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異世界怖い  作者: 名まず
25/60

**ダンジョン怖い(中)

 1層・2層のアリの巣のような洞窟を越えた、このダンジョン3層にいる魔物は主に3種類、


・ウロコの生えたサルのような魔物、鱗猿。

ウロコの色は緑色。大きさは人間の大人ぐらいだが、身が軽く、手が長い、足は短め。


・全身がクロコダイルのような皮に覆われた4足獣型の魔物、鰐猫。

口の大きく、足は短いが、骨太でがっしりしている。

大きさは犬くらいだが、がっしりしている分犬より大きく感じる。

皮の色は実に見事なこげ茶色だ。


・ヤモリとカメレオンを合わせたような魔物、ヤモレオン。

木にまぎれ、舌を伸ばして攻撃してくる。

体の色は茶色で、皮膚はでこぼこしている。

小さいので甘く見ていたら、セネカに、「毒がありますから。」と、言われて慌てて身を逸らす羽目になった。


ちなみに魔物の名前は、全部アヤトが心の中で勝手に名付けた。


こっちの世界、魔物が多いせいか、ゴブリンなどの代表的な魔物以外、まとめて魔物の一言ですまされる。

魔物はたくさん種類がいるし、同じ魔物でもそれぞれ形が違ったりするし、魔物自体珍しい存在じゃないから仕方がないのかもしれないが、皆それぞれ勝手な名前で呼んでいるらしい。


そのくせ強い魔物は【ネームド】として、しっかり個別に名前が付けれれている。



 水や食べ物を探しながら歩いていると急に、


「止まってください。」

と、セネカに言われた。


アヤトが止まると腕を引っ張られ、ヒュッ、と、後ろを何かが通り抜ける。


驚いて音の来た方向、上を見ると、木の上に緑色の猿がいる。


ただし、木の葉と同じ色で分かりにくい。


猿は木の枝から赤い木の実のような物をもぎ取り、そのまま上から下に投げてくる。


落とすではなく投げる。


ヒュン。

かなりのスピードだが、何とかよける。


( 猿の癖に物を投げるな。)


アヤトは文句を言いながら上に槍を突き出す。


威嚇だ。

当然届かない。


ギィィ、キィー。


何か分からないが、馬鹿にされている気がする。


目を瞑って魔力を練る。


槍を前に出して威嚇しながら、右腕から霊体の手を出し、猿の足を掴んで木から引きずり落とす。


そのまま、下で暴れる猿を槍で地面に縫い留める。


人間様を馬鹿にするからだと思い、一息つく。


ガサッ、と音がして、嫌な予感、しげみから鰐猫が飛び出してくる。


槍で叩いて突進は止めたが、思った以上に力が強い。


槍で押し返すようにして自分の体を動かす。


姿勢を崩しかけたが、足を踏ん張って槍を突き、刺す。


ぎゅぃぃぃぃ。

叫びながら消えていく。


そうこうしているうちに枝のしなる音、木の枝の上には、新たに3匹の鱗猿がいる。


取り敢えず、一番近くの、何とか槍の届く高さにいる猿に槍を繰り出すが、簡単によけられた。


高い位置にいる相手を攻撃するのは、思った以上に難しい。


一旦距離を取ろうと後ろに下がるが、鱗猿も枝伝いに木の上を移動してくる。


どうするかと考えたが、突然、猿が3匹とも木から落ちる。


一瞬の早業、シャロが枝に飛び乗っている。


あの一瞬で3匹とも切ったようだ。

相変わらずのナイフの冴えだ。

それに猿より身が軽い。

どんな運動神経だ。


ただ、アヤトも見ている余裕はない。

今度は鰐猫が襲って来る。


ゴキブリの時も思ったが、姿勢の低い相手もきつい。

ゴキブリ退治で低い姿勢の敵の対処に慣れていたので、嚙みつきと突進を避けながら、槍で一匹ずつ倒していく。


歯の攻撃はゴキブリより怖いが、防御の方はそれほどではない。

硬い革といっても、槍で何とかなってる。


その後も魔物は、木の上や低い地面から断続的に襲ってくる。


時々舌を伸ばしてくるヤモレオンも含めて、もれなく保護色で見つけにくい。


どいつも突然出て来て、慣れるまでずいぶん苦労した。


左の脛の革に歯型がついてしまった・・・・これはサルを見ている時に下から襲われたからだが・・・。


こんな中で食料となる食べ物を見つけるのはずいぶん苦労した。


さすがに青い蔓を見つけてスコップで掘っている時は、セネカが後ろを守ってくれたし、アヤトが木の実を見つけた時もシャロが代わりに戦ってくれた。


そうでなかったら、とても食糧なんて探せなかっただろう。






 ようやくそれなりの食糧が集まり、テントの準備をする頃には、アヤトはへとへとになっていた。


景色は相変わらず明るいが、夕食の時間にする。


ダンジョン内では時間間隔がうまくつかめないので、時間に区切りをつけて活動する。


今はセネカが見張りの番で、デュークとイシュカが料理を作っている。


燃やしているのは、細長いサヤエンドウのサヤの部分が乾燥した物、これは蔓に垂れ下がっていたのを取ってきた。


もちろん、青色のまだ乾燥していないサヤエンドウ(?)もたくさんっていた。

そっちの実も取った。


このダンジョン内に木はいっぱいあるが、倒木や枝なんかも燃えないらしい。

この木もダンジョンの一部であり、燃えにくく、火力を上げて燃やしても、有毒の煙がたくさん出るだけなんだとか。


このダンジョンで燃える物は、このサヤエンドウの鞘や青い蔓を乾燥した物など数種類だけで、量を集めるのが大変なのだとか。


ダンジョンや迷宮探索で一番大変なのは、魔物を倒すことよりも、食料やポーションなどの補給、物資をどう確保するかだそうだ。


得た素材をどう持って帰るかも重要だ。

素材を持って帰れなかったら、危険をおかして魔物を倒しても徒労とろうに終わってしまう。


普通はダンジョンに入る前に、食料・備品・簡易の荷車のような物を万端に準備しておく。

余裕があれば冒険中に調達し、現地で確保出来る物は確保しておく。


「今回は忘れたんですから、しっかり確保していかなくては、まだまだ足りてませんから、明日も頑張って集めますよ。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

そうは言ってるけど、わざと用意しなかったよな?。


じと~~と、目でセネカを見ていたら、


「今回の私の失敗が、アヤトさんの勉強になって良かったですね。」

と、臆面おくめんもなく口にする。


今夜の料理は、青い芋を角切りにし、サヤエンドウの豆やその他の青い木の実の皮を剝いた物を煮込んだ食べ物。


水は青い石のくぼみから湧いているのを汲んできた。

食品添加物は大丈夫か。という見た目だったが、汲んでみると普通に透明な水だった。


出来上がった料理の見た目は、汁まで真っ青でアレだったが、空腹は最大の調味料、遅めの食事というのもあって、けっこうおいしかったと思う。


思うというのは、実は最近、味覚がおかしくなってきているようなのである。


セネカに指摘されて気付いたのだが、試しにこの石を舐めてくださいと言われ、ピンク色の石を舐めたのだが、岩塩と教えられるまで辛くなかったので、我ながらビビった。


が、今回、同じものをデュークもイシュカもシャロもおいしそうに食べているので、今おいしいと思った味覚は間違いないと思う・・自信はないが・・・。


まだ、しっかり吟味ぎんみして食べれば味は感じられる。

まだ大丈夫だ、俺。


参考にならないがセネカの方を見ると、

「けっこう味は良いですよ。」

と、教えてくれる。


お前は信用がならん。

毒でも笑顔で食べかねない男だ。


ちなみにセネカ、食料は持ってきていないが、調味料は持って来たらしい。


こいつがもう少し信用出来たらと、つくづく思う。




 夕食を食べながら先ほどの魔物との戦いを思い返す。


ここで一番難敵なのは鱗猿だった。

3次元な動きが厄介で、常に高い位置にいるので攻撃がしにくい。


戦争でも高い位置にいる方が有利とか聞いたことがあったが、本当なのだと実感した。


ちなみに倒した後、あの猿が投げていた赤いヤシの実を小ぶりにしたような実を調べたら、硬いし投げるのにちょうど良さそうだった。


そこで思考に何か引っ掛かる。


「確かこっちの世界、物は投げれないんじゃなかったっけ?。」

って、セネカに文句を言ったら、


「横にも、上に投げても失速しますが、真下に投げる分には問題ありませんよ。」

と、言われた。


なるほど、こっちの世界でも、リンゴは木から落ちる。

そういえば物は普通に落ちていた。


虫も飛ばないのが多いが、蚊やコバエ、小さな蝶などはたくさんいる。

要は小さくて軽くて、あまり速いスピードで飛ばなければ問題がないらしい。

ちなみに、そういう虫は風が強くなると木の葉の陰などに隠れて休む習性をもつ。

そうしないと、風に流されてスピードが出るので、魔素の影響を受けて死んでしまうからだ。

命懸けだな、異世界の虫も。


試しにアヤトも真下に石を投げたら、石が地面にめり込んだ。


鰐猫は低い位置からの突進と噛みつきに注意だ。

嚙む力が強い。

高い位置からの攻撃も厄介だが、低い位置からの攻撃も厄介だ。

ゴキブリよりはましだったが・・・。


ヤモレオンの毒は怖いが、服や革鎧を着こんでいる。

肌に直接触れない限りは、それほど脅威ではない。

茶色いネタネタの舌による攻撃の精神的なダメージの方がきつかった。

ただし毒は毒、油断は大敵だ。


「この階層、結構きつくない?。」

アヤトがセネカに質問する。


「そうですね。

この3層で油断して、不意打ちを喰らって亡くなる冒険者も多いですよ。

特に1層・2層は魚人しか出ませんし、罠もほとんどない。

つい動きが単調になる。

3層に入った途端、不意に上と下から襲ってくるようになる。

対処しようにもウロコや皮が硬く、一撃で倒せないことがほとんどなので焦ってしまう。

焦って最初の一匹が倒せないうちに仲間が集まり、どうしようもなくなる。

ある程度実力があり、ちゃんと調べてから潜れば、稼ぎやすいダンジョンなんですが。」


なるほど、調べることは大切だ。


( 俺には調べる機会も無かったがな。)

と、アヤトは思った。





 思ったより眠くないが、自然と出る欠伸を嚙み殺す。


テントの周りに結界が張っていても、何が起こるか分からない。

パーティーが寝ている間、交代で見張りが必要になる。


夜でも明るいダンジョンなので、暗がりから突然・・・というのはないが、見張りは緊張するものだ。


万が一魔物に襲われてんぱったり、居眠りして魔物を通しでもすれば、セネカにどんな目にあわされるか分からない。


睡眠で最も嫌なことの一つが、まとまった睡眠時間が取れず細切れに睡眠することなので、仲間を起こさぬよう静かに見張りにつく。


緊張しているとはいえ、退屈な時間が過ぎるのを待つこと数刻。


ようやくデュークが起きてきて、他のメンバーも起きだす。


それを確認すると、アヤトは一声掛けてテントから離れる。


護身の為の槍を持ってテント近くの岩場に向かう。


ここに水が湧いている。

毒々しい青い色の水だが、これは周りの岩が青いだけで、水は綺麗なのは昨日確認している。


顔を洗う。

テントに戻るとシャロが料理をしている。


昨日集めた食材の残りの、一部を除いた全てが鍋に入れられ、煮込まれている。


それを確認する。

いつまでもこんな所にはいられない。


昨日は慣れていなかったが、今日はしっかりと集めなくては・・・・。


朝食を終えると早速食糧採取を始める。


青いザクロを小ぶりにした物に、ドングリのような木の実、痩せた栗のような木の実、乾いたサヤエンドウ、中は青い大豆みたいだ。


どんどん集める。


青い蔓を発見する。

セネカに声を掛け、スコップで地面を掘る。


一応、ちゃんと言えば、セネカはこちらの指示通りに動いてくれる。


間違った指示を出すと、ひどい目にあうが、それは仕方ない・・・多分。


5分も掘ると里芋のようなジャガイモのような青い芋が複数出てくる。


近くに別の蔓があるので、続けてそれも掘っていく。


こういうのはキャンプみたいで嫌いではない。

魔物が出て来なかったら、だが・・・セネカにサクッと倒された鰐猫を見てそう思う。


鰐猫の跡に青い何かが落ちている。


( チィ、余計な物を落としやがって。)


魔石と素材・・・・・・昨日も何個か出てきたが、肉だ。


見た目が青い肉。

量はそれほど多くない。

せいぜい200グラム前後といったところだろう。


地面に落ちた肉を、こっちの世界の人はどうするのだろう。


セネカが言うには、食べられるそうだ。

なかなか高値で売れるので、食べるよりは、冒険者ギルドで金に換える方が良いらしい。


賛成だ。大賛成。


しかしセネカはこうも言っていた。


「食材が足りなければ、この肉を食べるしかありませんね。

まあ、どれも一度は食べてみた方が良いと思うので、明日辺り出しますね。」


笑顔を忘れず高級食材だとすすめていたが、いらない。


もし絶対に食べさせるつもりなら、せめて猿の方は止めてくれ。


異世界の食材、怖い。


異世界の肉、怖い。






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