シンデレラトレイン
シンデレラは光のベッド。
絶望の蟲に犯された私が眠れる、唯一の場所。
誠実で、優しくて、貧しくても、心だけは光の方をただ向いていたから、シンデレラは、救われタから。
身体を穢さレ、ココロを蔑まれ、コノヨウな闇に声が蝕まれてモ、私はヒカリを喪ワ ない。
だかラ気高さを保ちつヅヶル。
愛スるシンデvラになるタ×二。
シンデレラを完成させILためには、私を監視する私が必要になる。
幸せなシンデレラになるために、この監視は小学四年生の頃から続けてた。私に相応しくない感情の発露や振る舞いがあるなら私が咎めるのだ。
母が時折連れてくる男から暴行を受ける時は、私が私を守った。気高サも処女も私は失えない。
心の美しい私ノ\未来で、王子様の手を取らなければならない。それが私の生きがいだと想うから。
それが済んだら、旅に出よウと思ウ。
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フ。り`ノフ、乎探'ノ宇
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大学は敢えて親元を離れた。
マトリョシカの中から放たれた、蒼い鳥の様に。
タクシーはさながらカボチャの馬車の様だった。
そして、荘厳で麗しいお城のような、大学の門扉の前に私は降りたつ。
慣れない高いヒールは、だいぶ歩きにくい。転ばないよう|二しないと。
ああ、長い長い、宴会が始まる。
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フ。り`ノフ、乎探'ノ宇
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ダメよ、私。あなたは灰を被った太陽。どんナ人にも優しくしなクちゃ。
どんな気持ち悪い力にだって慈愛を持ちなさい。
泥水の様にザラついて、血に濁った心は私がノみ干すから。
それはそうと、ねえ私。時々私、考えるの。
私は私の檻になってないかしら、なんて。
だって私、私にいつだって口煩く注意するじゃない。あなたのお姉さんたちみたくなってやしないか,なん手思うの。
シンデレラはこたえた「まさか、親友のことそんなふうに思ったことはないよ」
それなら、よかった。
"'
本ヨに
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フ。り`ノフ、乎探'ノ宇
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「ねえ、私のこと、どう思ってるの?」
私に下心を持"l、相応しくない男に必ス''確認するようにしてる。良い男だと最初に思っても、蓋を開けてみたら貧乏だつたり、協調性に欠けたり、私をレディとして扱わなかったりと'後から男らしさが出てくることが多かった。
相応しくないモノは、牙を向く前に始末しなきャいけない。何より、私が片時でもコイツらに惹かれた事実を消さねばならない。
私は、特に精神の純潔を、守らねばならない。
私の部屋で誘惑して……その後は、どの男もてんで変わらない。安らかに眠るものだ。
機を見てうなじに思い切りハンマーを振りおろせばいイ。色々試してきた経験則から、急所はどの哺乳類も共通していることは知ってる。
その後はお好きに調理してどうそ"。
私は血濡れた刃物を手にして泣く「なんてことを、可愛そう」
いい子ね。私は憐れみ深くてはならないし、男に対しても分け隔てない、強く広い器を持つべきよ。
優しい、優しい、私。
愛しているわ。
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フ。り`ノフ、乎探'ノ宇
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私は我慢強く、憐れみ深い乙女でなくてはならない。
私は出自を恥じらい、慎ましくあらねばならない。
私は魔法が解ける深夜0時には帰宅せねばならない。
私は辛い過去を持とうと、最後には立ち上がり、救われなくてはならない。
私はそして、相応しい王子様に手を差し伸べられ、その手を取らなくてはならない。
私はどれだけ誰かに疎まれ嫌われようと、高貴さを失ってはならない。
私は美しいままで、物語を終わらせなければならない。
だから、警察に追われている今の状況を、打破できる手段が欲しい。
殺人をしたわけだから、追われる理屈はわかる。
だが、世の中おかしいと思う。
私のように私を想う子は、下心のある男が蔓延る世界でどう生きればいいの。
そんな奴らから私を守るためには、それらの根を絶やさなければならない。
幸せになりたいだけの私の心が罪になるなら、どう生きればいいの。
幸せになることの何がいけないの。
トルストイの『アンナ・カレーニナ』でも言ってる。
『幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである。』
幸せの形は人を差別しない。
私の願う幸せのどこがいけない?他人と何が違う?なぜ私の思い描くハッピーエンドを、人と区別して罰することができる?法と社会は幸せの本質を見誤っている。私達はなぜ、同じような幸せを望みナガフも疎まれる?
その法と社会は、好きなことをやりたいようにやれる、たまたまそうだった運のいい奴らのためにある。ああ、美味しいか。私達の想いを踏み台に、家族で囲う、平和な食卓。その温かな料理は、さぞかし美味しいだろう。
──かわいそうな私。いまも泣イ弖いる。
あア、この国を出よ干。
そうだ、この國を出ヨう。
もうここには私の王子様はいない。
まだ美しくいられるうちに、コノ国カラ出ヨウ。
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了亍乇+九、八儿ヶカ7方/乀征匚ゥ。
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往く先々で、バーで知り合った見知らぬ男の家を転々として匿ってもらい続けた。
そのうち馬鹿な警察の男の誘惑に成功した。
仕事中の姿が見たいと言ったら、応じて、フル装備でホテルに駆け付けてくれた。
そして背後を取って、祈るように振ったハンマーの一撃は、いつものようにうなじに深く沈み込んだ。
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一度でいいから。
安らかに草生い茂る丘の上で。
普通に、優しそうなお友達と、恋の話をしたかった。
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漁船の主人を銃で脅し、船の場所を聞き出し、キーと操作マニュアルを盗んだあとで殺した
船の操舵とか知らないけど、あとはどうにかなるだろう。
さあ、あてもなく、はるか彼方へいこう。
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「ねえ私。私のこと嫌いになった?」
「そんなことないよ、綾子。いつも私のためにありがとう。愛してる」
「よかった、私も私を愛してる。あなたのためなら、この心がボロボロになってもよかった」
「私はいやだよ。綾子だけが苦しむのは、私は私が、嫌になる」
「時には私の身体でもあるでしょ。大丈夫、お互い苦しい時もあった。死ぬ時も離れることができないのが、私達だよ」
「……ねえ綾子」
「どうしたの?」
「今までありがとう。私は綾子といて幸せだった」
「……王子様とは合わせてあげられなかったよ」
「私は幸せだった」
「……そっか。なら、いいか。よかった」
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『次のニュースをお伝えします。
難破した漁船から、白骨化遺体が発見されました。
地元警察の調査によりますと、骨格の形状より女性と見られております。
本日17時頃、行方不明だった漁船『冬伝号』が石川県羽咋郡の海岸で難破しているのを、観光客が発見しました。
『冬伝号』は半年前の強盗殺人により殺害された繁山吉貴さんの船で、行方の調査が行われておりました。
船に乗っていた白骨化遺体の女性の側には拳銃が落ちており、おそらく、連続殺人犯として指名手配中の上沢綾子容疑者のものではないかとみて、引き続き調査を────。
』