表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界怖い  作者: 名まず
46/60

#対価の依頼(前)


 グレガテにとって、居場所が分かっている敵をただ叩き潰すというのは楽な仕事の部類に入る。


伊達だてにSランク冒険者はやってない。


苦手なのは頭を使った仕事だ・・・・・・誤解されるかもしれないので言っておくが、別にバカではない。


自分で言うのは何だが、頭はいし、感もえてる。


感がいから、それに頼って考えなしに突っ込む、というのが、かつての仲間からの評価というか忠告というか・・・苦情だった。


もうちょっと考えて動け!。

頭をよぎるが、苦手なものはしょうがない。


その点、今回のような仕事は楽だ。


殴って倒せない敵(巨大スライム)というわけでも、姿を見せない敵でもない。

貴族とかは敵に回すと面倒なのだ。


ただ、違法な実験をしていると思われる魔法使い達の拠点に突入し、ふん捕まえて証拠を押収するだけ。

此処で実験は行われていないそうだが、違法な事をしているのはたしからしい。


すでに魔術集会の索敵役シーカーが、事前の下調べや諜報を終わらせているらしく、今回踏み込む場所にいる相手に冤罪えんざいの可能性はほぼないらしい。


それはいが・・・この場合は、盗賊シーフや諜報員という言葉が適切じゃないのか?。

ダンジョンや魔境の森の先を行く者に、その名を使えよ。

索敵役のイメージが悪くなるだろ。

ただでさえ地味で、盗賊や軽戦士・狩人が兼任してくれている場合が多いのだが、・・・盗賊のイメージが強すぎて、シーカーと名乗るのを嫌がる奴も多いのに!。・・・ゾランとか。

・・・話しがれた。


やることは単純作業でも、世の中は複雑で、物事ものごとに失敗はつきものだ。


セネカに、くどいくらい念を押された。


「私達は犯罪を取り締まる方で、犯罪を行う方ではありません。

やりすぎは禁止で、証拠をちゃんと回収する!。

間違っても建物を潰してしまったり、人間をミンチにしてしまわないよう。」

セネカは繰り返す。


・・・何故 俺達の方に顔を向ける。

理不尽である。



 街の中にある立派な建物。


「こんな所に違法な魔法の実験をしている施設があるわけがない」と、思うかもしれないが、一概いちがいに「そんなことはない」とは言えない。


魔法使いはエリートで、運動が出来ない奴が多い。


特に、研究職についている魔法使いは、その傾向が強い。


まあ、国家や軍に所属し、幼い頃から訓練を受けている魔法使いや冒険者をしているような魔法使いは別だが、基本 魔法使いは、軍隊の中でも守られる存在である。


行軍の移動も馬車に乗せてもらえるし、食事も少し豪勢だし、実戦でも守ってもらえる。


魔法を使える者は優遇される。


魔法使いの数は少なく、貴重な人材だ。

戦争では、数が大事だが、魔法使いの数が特に重要で、戦局を左右すると言われている。


戦闘で使え、魔法で食べていけるレベルの魔法使いともなると更に数は少ない。


その貴重な人材を育てるのに、どれだけのお金が掛かり、時間がついやされているか・・・少なくとも、使い捨てにされるような人材ではない。

最優先で守ってもらえるというわけだ。


通常、魔法で食べていく道に進むことを考える人間は、体を鍛えるより、魔法の研鑽けんさんに労力をついやす。


宮廷魔導師の採用試験で「特技は、こぶしでリンゴを握り潰せます。」と言っても、誰も評価してはくれない。


また、研究職にく魔法使いは、学者のような人間が多い。

些事さじに関心を持たず、学徒として真理の探究に時間を費やす・・・・・ようするに『世間知らず』というやつである。


頭は良いが、洗濯の一つも出来ない、・・・生活能力が無い人間も多く居る。


そんな人間が、

・毎日家から何キロも離れた山の中にある研究所に歩いて通う。

・誰もいない荒野に、自分達だけで暮らす。

なんて出来るわけがない。


また、

・違法な研究をしている場所に目立つ馬車で乗り付ける。

・研究資材や大量の食糧を、怪しまれることなく定期的に運び込む・・・それも、荷が盗賊に奪われたりしないよう護衛を付けて、秘密が漏れないよう目立たずやる。

・・・なんて不可能だ。


そりゃ、よっぽど秘密の研究や危ない研究で、国がバックアップして行えば実現できるだろう。

山の中や荒野に、町自体を作って秘密研究所にすれば、出来ないわけではない・・・。

だが、現実にそんなことをすれば、必要になるお金はいくらになるのか・・・・・・途方もない金額になることだけは想像できるだろう。


ただでさえ魔法の研究は、高給の人件費や高級な魔物の素材などの費用で、とんでもなくお金が掛かるそうだ。

よく、仲間の魔法使いがぼやいていた。


と、いうことで、木の葉を隠すなら森の中、人の動きを隠すなら人の中だ。


こういうことは、人気ひとけのない荒野より、人気ひとけの多い街中まちなかでやった方が目立たない。


ただ、ここで問題がしょうじる。


いまは明るい午前中で、此処ここは街の中、人通りはけっこうある。

俺達が見ているのは、目立ってはいないが、立派な造りの建物。

立地は、衛兵の詰め所からそう離れていない所にあるい物件である。

俺が商人ならこんな所に店を構えたいと思える場所だ。


此処ここに、これから自分達が入る・・・目標は、見ず知らずの他人の家・・・入る手段は、暴力という合鍵を使って。


強盗にしか見えない映らない。

目に浮かぶのは街の衛兵に捕まる未来だ。


この街は、以前パーティーが拠点にしていた街とも距離はそう離れていない。

冒険者として来たこともあるので、知り合いも居る。


グレガテはSランク冒険者、けっこうな有名人だ。


こんな事で捕まりたくないし、名を売りたくない。


捕まったら、それこそいい笑いものだ。

嫌だ・・・かつての仲間の嫌味いやみが聞こえてきそうだ。


さすがの高位冒険者グレガテも、真面目に働いている衛兵を倒して逃げるのは難しい。


実力的に、ではなく、心理的・社会的に・・・指名手配されたりすると困る。


これが冤罪えんざいだと、衛兵を倒して逃げて冒険者ギルドに事情を報告、冒険者ギルドの方から国の上の方に働き掛けてもらう。

そのうえで自分の力で犯人を捜すという手が使えるのだが、強盗となると無理だ。

冒険者ギルドは、犯罪にはうるさい。


ただ、グレガテはセネカを信じていた。


こいつは絶対、捕まったり、足がつくようなことはしないと・・・。


決して信用はしていなかったが、それだけは信じられた。


この街に入る為に使用した偽の身分証明書を握り締めて、グレガテは信じることにした。






 「話しは簡単です。

何も知らず働いている使用人もいますが、中に居る者は、地下の牢屋の中に居る人以外はみんな敵です。

メインの施設は地下にありますが、此処ここで直接違法な実験が行われている可能性は低いです。

此処ここは、人体実験に使う人間を集める為の拠点で、地下には攫われた人達が連れて来られたのを魔術集会の人間シーカーが確認しています。

今回の仕事は、らわれた人達の保護と証拠となる書類の回収です。

証言も必要ですので、敵は出来るだけ殺さずに無力化してください。

書類は、燃やされたり処分される前に、出来るだけすみやかに回収します。

そこら辺は私が動きますが、スピードが命ですので、グレガテさん・アルセンテさん・フィオーラさんは、出会った敵をすみやかに排除していってください。

間違っても、衛兵が中に入ると辺り一面血の海、証拠も建物も無くなっていました、何ていうのは勘弁してくださいね。」


( しねえよ・・・そんなこと!。)

誰かそんな事をする奴がいるのかよ。

グレガテは心の中でどくづく。


念には念のセネカの発言に、アルセンテとフィオーラが目をらす。


グレガテのかげで・・だったので、気付かない。


「デュークさんは、イシュカさんとアヤトさんを守りつつ 後から付いて来てください。

シャロさんは自由に動いてください。・・・その方がやりやすいでしょう。」


「セネカはどうするんだ?。」

アヤトが聞くと、


「私はすみやかに証拠物を回収する為この3人と共に進みますが、状況に応じては臨機応変 単独で動きます。」


臨機応変?、こいつを単独で動かす?、それは駄目だな。


「罪の捏造ねつぞうとかしないだろうな。」

そんなことの片棒をかつぐのは嫌だと思うグレガテ。


「私への評価がひどいですね。・・・アヤトさんもうなずかない。

私は、罪の証拠を捏造ねつぞうすることはあっても、罪を捏造することはありませんよ。

・・・・・それをやってしまうと、私の場合 完全犯罪になってしまうので。」


怖いことを言っている。

こいつの場合、本当に出来そうだ。


「本当に大丈夫だろうな。」


「まあ、大丈夫です。

基本 私は、突入するあなた達の後ろに付いて証拠の書類を回収するだけですから。

王都の冒険者ギルドには、魔術集会からの指名依頼という形で依頼を出してもらっていますし、我々の突入後、この建物の周りは集会の職員が封鎖する手はずになっていますので、中に無関係な市民が入って来ることはありません。

敵を追い落す段ど・・・各所かくしょへの根回しはしているので安心してください。」


「俺、この場にいらなくないか?。」


てもらわないと困ります。

アヤトさんにランクS冒険者の実力を見てもらう為に来てもらっているのですから。」


なるほど、アヤトがこいつの弟子だという噂は、本当のことのようだ。

セネカの弟子に対する話しは、・・・学園内でもいろいろ噂を聞いている。


「・・・・・・・・・・・・・・」

( それはかわいそうに・・・。)


グレガテは、デュークとアヤトを見て、幸運を祈ることにした。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ