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異世界怖い  作者: 名まず
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#エルフの里(1)


 「今度の冒険は往復で1か月以上かかりますから、しっかり準備をしてくださいね。」


そのにこやかな声を聞いたアヤトは、求め訴えた。


「授業をまともに受けさせてくれ!。」


と。 ・・・理由はある。


勉強が好きとか、学校が好きとかの理由ではない。


エロイムエッサイム 我は単位を求めたり・・・じゃなくて、学園に入学して2年近く経っているのに全然単位が取れていない。


このままでは、進級に必要な単位が何時いつまでっても取れない。


フレド達3人組は、いつのにか中等部に上がっていた。


学園は、基本3年間の学習期間、余裕があれば講座を増やして個別に色々な知識を身につければいい、と、いうのが教育方針であるが、中には早く進級したい生徒もいる。


なので、希望し努力すれば、早い人は2年でうえがることが出来る。


進級するには、必要単位収得のうえ、試験や面接を受けなければならない。


初等科の授業内容はそう難しくなく、貴族は幼少の頃より教育係や家庭教師から教育を受けているので、2年で卒業したからといって、特別あの3人の頭がいとかではない。

むしろ当然の結果といえよう。

ただ、アヤトの所属している基礎科も難しい内容とは言えない。

そのうえ、アヤトは日本の学校で高等教育(日本の教育内容はこっちの世界では高い専門性を持って見える)を受けていた身だ。

決して、単位が全然取れていないのは、アヤトの実力というわけではない。

単純に冒険や修行・トラブルだらけで、授業を受けれていないからだ。


知り合いが進級していく中、一人立ち止まる自分。

さすがに、アヤトも焦る。しかし・・・、


「アンデッドに学歴なんていりませんよ?。」


セネカはぶっちゃけた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・!。」

( 俺も薄々そうだとは思っていたよ!。)


でも、それは言わない約束だろう?。


それでもセネカは言うのを止めない・・・容赦しない。


「アヤトさんに必要なのは強さです!。

弱いと黒い害虫扱いで殺されてしまいます。

それと、理性ですね。

暴れたら、やっぱり即処分しなければなりません。

当初の想定では、カノヴァの学園の大学を卒業、市民権を得る。

その私達から離れて冒険者として活動、冒険者引退後、田舎で暮らし、何十年かして死亡、そのあとにアンデッドになるというものでした。

50年くらいの余裕があるというのが当初の見立てでしたが、こっちの世界に来た直後の処置が悪かったせいか身体からだの状態が最悪で、今のように・・・カルシウムが強化された状況になっています。

現状、下手に手を出すとアンデッド化は進行するという最悪の状況です。

そうでなければ、もう少し人間の状態でいられたのですが・・・。

私も貴重な生きたアンデッドを無機物ほねにはしたくは無かったんですよ。

なので、今の方針としては、

世の中で生きていけるように、学園での勉学より、こっちの世界の常識を学ぶことを優先しています。

学園の普通は、世間の普通とは違うので参考にならないかもしれませんが、逆に言えば、アヤトさんが多少変でも、学園卒という肩書きさえ持っていれば

「あいつはカノヴァの学園卒だし」の一言ひとこと免罪符めんざいふになります。

・・・そのつもりだったのですが、このままでは基礎科の卒業さえ危ぶまれます。

本当は、最低でも高等部を卒業して欲しかったのですが、頭も顔も(骸骨の見た目が)悪いです。

もう別の手を考えます。

もうこの際、カノヴァの学園に通っていたがその学園からも追い出された魔王、という『肩書き』でやっていった方が良いかも、と、思っています。

もう『普通』はあきらめめましょう!。

今のあなたに必要なのは勉強より常識、常識より強さ・・・だから、修行と冒険です。

このままでは、素材を狩る前に、素材として狩られてしまいます。

今のアヤトさんの必要トレンド化物つよさです!。

頑張ってアヤトさんの好きな『無双ふつうのせいかつ』をしてください。

就任しゅうにんそうそうられてしまっては、魔王に推薦した私の立場もありませんしね。

そして、・・・アヤトさん喜んでください。」


「突然何だ?。」

つっこみたい事は山ほどあるが、セネカの晴れやかな笑顔に思わず警戒する。


「あなたは素材として一級品です。」


「いや、喜ばねえよ!。」


「えっ、私なら金貨1万枚くらい出しますよ?。」


「いや売らねえよ!。」


「冒険者を目指す子供に人気の童話で、人気者にんきものなのがドラゴン・リッチ・魔王です。」


「それ、倒される側だよな?。

・・・それがどうしたんだよ。」


「リッチで魔王ですよ?。

まさにあくの魔法使いの権化ごんげです。

物語に引っ張りだこ、冒険者にモテモテですよ。

勇者や英雄にあこがれる子供達しんじんぼうけんしゃや騎士・聖職者の皆さんが、あなたを待っています。

女性にも「きゃあきゃあ」言われますよ?。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

( それ、怖がられて叫ばれるだけだよな?。)


今までモテたいと思ったことはあった。

でも、こんなにモテて嬉しくないと思ったのは初めてだよ!。

びっくりだよ。






 エルフの森は、走竜の足でも16日掛かった。


急ぐ旅程ではなかったので、まだましだったが、さすがに10日目を超えると疲れが出てきた。


他のパーティーメンバーは旅慣れているようだが、現代日本で育ち、旅行は車や電車、情報収集はネットのアヤトにとって、こっちの世界の旅は慣れないものだ。


下手すると軍事的な都合で地図がなく、村人や旅人に道を聞きながら進むのが、こっちの世界の旅だ。

道も整備されておらず、橋が雨で流され増水した川の水が引くまで動けないとか、この先は戦場になっているので大きく迂回うかいしないと先には行けないとか、普通にあるのがこっちの世界の旅事情。


場所によっては道がなく、獣道を歩くしかない。


エルフの森の近づくにつれ緑は深くなり、村人や冒険者が立ち入った形跡けいせきも見られなくなる。


随分辺鄙ずいぶんへんぴな所だな。」


大きな声で言うことではないが、思わず口に出る。


「基本、人間は近づきませんから。

たまに猟師や薬草を取りに入る人はいますが、ある一定を越えて森に入るとエルフに攻撃されます。

3つの里で協力して、森を巡回しているのです。

エルフは狭量きょうりょうではありませんが、一度でも人間を近づけると大変なことになりますから。

人間は、そこに入って大丈夫だと思うと、勝手に村をつくり、そのうち此処ここは自分の土地だと言いはじめます。」


「そんなことがあるのか?。」


「ドラゴンとかの間では有名な話しですよ。

戦争に負けたある国の住人が、土地を追われ、各地を彷徨さまよいました。

放浪ほうろうすえに、その地に辿たどり着いた亡国の王は、その地をべるドラゴンにい、その土地のはし一時いっとき住まわせてもらうよう願いしました。

そのドラゴンは、王の出した定期的に食料を提供するという条件を受け、みずからのべる地に人がまうことを許しました。

さて、ここでアヤトさんに質問です。

敗国の・・・放浪ほうろうたみに、ドラゴンのような体の大きな生き物に提供する豊富な食料があると思いますか?。 お金は?。

答えはNOです。

自分たちの食糧さえ困っているのに。

そこで、一番安く簡単に手に入る肉を奉げることにしました。

口減くちべらしも出来て一石二鳥です。

時が過ぎ、国が大きくなった頃、人々は生贄を奉げる意味さえ忘れてしまいます。

それでも、生贄は奉げ続けます。

魔力保有量なら人間の方が多いですが、肉の量なら牛の方が多く旨い。

ドラゴンにとっては、食べられれば牛でも羊でもいいのに、人間を奉げ続けます。

やがて人は言います。

生贄いけにえほっする邪悪なドラゴンよ、成敗してやる。」

と。

かくして竜殺ドラゴンスレイヤーしは英雄になり、国は大きくなりましたとさ。

めでたしめでたし。

・・・竜にとっては約束は契約で、人にとってもドラゴンの脅威のおかげで守られた面もあるなど、決して理不尽な取引ではありませんでした。

そうでなければ、そんな契約、始めからしなければいいのです。

生贄を奉げていたのも人間の方でした。

確かに最初の生贄は、王の娘が自ら身を奉げたそうですが、それも次第に歪んでいきました。

反対勢力の人間を生贄に奉げて排除したり、

国に逆らうと家族を生贄に選定するぞと脅したり、

生贄の風習をいいように使っていたのです。

 もちろん、ドラゴンと契約した最初の王やそれに付き従う配下は、いつかは滅ぼされた国を取り戻し、かつて暮らした土地に帰るつもりでした。

しかし、その子孫は違います。

そこが故郷こきょうなのです。

そんな大昔おおむかしの約束は、知ったことではありません。

今、大切な人を奪い、広大な土地を占拠する無法者むほうもの、それがドラゴンなのです。

・・・ドラゴにとっては、つい最近(ドラゴンの時間的に)約束したばかりの話しを、一方的に反故ほごにされ、あまつさえ殺されたのです。

たまったものではありません。

という英雄譚えいゆうたんがあります。」


「それ絶対、話しの内容が違うよな。」


それ多分、本当の内容は、勇者が悪いドラゴンからお姫様を助ける的な物語ものがたりのはずだ。


「長命種にとっては、人間種は厄介な生き物なのですよ。

こっちの世界で生きていたら、いつか分かります。」


( おまえ何歳だよ!。)


これは、つっこんでもいいやつだろうか?。

怖いからめといたけど・・・。







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