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異世界怖い  作者: 名まず
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**部屋訪問

 男女共学が一般的な日本の学校でも、泊まるとなると男女間の行き来には厳しい目が向けられる。


修学旅行や臨海学校では、教師が巡回に回ったりする。


こちらの世界の学校はもっと厳しい。


まず基本こっちの世界、学校に通えるのはお金を持っている人、つまり上流階級の人が多い。


貴族の結婚とは、家と家との関係であり政略結婚だ。


そんな家のお子さんを預かるのに、

うち学校は男女が気軽に触れ合える環境です。

恋愛は個人の自由に任せています。

なんてかかげたら・・・・・・・・・・。


親御さんは、そんな学校に子供を通わせようとはしないだろう。


貴族の社会に恋愛結婚がないとはいえないが、ほとんどない。


貴族の結婚は家同士のつり合いが取れているかが大事だ。


貴族の集まる学校や社交界で、自分の家と身分が相応ふさわしく、かつ親の派閥や勢力との折り合いも良い家の相手を好きになる幸運。

理解のある親をもち、自身も親を説得させる才覚。

そのうえ、貴族はたいてい婚約者が居る・・・相手にも自分にも。

その婚約者達を退しりぞけるだけの材料。

そういうものを持ってはじめて結婚相手を選べる。


恋愛結婚は側室の話しになる。


それも良くて第3夫人あたり・・・。


第1夫人の正室は、家の中のことを取り仕切しきり、社交界では女同士のお付き合いをすることが重要だ。


そういうことに関与しない正室もいるが、それは実家が旦那の家より身分が高い場合とかだ。


正室でも、実家の勢いが落ちたり、家の中での権勢、社交界で人脈をきずけてないと、第2・第3夫人に落とされたりする。


礼儀作法も知らない庶民生まれの女に、正室のすわ余地よちはない。


パーティーでは夫に付き添い、社交で人脈を広げるのに、挨拶や貴族の細かい作法・常識を知らなければ、恥をかき【家】に迷惑を掛ける。


家の中のことも大事だ。

使用人の差配さはい、贈り物の手配やお返しにも正室としての腕が問われる。


なぜ正室が家や社交界のことを出来なければならないか。


有事の際、貴族の男性は軍を率いて戦う義務がある。


その間、家を空けるわけで、女性が家のことや社交が出来ないとなると困ったことになる。


庶民が貴族のお嫁さんになる。


シンデレラはお伽話の中にしか無いのだそうだ。


こっちで日本的な感覚で喋ると、常識を疑われることになる。


日本の漫画やアニメに、覗きイベントがある。


しかし、庶民の男性が、貴族の女性の裸を覗いたりしたら、こっちの世界ではその場で殺されても文句は言えない。


なのに、身分の高い者が、下の身分の女性の裸を覗いても、良くて示談金、悪くて無かったことにされる。


貴族側としては、外聞が悪いのは困るので金や権力で黙らせるのだ。

そんな不名誉な罪を認めるわけにはいかない。

セクハラ?、パワハラ?、って何?。で済まされる。


ドアを開けたら女性の着替えシーンを見てしまったというのも、死刑になってもおかしくないらしい。

ノックをせずにドアを開けた時点でギルティらしい。

そんな法はないが、貴族の社会ではマナーが出来ていない時点で人間失格だそうだ。


そうか、そういう事は無いのか・・・・・・。


実に理不尽な世の中だ・・・中世封建社会。


そんな世界なので、カノヴァの学園も自由な校風が売りとはいえ、男女間のことには厳しい。


男性寮と女性寮の間の学生の行き来は、一応出来るが限りなく難しい。


申請書の提出や担任の許可がいる。

場合によっては監視の人が複数付いてくる。


男性が女性寮に入るのはもちろん、女性が男性寮に行くのも、ほぼ許可が出ない。


なので、男女の交友は学園内や校庭・共有スペースで行うことになる。


それも婚約者同士や付き合ってもいないのに、男女二人きりになることはないらしい。

男女で集まる場合は、必ず複数人で集まるとのこと。


なぜそういう事情を知っているかと言うと、フレドに怒られ、後でセネカに聞いたからだ。


変な人を見るような目で説明された。


フレドに、アヤトさんの部屋に行きたいと言われて、自分の部屋に他人を入れるのが何となく嫌だったので、フレドかテルセルの部屋に集まることを提案したら、同室者がいるので難しと言われた。


レイチェルは一人部屋なので、なら、と、気軽に、そっちはどうかと口に出したら、レイチェルは、「いいよ。」と言ったが、フレドに大変怒られた。


お茶会や社交界のような公式の場への誘いならともかく、女性の部屋に男性が行くのは非常識なのだそうだ。


だいたい、よっぽどの理由がない限り学園の許可は下りないらしい。


同性の寮生同士なら届け出だけで許可は要らないが、男女間は日本より大分厳しいことを知った。


と、いうようなこともあってアヤトは強くは出れず、結局アヤトの部屋で集まることになってしまった。


当然、男性寮に女性を入れることは無理なのと、レイチェルには前回の前科があったので、今回きっぱりと断っておいた。


「・・・すれば大丈夫なのに・・・・・・・・・・・・・チャンスだったのに・・・」


ぶつぶつ言っていたが、レイチェルはテルセルに何か言って、それが引き受けられたことで納得したらしい。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

部屋の主は納得がいってなかったが・・・・・。






 当日は授業が終わるとすぐ部屋に戻り、軽く部屋の掃除をする。


アヤトが自分の部屋に着いて30分ほどした頃部屋に来たのはフレドで、それからしばらく遅れてテルセルが来た。


2人は面白そうに部屋を見回しているが、正直部屋に変わった物はない。


椅子と机・棚やベッド・・・使い込まれた傷はあるが、どれも良い物だ。

ただ、備え付けの家具で、自分の物ではない。


一人部屋は、貴族や金持ちが入ることが多いので、備え付けの家具はそれなりのしなが置いてあるのだ。


アヤトの私物は少ない。


冒険の道具・布団や服、ここに来てからの冒険で集めた物など・・・・あとはでかい鏡と等身大の肖像画があるが、絵の方は飾らず布でつつんで奥にしまわれている。


見て楽しい物も無いし、隠している物もマジで無い。


そんな物を隠していたら、まず間違いなくセネカに見つかるだろうし、この部屋、絶対何か居るのに、そんな余裕はない。


学生で一番使うのはノートと筆記用具、それらが引き出しの中で少し散らかっている程度だ。


学園の教科書は、基本、学園からの貸し出しで、講義の期間が終わったら返却する。


死霊魔術講座の教科書なら、講座が終了したら本を返却、汚したり無くしたりすると、それに応じた罰金を払わなければならないので、丁寧に扱っている。


授業で使う物は貸してくれるが、欲しい本は自分で買うのが、こっちの学校のスタイルだ。


こっちの世界では本が高い。


活版印刷技術はあるようなのだが、本の数は少ないようだし、庶民に人気の小説も、回し読みや貸本屋・図書館を利用しているらしい。


新聞について聞いてみたら、新聞は領主や国の規制が入るそうだ。


ノートも、そもそも紙がそれなりに高いので、授業も大事なところ以外は内容を書いてないし、大切に使っている。


元々貧乏性なので問題ない。


フレドはまだ部屋を見ているが、後からやってきたテルセルはすぐに興味を失ったのか、こちらに来る。


テルセルは2つの箱を持っていた。


箱に良い思い出がないのでいぶかしがっていると、そのうち一つをアヤトに手渡す。


「レイチェルが持って行って直接渡して欲しいと。」


テルセルの発言に、アヤトが箱を開けてみると、中身は黒い縄だった。


少し動いていた。


こういう物を見たことがある。


何ならアヤトも服の下、首の所に身に着けている。


多分これは髪の毛で出来た縄、この前レイチェルが取り巻きを追い払うのに使っていた縄だ。


我ながら嫌そうな顔をしているだろう。


蓋を閉める。


見なかったことにしよう。


「確かここに・・・。」

引き出しから、以前自分の腕に巻いていた包帯を取り出し、適当な長さに切って箱に巻きつけていく。


封印終了、返却決定だ。


続いてテルセルが出してきたのは、


「そうだ。アヤトさん、これも。

部屋の前にこれが置いてましたよ。」


持っていたもう一つの箱をアヤトの前に出す。


レイチェルが用意した箱より少し大きいA4サイズより大きいくらいの箱、身に覚えがない。


「いや、置いてあったって、そんな物を他人ひとの部屋に持って来るなよ。」


菓子折りか何かだと思っていたのに・・・。


こっちの世界に【置き配】の文化は無いはずだ。


つまり、匿名の不審物である。


「えっ!?、でも、こうしてレイチェルさんから預かった荷物もあるし、これも似たような物で、アヤトさんの友達が置いた物では?。」


そんなわけない。

自慢ではないが、置き配するようなお友達はいない。


「絶対に違う。不審物だ!。」


少し悲しくなるが、後半に力を入れ否定する。


「じゃあ、これどうするんです。」

と、テルセルが聞いてきたので、もちろん言ってやった。


「外に捨てろ。」


「え~~。僕、こういうの中身が気になる方なんです。」


情報通として、中に何が入っているか気になるらしい。


「いや、開けようとするな。

そんなわけが分からない物!。

取り敢えず元の所に戻して置いて、後で寮監の所か生徒会に持っていこう。」


こういう物はたらい回すに限る。


そう思ってアヤトが箱に手を伸ばすと、フレドがその手で止める。


「この箱何か変です。」


その声に反応したわけではないだろうが、アヤトの目の前で箱が勝手に開き始め、中から煙のような物が漏れてくる。


あっという間に部屋が白く覆われる。


何だこれ?、煙、霧・・・・。

混乱しながら辺りを見回し、ようやく目が白い景色に慣れてきた頃、ドアの左て辺りの壁の霧が波紋をえがいているのを見つける。


その時、ちょうど円状の波紋から黒ずくめの男の顔が出て来るところで、気付けばいつの間にか複数人に囲まれている。


ナイフを突きつけられ動けないアヤト達をしり目に、霧の中から更に人が出てくる。


何処から入って来たんだ?。


何かこれ、カノヴァの出船と似ている気がする。


これ同じシステムだよな。

同じ魔法か技術だかが使われているのを確信する。


「手を上げろ。怪しい動きはするなよ。」

黒ずくめの男達は言う。


( あんた達の動きが一番怪しいんだよ。)

アヤトはそう思ったが、指摘すれば殴られそうだったので止めておく。


こっちの世界に来てから殴られそうな気配には敏感になったのだ。

・・・あまり嬉しくない。


「おとなしくしろ。

おとなしくしてたら危害は加えねえよ。

あれはどこだ。」


「・・・・・・・・・・・」

アレ?、・・・何のことだ。


「やっぱり此処ここには無いのか。」

アヤトが黙っていると、男は一人で納得している。


「お前がアヤトだな?。

あいつらの・・・アルセンテとフィオーラの仲間だな。

データはどこにある。」


アルセンテ?、フィオーラ?、と、アヤトが悩んで、

「・・・・・・誰です、それ?。」


正直者は小突こづかれる。

黒ずくめの男は持ったナイフの柄を、刃に戻して睨みつける。

テルセルが知ってそうな顔をしていたので、そっと目配めくばせすると、


「・・・アヤトさんのパーティーのメンバーじゃないんですか?。」

と、呆れた声を出した。


ついで2人とも、

「余計なことを喋るな。」

と、ナイフの刃を近づけられた。


他の黒ずくめの男達の顔にも呆れが見られる。


そんな目で見なくても・・・・・。

確かにパーティーには、あと2人メンバーが居るとか聞いたような気がする。

だけど、それから1年以上経つし、会ったことがなかったのだから、忘れていてもしょうがないだろう?・・・・。


幽霊部員ならぬ幽霊学生か?、普通に考えると休学でもしているのか。


「お前、あの悪魔の仲間なんだよな?。

唯一の弟子とか聞いたが・・・。」


「悪魔って、誰のことだ。

まあ、思い浮かぶのはセ・・・。」


・・・ネカ、と、言おうとしたらすごい目でめられた。


「その名を口にするな。

奴が来たらどうする。

あんな奴の呼び名は悪魔で十分だ。」


喋らせたいのか、喋らせたくないのか、どっちなのだろう。


ナイフを首に当てながら、「騒ぐなよ。」と、しつこいくらいに言う。


囲まれているし、多勢に無勢で、男達は全員大人だ。

下手に抵抗しないで、3人共おとなしくしているのに。


コンコン。

ノックの後、黒ずくめの男がアヤトの部屋の扉をゆっくりと開き、新たに1人ドアの外から黒ずくめの男が入って来る。


部屋のドアは普通に開くんだ。

この白い霧のような場所は結界ではないようだ。

心の中で確認する。


新たに入ってきた男は、外套にフード、顔を隠しているので姿は分からないが雰囲気から若いと思う・・・多分学生だ。


こいつがあの箱を置いたのか?。

こいつが黒ずくめの男達を手引きしたのか?。

とか、考えていると、


黒ずくめ達が新しく来た若い黒ずくめに、

「こいつががアヤトで間違いないんだろうな。」

「それよりイシュカの居場所は確認が取れているのだろうな。」

とか聞いている。


アヤトの部屋の扉から入って来た若い男は、

「イシュカの所には俺が案内する。」

と、口にする。


観察してると、黒ずくめの連中は全員一緒のように見えるが、二つのグループがあるようだ。


なんか魔法使いらしいのが半分とガラの悪いのが半分。


魔法使いの連中がセネカを気にしており、ガラの悪い連中はイシュカを気にしている。


最後に入ってきた若い男と合わせて13人の黒ずくめの男達。


その内の7人が、フレドとテルセルにナイフを突きつけて部屋を出て行く。


やっぱりガラの悪い奴らの方がイシュカの方に行くのか。

若いのは案内役、フレドとテルセルは人質か何かだろうか。


訪問は絶対友好的な理由ではないだろうが、セネカがいるし大丈夫だろう。


こっちはこっちでピンチだ。


残されたアヤトに向けられたナイフは更に近づく。


「お前はこっちだ。」

男達が入って来た波紋の方に、自分の足で歩くよう指示される。


ナイフに押されるように、部屋の壁に浮かぶ不思議な波紋を通らされた。





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