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異世界怖い  作者: 名まず
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#スライム討伐(2)


 アヤトがいつものように、パーティーメンバーの集まる教室に向かって歩いていると、1人の男に追いつかれた。


「よお、ちょっといいか。

木漏れ日の樹のメンバーだよな?。

セネカに用があってな・・・一緒にいいか。」


セネカに用があると言われて本心では嫌だったが、そんな風に聞かれて「嫌」と言えないのがアヤトだ。


「・・・はい。」

と、一緒に歩く。


「お前、最近入ったメンバーだろ・・・アヤトだったっけ?。」


「え~、はい。・・・でも何で俺の名前を?。」

純粋な疑問だ。


「いや~、けっこう有名だぞ?。

あいつの関係者だしな・・・。

・・・多分、この学園で知らない奴の方が少ない。

俺はグレガテ、これでもランクSの冒険者をやってる・・・今は学生だけどな。」


「アヤトです!。」

(おお!、Sランク冒険者、ファンタジー的にいつか出て来ると思っていたが、ついに!。)


確かに、よく見ると、体付きといい雰囲気といい、いかにもベテラン冒険者だ。


アヤトの前に出ると、グレガテは教室の扉を叩く。


「かまいませんよ。」

セネカの返答に、グレガテが扉を開けて中に入り、それに続いてアヤトも入る。


2人は知り合いのようで、挨拶もそこそこにグレガテが事情を話し、魔物退治の協力を要請している。


アヤトは中でくつろぐ。・・・瞑想めいそうの修行は遅れそうなので、教室内でゆっくりすることにしたのだ。


セネカはいつもと変わらず、にこにこと話しを聞いている。


セネカの表情からは、この依頼を受ける気なのか、断る流れなのかが見えてこない。


グレガテは、「金でも何でも払うぞ。」と、口に出したが、本音は金がいと思ってる。

高くつくかもしれないが、金で解決出来るならそれに越したことはない。


相手はかの魔王だ。

魔法使いとして実力は信頼出来るが、どんな要求をされるか。


まあ、い、その時はその時・・・覚悟している。


魔王これに借りをつくるのは、あまりいことではないが、仲間の危機を何とか出来るなら安いもの。


そう思って頭を下げる。


返事を待つ。


結果はすぐ、「いいですよ。」と、あっけなく了承された。


条件は付いたが・・・・拍子抜けするようなものだった。





 無茶な要求をされる事はなかったが、条件は付いた・・・が、簡単なものだった。


条件は2つ。


1つ目は、スライムとメインで戦うのは、アヤトという木漏れ日の樹のパーティーメンバーの青年で、グレガテや仲間のゾランもサポートにてっすること。

セネカが要請しない限り、直接の攻撃はしないことを約束させられた。


2つ目の条件は、この依頼が終われば、今度はあっちが受けた依頼を1つ手伝うこと。


と、いうものだ。


本当にそんなことでいいのか?。


それに、ゾランが納得するか。

自分の手でスライムを討ちたいと思っているはずだ。


・・・など、色々考えたが、今回の依頼で一番必要なのが魔法使いの力だ・・・要求を吞んだ。


このアヤトという青年に任せて大丈夫か。とは、不安に思った。


力は感じるが、よく分からず、雰囲気が素人臭しろうとくさい。


だが、まあ・・・こいつが大丈夫と言うなら、大丈夫。

いざとなれば、こいつ一人で何とかしてしまう。


問題は、その肝心かんじんのアヤトがこの件を了承りょうしょうしていないことだが・・・、


「今のアヤトさんに使える ちょうどいい修行相手が欲しかったところです。

スライムならもってこいなので、これから向かいましょう。」


セネカは問題にすることなくスライム退治の依頼を受けることを決定した。


アヤトはいろいろ抗議しているが、次第しだいに丸め込まれていく。


( すまん。)

グレガテはそう思ったが、親友の方が大切だ。


ありがたく乗っからせてもらうことにした。






 アヤトにとっては、青天の霹靂へきれきの冒険だった。


前回の修行しゅぎょうの件もあり、かなり頑強がんきょうに抵抗したアヤトであったが、出発を止めるどころか、出発時間を遅らせることも出来なかった。


グレガテ的には助かる。友のことを思えば早い方がい。


アヤト的には、前回の修行トラウマを思い出させる旅、遅い方がい。


そんな、パーティーメンバーの新人1人の想いは軽く、セネカの効率的な采配で旅はどんどん進んだ。


村に着くとゾランという男性(?)が出迎えてくれた。

ワーウルフの壮年の男性で、一見すると怖く見えるが、これでも気のいい戦士らしい。


此処ここはワーウルフの集落で、百人ほどの住人が暮らす獣人の村とのこと。


獣人族と聞いて、犬耳を想像していたが、まんま獣の耳だった。

人間に、獣の特徴があるのではなく、獣がそのまま二本足になった感じの種族だ。


姿や肌も獣のような感じなので、女の子に犬耳や狼耳が生えているようなことはない。


また、人間の目から見ると、獣人族の男女の区別は見分けにくい。


まあ、人間が馬や牛の個体の区別をつけるのが難しいのと同じだ。


・・・・・・こっちの世界に来てすでに2年近く経つ、学園にもワーウルフは居るので知ってはいたが・・・夢ぐらい見たっていと思う。

・・・やっぱり犬耳のはいなかった。


すぐに、ゾランの案内で、スライムがいるという泉に向かうことになった。


ワーウルフの集落を出る。


村はずいぶん静かだ。


本来の村ではなく、避難している簡易のテントのような住処すみからしいが、それにしても静か過ぎる。


聞けば、生活に必要な水を、泉ではなく川に変えて水を汲んでいたが、そこでもスライムの被害が出たそうだ。


スライムは泳いだりしないが、水が苦手なわけではない。

擬態ぎたいしなくても水のような外観なので、水にまぎれて岸づたいに移動されれば、察知さっちするのは難しい。

川に入り込んで触手を伸ばし、村人が何人か引きずり込まれてしまったそうだ。


暗い顔でそう語ったゾランの後ろについて獣道を進む。


移動しながらの説明で、ゾランが、アヤトが中心になって戦う事には難色をしめしたが、グレガテがあいだに入り、セネカが笑顔で保証することでそれをはね退けた。


「彼はこう見えてもリッチの魔法使い、いたばかりとはいえ魔術集会所属の【魔王】の1人です。

実力は保証しますよ。」


「何で!?。」 ゾランではなくアヤトが反応する。


「はあっ?、・・・何でとは、何のことです。」


「俺が魔王というところだよ。

何でそんなことになってる。」


「何で、って言われても・・・全身骨の化け物を一般市民と同じ扱いにすることは出来ませんよ?。

その姿の時点で駆除対象です。

魔王になるしかありません。

デッド・オア・魔王アライブです。

さすがに魔術集会でも、今のアヤトさんをかばえません。

アヤトさんが不死者アンデッドというのは、ただの事実ですから。

集会に出来る唯一のことが、アヤトさんを【魔王】にすることです。

魔王とは、言わばレッテルです。

この人は危険人物です。手は出さない方が良いですよ。という、世間へのアピール。

同時にそれは、魔術集会が広告札リスクをはるという覚悟の表れでもあります。

うちに所属している存在なので手を出すなよ、バックに魔術集会がいるぞ、という、世の中へのアピールです。

そうでなければそく殺処分です。

今日の朝も、鏡は見てきましたよね?。

アヤトさんが【その】生物を見かけたらどうしますか?。」


「俺なら全力で逃げるな。」

つい本音が・・・というか、いくら自分自身のことでも、フォローなんか出来ねえよ。


「みんなそうです。」


「・・・・・・・。」


そんな、人類皆兄弟みたいな感じでさとされても・・・・・・。


「今までは【準魔王】で済みましたが、その姿で【準】は無理があります。

魔術集会の方で、正式に【魔王】として発表させてもらいました(過去形)。」


グレガテ・・・特にゾランがアヤトを警戒する。

リッチと聞いて思わずとった行動だろうが・・・、


それを見てアヤトは、本当にアンデッドはきらわれているんだな、と、思う。


納得はいかなかったが、納得した。


するとセネカは最後に、こう言葉を付け足した。


「魔王就任おめでとうございます。」



・・・・・・お祝いされることは嬉しい事と言えよう。

単純に祝われるのは嬉しいものだ。


でも、これは嬉しくねえよ!。






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