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異世界怖い  作者: 名まず
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#スライム討伐(5)


 「ところで、アヤトの体の中に入ったスライムはどうなったんだ?。」


話題を変える為に発した疑問の言葉。


いや、入ってないぞ。 あれは、ちょっと水が入っただけだ。

でもあの時、体から湯気ゆげが出てたけど、あれはどうなっていたんだろう?。

・・・アヤトもちょっとだけ気になっていたので、聞き耳を立てる。


グレガテはセネカに目を向ける。

セネカは、さりげなく己の位置を変え、布袋に手をやっている。

自然な仕草でアヤトの方に顔をやって、笑顔で喋り出す。


「ところでアヤトさん。スライムの影響でしょうか・・・口の動きが変ですね。

中にスライムが詰まっているのでしょうか。

仮面を外してせてもらってもいいですか。」


少し話題がずれていたが、慌てていたアヤトは生相アライブマスクを外す。


本当は人前で仮面を外すべきではない。

仮面の下のこの兜、趣味も悪いが、見た目が痛い。


アヤトの 髑髏のマネキン(?)の兜は、目の部分は忠実に空洞だし、口の部分も本体の動きに合わせてちゃんと動く。

そのまんま髑髏を一回り大きくした外見だ。

どうせマネキンの鎧をつくるなら、兜の外見もマネキンにして欲しかった。


仮面を外して口を開くと、何かが通る。


喉をするっ、と、何かが・・・通った?。

呆気あっけにとられて指の力が抜ける。 思わずデスマスクを落とす。


「何を入れた!。」


「すみません手に持っていた蛇が急に飛び出して。」


セネカは悪びれもせず言い放つ。


蛇って、あの蛇?、あの細長いトカゲのような、爬虫類の・・・蛇を入れたの、他人ひとの口の中に?。


( 気持ち悪い。)


吐こうとするが吐けない。


「今すぐ取れ!。」


・慌てて髑髏の兜を脱いだりマネキンの鎧の胸辺りの部品を外しながら、セネカに詰め寄る。


「本当にリッチなんだな。」


それを見てゾランさんが呟く・・・かなり忌避感きひかんが顔に出ていた。


グレガテも、「まじで骸骨だな。」と、引いている。


・胸に空洞の空いた骸骨の顔の化け物が、人間を襲っている。


「・・・・・・・・・・」

言い訳しようもないので、何も言わない。


セネカも何も言わない。


アヤトは、靴を脱いだり、鎧の脛部分を外したり、散々探す。


結局、蛇は出てこなかった。


それをアヤトが確認・・・実感した頃、ようやくセネカが口を開いた。


「体の中に入ったスライムがどうなったか、でしたっけ?。

さっきの蛇と同じです、アヤトさんに食べられたんです。」


「・・・・・・・・」

頼むから口で言え!。


「ただし、安心してください。

その鎧に付与されている浄化の魔法の効果で魔素は取り込んでいません。」

さっきの湯気は、水蒸気と浄化魔法の効果で放出された魔素です。」


「うっ・・。」

本当に気持ちが悪い。


蛇を体の中から出せなかったことに加え、セネカから具体的な話しを聞いたことで、頭の中で口に入ったものを想像してしまった。

余計 気分が悪くなった。

もっと悪いのはこいつの存在だが・・・。


ちなみに、余りに気持ちが悪いので、無意識に助けを求めてアヤトが周りをキョロキョロ見ていると、ふとアルセンテと視線がかさなった。


すると、相棒のピフィーを庇うように、半身はんしんわずかにうしろにずらした。


( いや、食べないよ!。)


確かにピフィーは、俺が口を開ければ通れるくらいのサイズだが、君の大事なあいぼうを、取って食べたりしないから。


俺、君の中でどれだけ邪悪に映っているんだよ。


アンデッドのあまりの印象の悪さにびっくりしたよ。






 スライムを討伐した後、ワーウルフの集落に戻る。

それから、この森を出る少し前に、グレガテはアルセンテと戦った。


戦うと言っても、争ったわけではない。


「アヤトさんにランクSの冒険者の実力を知ってもらいたいので、軽くアルセンテさんと戦ってみてもらってもいいですか。」

と、セネカに頼まれてやっただけだ。


村の子供が遠くでのぞいていてもあぶなくない程度の軽い運動。

軽くということだったが、けっこう本格的な試合になった。


もちろん、どちらも殺す気はなかったので、その場では決着がつかなかったが、

「本気でやればグレガテさんの方が勝つでしょうね。」

とのセネカの評価。


同意見だ。

Sランク冒険者として、先輩ハンターとして、さすがに負けられないのもある。


アヤトが、「アルセンテに勝つ可能性は全然ないのか。」

と、聞いてくる。


「ありますよ。油断するか、ミスをしたグレガテさんの首を飛ばすか、アルセンテさんの渾身の一撃でグレガテさんの首を刎ねたら、いくら回復能力が高くても死にます。

グレガテさんが、首を刎ねられても平気な生き物なら、アルセンテさんに勝つ可能性はないでしょうけど・・・。」

セネカは言葉をにごす。


おい、そこで言葉を濁すなよ。

グレガテも、ちらり、と、こちらに視線をやる。


「さすがにそこまで化け物じゃねえよ。」

と、肩をすくめた。


「・・・・・・・・・・・・・」


みんな、ひどくない?。


アンデッドの扱いが、みなひどいと思う。






 最初の印象は最悪だったろう。


( おっ、べっぴん。)

そう思ってパーティーへ勧誘したし、入ってくれたパーティーでの活動中も口説くどいていた。


冒険中もふざけていたし、ふざけていてもそれを悪いとも思っていなかった。


何かあっても、自分の実力一つで何とでもなると思っていたから・・・。


もちろん、いつもふざけていたわけではない。


【冒険者】は真剣にやっていたし、魔物を倒して感謝される。 ランクを上げて皆で上を目指す。

自分の実力が、確かに上がっていくのを感じていたし、そのことにやりがいも感じていた。


冒険者稼業ここでは存分ぞんぶんに活躍できた。


家では遠慮していたことも、此処ここでは遠慮しなくてよかった。

宿の扉を壊しても稼いだ金で弁償すればいいだけだし、魔物の顔を壊しても感謝され感心された。

やり過ぎても、「さすが高ランクハンター」の一言で済まされる。


冒険者にとって、強いことは正しいことだったし、パーティメンバーも成長し、俺達のランクもどんどん上がっていった。


誰もが認めてくれた。


まあ、私生活では順調でないこともあった。


あいつとは、一緒に冒険する中でいい雰囲気になったこともあったが、あの時は、いい女より、やらしてくれる女がい女だと思っていたのだ。


調子に乗っていたのもある。


高位の冒険者になれば、名声も、金も、何でも向こうの方から来る。


こちらから行く必要なんかないと・・・たかくくっていた。


だからあの時、呼ばれてもたいしたことはないと思えたし、その後、関係が崩れたことも、別にいい、と、本気で言えた。


あの時、目の前に入るあいつの姿と、その血が飛び散るのを見るまでは・・・・・・。


「それにしてもデューク、よくあのタイミングでスライムの前に出れたな。」

デュークをめる。


グレガテは攻撃に特化した戦士だ。

防御を考えず、どんな敵にも立ち向かって行く。

そのことは誇りに思っている。

その姿に憧れてくれている奴らもいる。

だが、デュークのように、誰かを守る戦いを身に着けていれば、あんなことにはならなかったのではないか。


( シャラ・・・。)


そんなことを、考えずにはいられなかった。






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