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異世界怖い  作者: 名まず
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#染魔人の樵(3)


「あれが今回の目的地です。

今回の目的は、あそこで一本の木の素材を採取することです。」


「木か・・・。」


てっきり薬草かと思ったが、ちょっと違うようだ。

【薬草を取ろう】の、【木を切って木材を得よう】バージョンみたいな?。

今回は魔物じゃないだけましか・・・。


その感想に、

「今回は冒険というより修行がメインですから。

これは、かつてデュークさんや私の生徒さん達が実践し効果を上げた、確かなエビデンスのある修行方法なんですよ。

命を懸ける冒険に比べたら、その内容はいものです。」


試しにデュークを見ると、顔が合わなかった。

「・・・・・・・・・。」


目も合わせられなかった。

セネカとは目が合って微笑ほほえまれたが、絶対嘘だと思った。

それでも、アヤトは押し寄せるゴブリンにうんざりし、一刻も早くその場に着いて、速く終わらせて帰りたいと思っていた。

・・・まだこの時は、この『修行』のことをく考えていた。




 「あの木です。」


森の木々の隙間からでも分かる一際ひときわ高い一本の木。


「何だ、あのバカでかい木は?。」


「豆の木です。

正確には木質化した草の茎です。」


「どう見ても豆の木にも草にも見えないんだが・・・・・・。」


ジャックと豆の木じゃないんだから、・・・豆ってここまで大きくなるのか?。

ただし、童話と違うところは、太い幹、広葉樹のような木のシルエット。

柳や枝垂桜のように垂れ下がった枝と、その幹が天まで伸びていないところだうか。


「木の皮の模様、捻じれているでしょう。

元々大きな木があり、その表面を蔓で覆っていたわけです。

あなたの世界のフジクズのような植物です。

それが、木を覆い尽くし元の木を取り込んで成長して、ああなったわけです。

大きな木に寄生して栄養をとったり、その木の代わりに日の光を独占し成長します。

宿主となった木をじり殺しながら大きくなる。

所謂いわゆるめ殺しの木』というやつです

これは魔物ではありませんが、魔法素子を取り込んで特殊化しています。

人間にも魔法に適応した者、していない者がいます。

動物や植物も同じです。

遺伝子や環境・場所・その他外部要因によって、怪物化・特殊化・霊化、呼び方はどれでもいいですが、まれにあのようになることがあるのです。

今は元の木の栄養を喰い尽くして、周囲に伸ばした蔓を通して周囲の森から栄養を取って成長しています。

この木の周りだけ木が無く、この辺り下草が多くて歩きにくかったでしょう。

ここから根だけではなく、蔓を伸ばして森中に葉を広げているんです。

森中から養分を吸い取って森を枯らしてしまう為、【森殺しの豆木とうぼく】とも呼ばれています。」


此処ここに来るゴブリンが多いのは、さっき聞いた森の事情・・・地に栄養が少なく獲物の数が減ったことに加え、この木から採れる豆は、甘く栄養も豊富な為ゴブリンの貴重な栄養源になっているからだそうだ。

見た目はアボカド、中味はマンゴーのような食べ物で、ゴブリンも好物らしい。


それ絶対、俺らのこと『果物を盗みに来た泥棒』、と、思ってるよな?。

失礼なゴブリン達だ。


アヤトは、ゴブリンの首を槍ではねつつ、心の中でつっこんだ。




 さて、修行と依頼の内容がどんなものかというと・・・それは単純なものだった。


木を切る。

素材を町まで運ぶ。


端的たんてきに言うと、やることはこの二つだ。


木を切る行為自体が修行で、効率的に斧を振る動作は、剣や槍・全ての武器を操る動きに通じるものがあり、それだけで武器を使う練習にいらしい。


ところで、その、切る木とやらが、どれかと言うと、これである。


首が上を向く。


これを切るのか・・・。


言うのは単純でも、実現するのは簡単ではない。


( これを切るのか?。)


「7人がかりでも、どれだけ時間が掛かるんだよ。」


「7人?、・・・もちろん、アヤトさん1人で切るに決まっているでしょう。」


「修行なんですから。」 何を当たり前な、みたいな口調で言ったセネカ。


「はっ!?、1人・・・1人で出来るわけないだろう。」


あれはさすがに無理だ。木がでかすぎる。


それに、斧とスコップは持って来ているが、それ以外の野営に必要な道具は、今回の冒険には持って来ていない。


日帰りか、せいぜい一泊、出来るかどうか。


特に足りないのが食料だ。


薪は森の中で見つければいい・・・ただ、食料はそうはいかない。


特に、今この森は、何でも口に入れると言われているゴブリンが飢えるくらいの食糧事情なのだ。


その懸念は、

「この森に残るのはアヤトさん一人だけなので大丈夫ですよ。」


「・・・・・・」

何が?、ねえ!、何が大丈夫なの。


その懸念には、

「食料?、テント?、アヤトさんは食事も睡眠もいらないでしょう。

ローブがあれば休むには十分ですよ?。

それに、寝ずに一日斧を振っていれば、それだけ早く終わるでしょう?。」


とか、鬼も裸足で逃げて行きそうなことを言う。


アヤトは口をパクパクさせた。



 鬼といえば、セネカがこの場所にアヤトを置いて行った後すぐ、小鬼ゴブリンがやって来て攻撃してきた。


アヤトが一人になったので、これはいけると思ったのか、一旦いったんおさまっていた襲撃が再開された。


アヤトをこの森に閉じ込める結界が張られていたが、嫌らしいことに通れないのはアヤトだけで、ゴブリンは結界を通れる。


なので、当然のごとく結界の中に入って来る。


勢いづいた欠食児童との触れ合いは、まる2日におよび、この自由通行者達もようやく、アヤトが可食部がない存在だと学習したもよう、自分達の縄張りに進入してきた餌から、完全に縄張りを荒らす敵だと認識されたようだ。


マネキンの鎧のおかげで、向こうの攻撃がこちらには効いていないので脅威にはなっていない。


ただ、すごくうっとおしい。


攻撃が効いていないことを学習すると、

鎧や革の服をかじる。

汚物を投げてくる。

アヤトの着ているものをごうとする。

ナイフや斧なんて真っ先に狙われた。


また、魔素タイプの魔物のゴブリンではないので、死体は消えない。

死体を少し離れた場所に運んで焼却しなければならない。


そうしないと、余計よけいゴブリンが寄って来る。


面倒臭くなって放っておいたら、共食いをする場面を見る羽目はめになったり、お持ち帰りする為に仲間(?)のゴブリンの訪問が増えた。


それに、ゴブリンは放って置くと、親の身体からだを餌に子供が増える。


ゴブリンはオスがメスと交尾した後、メスがオスに交尾し、オスの体に卵を送り込む。

その卵は、オスの体の中では、卵の成長を止めるホルモンのようなものがあるらしく、卵はかえらない。

オスは餌と交尾することで、卵を餌の体の中に送り込み、卵から孵った幼体は、餌の身体からだを食べて成長する。

ただ、親のオスが卵を身体からだの中に残した状態で死んだ場合、ホルモンのような物質は造られず供給は止まる。

すると、子供は卵から孵り、オスの親の身体からだを食べて成長するそうだ。


ゴブリン怖すぎる。


 ゴブリンは繁殖力が強く、生命力が強い。

頭は良くないがずる賢く、敏捷びんしょうだ。


一方、力は弱い。


武器を持っていても、このマネキンの鎧を傷つけられないのに、木のえだや石を握り締めての攻撃では、話しにもならない。


何度も追い払われて、さすがに勝てないのは理解したらしい。

・・・来る数は大分減ってきていた。


それでもやって来ているのは、頭が悪いのか、自分ならいけると思うのか、この木に生る実が気になるのか・・・・・・最近この森では餌が少ないらしいから、相当に切羽詰まっているのだろう。


アヤトは振っていた斧を止めて、手をから放し、服のすそで汗をぬぐう。


そういう仕草しぐさをする。


アヤトは、汗は出てない、が、くせだ・・・こういう仕草ものはなかなか消えない。


替えの服装も持ってきていない。


いわく、

「別にらないでしょう。

アンデッドは汗をかきませんし、いざとなれば骸骨はだかでいても不審がられません。

森の奥深くで誰も見ていませんし、鎧や服を着ているスケルトンの方が珍しいので大丈夫です。」


何が?、めっちゃ無責任に言ってるよな?、そのセリフ!。


誰が言ったかは口にしなくても分かるよな?。


ひどくねえ?。

鬼じゃねえ?。






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