説明だったので、

「本当に電子レンジの中に入って大丈夫なんだろうな。」と、詰め寄ったが、

セネカは、「死人がこれ以上死ぬわけがないでしょう。」と、大変ありがたい訓示をくれた。


それどころか、怖い笑顔で、念まで押してくれた。


「蝉の音が消えるまであの場を離れないでくださいね。

もし離れた時は・・・・・・・・・・・・・・。」と。


拒否する道が断たれた。

愕然とした・・・・・・やっぱり俺の異世界生活は間違っている。


 蝉の攻撃を受けても大丈夫な人物は、この木漏れ日の樹のメンバーには もう1人居た。


セネカいわく、【結界人間】のデュークには、ほとんどの魔法は効かないとのこと。


なら、デュークもこっちで一緒に戦ったらいい、と、アヤトは提案した。


しかし、セネカは言う。

デュークの剣に対してあの蝉は大き過ぎて傷を付けることは出来ても、殺しきれない可能性が高いとのこと。

蝉を怒らせて、暴れさせる危険がある為、今回デュークは、後方でもしもに備える要員として待機させことにしたそうだ。


俺もそっちがい。


叶わないとわかっている望みだったが・・・。


セネカを説得するなんて、神様が願いを叶えてくれる可能性より望みが薄そうだ。


セネカが駄目なら・・・・そっちを見る。


原因はんにんはこいつだ。

大蝉こいつさえ世界樹を目指さなければ、・・・。


歩いていく魔物・・・木を倒しながら進んでいる。

その蟲の目に何が映っているのか・・・分からない。



犯人ホシに願いを・・・。


無理そうなので、お願いしなかった。






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